【原電やめろ!は愚かな大合唱】
NHKは報道機関ではないと云う。原電のトラブル隠しを報じた「クローズアップ現代」(平成19年4月24日)では、点検中に制御棒が抜け落ちたトラブルを「即発臨界」と恐怖をあおる。
この事故では、点検中に3本の制御棒が落ち、止まっていた原子炉が15分ほど運転状態になった。出力は「通常運転の1%未満」で、原因は直ぐに分かったので正常に処理された。制御システムが作動して「即発臨界は0.3秒間で収まった」のだ。
しかし、毎日新聞は「瞬間的に約23万キロワットもの高い出力が出た」と大騒ぎし、この騒ぎを後追いしたのがNHKである。
ただ、問題なのはこの記録を「関係者の一人がこっそりコピーして公表した」事実だ。
日本は国策として化石燃料から原子力エネルギーに転換した。ドイツは「緑の党」に押されて原子力を放棄したが、今は後れを取り戻すのに必死だ。
しかし、朝日も毎日もドイツに倣え、「高速増殖炉もんじゅ」は止めろ、と大騒ぎして国民にさらなる核アレルギーを植え付けた。
もう一つの注目は事の発端となった密告者である。原子力に携わる者には思想的に偏った者が意外と多い。
特に日本原子力研究開発機構にはその勢力が強かった。電力各社で相次ぐ密告も「ことあれかし」を狙う確信的分子による犯行だった。
北朝鮮や支那が核兵器で日本を攻めたらどうなる?いや、日本は3日で核兵器を造って報復できるし、彼らもそれを知っているから馬鹿をしない、という話をよく聞く。
だが、あの密告者の数を見るとそう安心してもいられない。NHKもたまには頭をひねって「なぜ原子力関係者に密告者が多いか」をクローズアップしてみたら良いだろう。
以上「モンスター新聞が日本を滅ぼす」高山正之著より
続いて「頂門の一針 6873号」より転載します。
【円安批判する財界人3タイプ】
【高橋洋一「日本の解き方」】 金融業界や海外展開する企業、家計や政府に忖度する意見も 悪者論にくみしがちなマスコミ
このところの円安について、財界関係者が批判し、利上げを歓迎する意見が目立つ。なぜ円安を嫌い、利上げを求める財界関係者が多いのか。
輸出を行っていない企業や家計にとっては、円安はコストの上昇でデメリットとなる一方、輸出関連企業や海外展開している企業は円安でメリットを受ける。財界では、大企業は一般的に輸出比率が高かったり海外展開比率が高かったりするところが多く、これまで円安は企業業績を後押しするので、円安批判は多くなかった。電力業界は輸出がなく円安のデメリットしかない業界だったが、燃料費調整制度のおかげでデメリットが少なくなっている。
それでも最近円安を批判する企業も出てきたが、これには3つのタイプがあるようだ。第1に、利上げが目先の収益改善になる金融業界だ。預金による調達金利がほぼゼロでも、運用金利が低いと十分な利ザヤが得られないので、とりあえず運用金利のアップが欲しい。そこで、円安を批判し利上げを狙う。
第2は、これから海外展開しようとする企業だ。中にはすでに海外展開しており円安メリットを受けているところもあるが、今後の海外投資にはコストアップとなるので当面のデメリットでしかない。積極的な海外展開をしようとする成長中の企業であり、社会的な影響力もあるので、マスコミが取り上げることも少なくない。
第3に、中小企業や家計の代弁をしたり、政府を持ち上げたりする企業だ。実際には円安のメリットを受けているのに、それを隠すこともある。本コラムの読者であれば気がついているだろうが、政府は日本最大の円安メリット享受者だが、そこに国民の目が向くと減税要求が出てくるので、マスコミが垂れ流す円安悪者論を許容している。
第3のタイプの企業はこうした政府に忖度(そんたく)し迎合するという面もある。このタイプの論者は、自分ではしっかり円安メリットを享受しているのに、あたかも弱者の味方を装いながら、欺瞞(ぎまん)に満ちた意見を述べているのでたちが悪い。
マスコミは、第1のタイプの主張をしばしば取り上げる。というのは金融業界はスポンサーであることが多いからだ。第2のタイプの意見も、話題の経営者であることから、取り上げることが多い。
また、マスコミはしばしば”弱者”の側に立とうとして第3の意見も取り上げる。となると、円安悪者論に与(くみ)しがちになる。
さらにマスコミは理解が難解なマクロの話より、分かりやすいミクロの話をしがちなので、ここにも注意すべきだ。
もちろん円安は国全体では国内総生産(GDP)を増加させるのでプラスだ。「近隣窮乏化」という古今東西から言われていることでも分かるが、円安と円高で効果が非対称なのは、円安は輸出関連のエクセレントカンパニーにとって相対的に有利だからだ。特に、政府が円安メリットを大きく受けることを忘れてはいけない(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)
☆☆☆☆☆☆☆ 松本市 久保田 康文 夕刊フジ令和6年5月17日号採録