【夥しい日本人が拉致されたが「普通のくに」なら当然行うことを出来なかった】
軍事力で恫喝して取り返すか、特殊部隊を派遣し奪還する作戦は不可能だったのか
  ♪
荒谷卓『日本の戦闘者
  現代のサムライは決してグローバリズムに屈しない』(ワニ・プラス)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
 戦後レジュームが崩れている。戦後体制の克服が叫ばれている。
 こうした状況下で現代のサムライは、いかなる訓練を重ね、近未来をいかに見通し、戦いに備えているのか。

 荒谷氏は自衛隊で特殊作戦に従事し、特殊部隊創設に深く関わった。現在は武闘の精神を教える私塾を主宰する熱血漢。

 日本は未曾有の危機、国家存立の断崖絶壁に立たされている。この危機を乗り越えるには自らが日本となり、日本との楯となり、そして家族、仲間と団結し、生き残るための基盤を創らなければなるまい。

 そのうえで敵の自滅まで耐えよ! それが日本の歴史に魂を刻むことにつながるのだ、と著者は唱える。
はたしてモラルが弛緩し、緊張感がゼロに近い日本。張り詰めた空気はどこにもない。使命感は行方知れず、中枢は淀み、武士道精神は喪われ、政治家が魂を喪った現代日本で、どれほどの人が、こうした危機感を共有しているのだろうか?

 著者は言う。
「俺の生き様を通じて体現してきた俺の考えを書いた。今、何が起きているのか。何故そうなったのか。そして、どうすれば先祖がつくり上げ守り抜いた大切な日本を自分の力で保全し再生できるのか。そうしたことに関しての俺の見方と、これから俺が何をしようとしているのか」

 特殊部隊が必要なのは、たとえば日本人拉致問題がある。

 海岸線が無防備、敵性外国人監視体制もなければ彼らの代理人が蠢いていても法的な不整備があったため、何も出来ない状況だった。
夥しい日本人が拉致されたが、もし日本が「普通のくに」であったなら当然行うであろう、軍事力で恫喝して取り返すか、特殊部隊をおくりこんで奪還する作戦を展開するか。

だが日本政府はおろおろと、はなし合いでと国際的に非常識きわまりない姿勢で臨んできた。テロ国家に、犯罪集団になめられるのも宜なるかな。

 著者は現状を次のように分析している。

 「左翼のみならず保守と称する者たちまでがグローバリゼーションを歓迎し米国の手先となって、市場原理を地方にまで持ち込み、壊滅的は文化破壊が進んでいる。メディアは完全にグローバリストの宣伝機関と化し、日本歴史伝統文化を否定しグローバル化を賛美している」。(中略)そのうえ敵の存在を誤魔化し、「敵を誤認し味方を見誤り、敵を利して自ら破滅の道を歩んでいる」(138p) 

 本書を読んで、なぜか、ヤマトタケルの雄叫びを聴いたような気がした。

以上「宮崎正弘の国際情勢解題」より

続いて「頂門の一針 6870号」より転載します。

【ネットで広まる「移民拡大」】

【有本香の以読制毒】バイデン大統領「日本人は外国人嫌い」発言、岸田政権"一喝"できない理由 ネットで広まる「移民拡大」と「親族のビジネス」の話

 衆院東京15区での補欠選挙(4月28日投開票)の残務に追われていた4日、とんでもない発言の報が聞こえてきた。ジョー・バイデン米大統領の「日本人は外国人嫌い」発言である。発言の詳細は、以下の通りだ。

 「われわれ(米国)の経済が成長している理由の1つは、移民を受け入れているからだ」「(中国、インド、ロシアと並べて)なぜ日本は問題を抱えているのか。それは彼らが外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」

 事実誤認も甚だしい「おバカ」発言であり、日本と日本人への侮蔑も含まれている。

 この発言のわずか半月ほど前には、岸田文雄首相が国賓訪米して「フミオ&ジョー」の仲良しアピールをしていたというのに、一体、この無礼はどうしたものか。

 さすがに、おとなしい日本政府も「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」と申し入れたという。

 しかし、こんな"申し入れ"では、向こうは蚊に刺されたほどにも感じなかろう。

 今もし、石原慎太郎元都知事あたりがご健在なら、このふざけた「バイデン発言」を一喝したに違いない。だが、現在の政界には、日本の名誉のために「言うべきことをズバリ言う」政治家が皆無だ。

 そもそも、バイデン氏の言う「移民を受け入れれば経済成長する」という珍説の根拠はどこにもない。

 元内閣参事官で数量政策学者の高橋洋一氏が、筆者主宰のネット番組「ニュース生放送 あさ8時!」で明かしたところによれば、国連のデータから、各国の移民人口比と経済成長をプロットして(=グラフにデータを打点すること)も経済成長を示す右肩上がりの線は描けないという。

 つまり、バイデン氏の言う「移民を受け入れれば経済成長する」というのはデタラメなのだ。

 しかし、日本にもこれに似たことをシタリ顔でのたまう御仁が少なくない。いわく、「日本は人口減少時代に入ったのだから、外国人労働者や移民を受け入れないと経済がしぼむ」。

 このウソにだまされてはいけない。移民を受け入れ続けた米欧で今何が起きているかを見れば、そのリスクこそ明らかだ。目先の労働力不足は補えたとしても、福祉などの社会的コストは増える。「異文化との共生」は軋轢(あつれき)を生み、次第に当地の文化や秩序、治安が壊されていく。その良くない予兆は、日本の各地にすでに見られる。
 夕刊フジの取材に対し、岸田首相の実弟の会社は「(当社のような)零細企業が国の方針を動かすことはできない。零細企業のために、国がかじを切るということもない」と語ったという=詳細は別項。

 しかし、首相の近親者が、政府が強力に旗を振る「技能実習生」と「インバウンド」の両方でビジネスをしていると聞けば、いぶかる国民も少なくない。

 ネット上には、岸田家にとって、バイデン氏のトンデモ発言はむしろ「ありがたい呼び水」だったのかという、意地悪い意見すらある。違法でないことは百も承知だが、とまれ、「李下に冠を正さず」の教えはお忘れなく、と申し上げておく。(ジャーナリスト・有本香)
ジャーナリスト
著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

☆☆☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文  夕刊フジ令和6年5月15日号採録