【猿にも分る自衛隊の知識】

問1 我が國に国籍不明機が領空侵犯したので、侵犯機を補足した。敵は強力なミサイルを搭載している。自衛隊機は?

1 警告射撃の後、人命・家屋に被害が出る前に撃墜する
2 司令官が「武器使用命令」の命令を出していないので追いかけるだけ

問2 海上保安庁の巡視艇が他国から攻撃を受けているのを、自衛隊機が発見!

1 損害が出る前に海保救助の為に攻撃する
2 自分が攻撃されていないので見ているだけ

問3 不審船が領海外に逃走中に自衛隊機に発砲した!

1 正当防衛で反撃、不審船に壊滅的打撃を与え、安全を確保
2 反撃は可能だが、人に危害を加えては為らない

問4 「敵軍、上陸!」の報あり。陸上自衛隊緊急出動!すると前の信号機が赤に変わったその時?

1 緊急事態の為に信号を無視して発進できる
2 自衛隊は緊急車両ではないので青に変わるまで待つ

問5 「敵の不審者らしき者が潜伏しているらしい」との急報が入った。自衛隊が急きょ現場の民家に着いた。

1 敵らしき者から安全を確保する為に潜入する
2 民家の所有者から許可を得るまで敷地内に入らない

問6 災害が発生し救助に向かった。途中に大型クレーン車が横たわる。

1 緊急事態なので、直ぐに撤去して通路を確保した
2 所有者に連絡を取り、承諾を得るまでは触れてはいけない

◆回答

問1 (正解)2 撃墜できない
問2 (正解)2 救出できない
問3 (正解)2 死傷者を出すな
問4 (正解)2 信号を守る
問5 (正解)2 敷地内に入れない
問6 (正解)2 触れてはいけない

これは冗談や笑い話ではありません。海外から「張り子のトラ」と揶揄される自衛隊の実態です。
憲法上、我が國には軍隊が存在しません。故に軍に関する法令がないのです。
武器を所持しても「敵が撃たない限り発砲できない」のが自衛隊です。

緊急事態ではパトカーが先導しない限り、信号無視もできません。
その自衛隊に災害派遣を要請し、国防を委ねている日本人。我々は自衛隊に何を望んでいるのでしょうか?

自衛隊は警察と同じく「ポジティブリスト」で動きます。
これは「出来る事が明記されている」ので書かれていない事は行動できません。
このような場面に遭遇すると、上官(上司)の判断を仰がねばなりません。

世界の軍隊は「ネガティブリスト」で行動します。
こちらは「出来ない(やっては為らない)」事が決められています。
民間人虐殺、捕虜虐待、無抵抗な者への攻撃・・・等国際法に準じています。
すると書かれていない事に関しては、現場の判断で対応せよと言う事です。

自衛隊の出動には「警察官職務執行法の規定に基づく範囲内でおこなう」とされる。
武器の使用は、正当防衛、緊急避難または凶悪犯人の逮捕などの場合に、警察官と同じ状況でしか使用できない。
相手が拳銃であれば拳銃しか武装できない。
 
相手が対戦車ロケット砲を持っていればそれ相応の武器は許される。しかし自衛隊が出動となれば限りない法令をクリアしなければならない。それぞれの所轄官庁と折衝した特例措置が必要となる。場所が海岸、河川、森林地帯となれば更に問題は複雑だ。
 
1 道路や橋が壊れ自衛隊が通行できない場合、現行法では自衛隊は勝手に修繕できない(道路交通法) 
2 自衛隊の陣地構築のために土地を使用する場合、土地占有の許可。土石採取の許可。工作物新築の許可。土地掘削の許可(海岸法・河川法)
3 森林林における制限 (森林法)
4 自衛隊が公園地域を使用する場合 (自然公園法)
5 自衛隊が指揮所等を作る時  (建築基準法)
 
仮に外国部隊が攻撃してきた場合、日本はこれ程多くの法律を越えなければならない。更に、どの省庁の所轄か不明なグレーゾーンに関しては、依然として結論が出ていないのが、我が國の現実である。

以上過去の「日本時事評論」より。

続いて「頂門の一針 6862号」より転載します。

【改憲勢力の結集を】 

【乾正人 大手町の片隅から】「自民党崩壊」の先を考える 

 川上哲治、広岡達朗両氏をはじめプロ野球には、名将と呼ばれた監督が何人もいるが、数多くの名言を遺(のこ)した監督といえば、野村克也氏の右に出るものはいまい。
[負けに不思議の負けなし]

 中でも「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」は、すべての勝負ごとに当てはまる。

 衆院3補選で、自民党が「全敗」したのも何の不思議もない。

 特に与野党一騎打ちとなった島根1区では、当選11回を数えた前衆院議長が、派閥のパーティー券問題に旧統一教会との関係、さらに女性記者へのセクハラ疑惑の3点セットを抱えたまま亡くなり、自民党の新人候補はひとたまりもなかった。

 岸田文雄首相が2度も島根入りし、小泉進次郎元環境相ら人気者が相次いで応援に駆け付けたにもかかわらず、自民候補が、当選した立憲民主党候補の7割しか得票できなかった事実は、党全体を震撼(しんかん)させた。

 小選挙区制が導入されて以来、選挙区で無敗を誇った自民王国があっけなく崩壊してしまったのである。

 6月の国会会期末に衆院を解散し、勝負に打って出る気満々だった岸田首相も「まったく考えていない」と言わざるを得なかった。

 当然だろう。岸田体制のまま、今夏までに衆院選が行われれば、「与党敗北」どころの話ではなくなる。公明党とあわせても過半数を大きく割り込み、かなりの確率で政権交代が実現するはずだ(野党に政権運営の覚悟がなくても)。

 「反省のない自民党にお灸(きゅう)をすえる」という民意の大波は、何年かごとの夏に必ず現れる。

 リクルート事件直後の平成元年夏に行われた参院選では、自民党は歴史的大敗を喫し、社会党の土井たか子委員長(当時)は、「山は動いた」の名言を吐いた。

 その20年後の夏には、リーマン・ショック後の不況も手伝って衆院選で自民党は大敗、下野した。

安倍晋三元首相の口癖だった「悪夢のような民主党政権」の始まりである
[「憲法改正勢力」の結集を]

 衆院補選の敗北でロープ際に追い込まれた自民党は、どう動くか。岸田総裁がノックアウトされる前にリングにタオルを投げ、9月の総裁選で新たな党の顔を選んだ直後に衆院を解散し、信を問うのが永田町の常識であろう。このシナリオならば、かなりの確率で「自公政権」は生き残る。だが、表紙を替えただけでは、末端の組織力が格段に落ち、崩壊の危機に瀕(ひん)している自民党の構造的問題は何一つ解決できまい。

 第一、結党以来の党是である憲法改正は、言葉だけとはいえ「総裁任期中に実現」と繰り返し述べている岸田首相が退陣すれば、ますます改正への機運は遠のいていく。

 ならば、首相が腹を括(くく)って憲法改正を争点にし、破れかぶれで解散に打って出るのもありだ。

 衆院東京15区補選で、憲法改正に積極的な日本保守党の候補が、組織もできていない状態で得票率14%を稼いだように、有権者はちゃんと見ている。総選挙後に日本維新の会など「憲法改正勢力」と連立政権を組むとアピールすれば、勝機は巡ってくるはず。憲法記念日に妄想を少々たくましくしてみた。(コラムニスト)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文  産経新聞令和6年5月3日号採録