【救急車は足代わり】
2022年12月、愛知県江南市の病院勤務の女性研修医が、救急車をタクシー代わりに使ったと言う記事がありました。
彼女は患者を別の病院に移送する際に同乗し、帰りにも救急車に乗込み最寄駅まで送らせたと言う事です。

救急車は「急いで」人命を「救う」為に存在する自動車です。
病院間の移送が完了すれば任務は完了ですが、そこに隊員以外が乗れる理由はありません。

この女性は「上司から許可を得ている」として「救急隊員に快諾して貰った」と話しているらしい。
快諾したのならこのような騒動になる筈もありません。

而も同乗させた理由は急いで勤務に戻るためではありません。
友人との食事に間に合わせるためだと聞くと呆れ果ててしまう。

相当に非常識な研修医ですが、彼女に途中下車を勧めた病院の上司も驚きの対象です。
2人に共通するのは救急隊が医師の自分達より立場が下と思っている事でしょう。

医師は救急隊の得意先ではないし、況してや上司でもありません。
「先生」と呼ばれる事で勘違いしていれば、人間としてあまりに未熟と言えます。

病院側も取材に対して「問題かどうかは病院ではなく消防署の判断する事」と話している。
医師だけでなく病院側も反省しているとも思えない。

それでも患者の命を救うために今日も救急隊員は出動しているのです。

以上「大常識」百田尚樹著より

続いて「頂門の一針 6858号」より転載します。

【北朝鮮、ロシア、中国の「罠」】 
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【加賀孝英「スクープ最前線」】岸田首相「延命秘策」は金正恩氏との首脳会談? バイデン氏は「歓迎」表明もリップサービス 

 岸田文雄首相(自民党総裁)の「延命秘策」が注目されている。衆院3補選(4月28日投開票)で全敗して「選挙の顔」としての信頼が失墜したため、党内外の支持を取り戻す必要があるのだ。

こうしたなか、先月の日米首脳会談で、ジョー・バイデン大統領が「(日本と北朝鮮との)対話は望ましく前向きなことだ」「歓迎する」と語ったことが脳裏に浮かぶ。岸田首相は、日本人拉致事件の全面解決のため、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記と直接会談するのか。ジャーナリストの加賀孝英氏が北朝鮮とロシア、中国が仕掛ける「罠(わな)」についてリポートする

 注目の衆院3補選は、すべて立憲民主党が勝利した。「保守王国」島根でも自民党は完敗。この目も当てられない惨状に激震が走っている。

 自民党ベテラン議員は「自民党派閥の裏金事件に対する、国民の怒りがすごかった。党内からも『岸田首相では次期衆院選は厳しい』という声が聞かれる。当たり前だ。裏金議員の処分では、懇意な萩生田光一前政調会長は大甘にするなど、デタラメ。

岸田派の会計責任者も立件されたのに、領袖だった自分の責任には知らんぷり。だが、派閥解消で『岸田降ろし』に動く集団がなくなった。岸田首相の独裁を止められない。こうしたなか、『6月解散』情報が流れ、党内は慌てている。解散すれば自民党は壊滅的敗北だ」と声を荒らげた。

 「6月解散」を連想させる動きもあった。

 岸田首相と茂木敏充幹事長は4月24日付で、選挙区支部長に支給している年1200万円(年6回の分割支給)の活動費について、「4月分を通常の200万円から300万円に増額し、7月分を前倒しして6月に合わせて500万円支給する」という通知を出した。

 裏金事件を受けた「所属議員の収入減」への対応という指摘がある。ただ、野党が内閣不信任案を提出してくる6月末の国会会期末に合わせて、「伝家の宝刀」を抜く準備ではないかとの見方も広がる。

 ある官邸関係者は「衆院補選3敗は想定済みだ。岸田首相としては、政治資金規正法改正などの『政治改革』を実行すればいい。岸田首相の強みは外交だ。4月の国賓訪米は大成功だった。さらに、サプライズの切り札がある。『金正恩総書記との日朝首脳会談』だ。電撃訪朝で、拉致問題解決の道筋がつけられれば、内閣支持率は上昇する。衆院解散を決断する場面がやってくる」と語った。

[北朝鮮、ロシア、中国が仕掛ける「罠」]

 本当なのか─。以下、日米情報当局から入手した情報だ。

 「日米首脳会談で、岸田首相はバイデン大統領に、日朝首脳会談への協力を要請した。バイデン氏は『歓迎する』と表明したが、リップサービスだ。米国とNATO(北大西洋条約機構)は現在、ロシアのウクライナ侵略を受けて『中国と北朝鮮、イランは、ロシア支援を止めろ』と強い圧力をかけている。米情報当局は『(このタイミングでの)日朝首脳会談は絶望的』とみている。『岸田首相は前のめり。危ない』という見方もある」

 「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の側近で、対外情報局(SVR)のセルゲイ・ナルイシキン長官が3月、訪朝した。北朝鮮の諜報機関トップと協議し、米国のスパイ殲滅(せんめつ)と、露朝工作員による日米韓3カ国政府への共同攻撃で合意した。北朝鮮は、岸田政権を『敵だ』とみている」

 プーチン氏が経済関連の国内会議で、「5月訪中」「習近平国家主席と会談する」と発言する様子を、ロシア国営テレビが4月25日に放映した。米国は神経をとがらせている。続く日米情報当局関係者の情報はこうだ。
[複雑な日本と北を取り巻く世界情勢]

 「プーチン氏と習氏は、岸田首相が国賓訪米で語った『(米国との)グローバル・パートナー』宣言を、中露への宣戦布告に近いと激怒した。側近に報復攻撃の検討を命令した。一方、アントニー・ブリンケン国務長官が訪中し、同26日に北京で習氏と会談した。ブリンケン氏は、中国のロシア支援に懸念を示したが、習氏は対中包囲網を牽制(けんせい)するなどして、決裂した。米国側が『中国共産党幹部らの海外隠し財産を暴露する。1000ページ以上の報告書だ』と脅した、という衝撃情報もある」

 5月20日には台湾で、中国が「独立派」とみて敵視している、民進党の頼清徳副総統の新総統就任式が行われる。中国は水面下で妨害工作を仕掛けている。米国は5月以降、「『台湾有事』と『朝鮮半島有事』が連動して勃発する危険がある」とみて、異例の厳戒態勢に入る。

 拉致被害者や被害者家族が高齢化するなか、拉致事件解決には一刻の猶予もない。被害者の救出、即時一括帰国は、絶対に成し遂げなければならない国家の重大事だ。日本国民全員の悲願である。

 だが、日本と北朝鮮を取り巻く世界情勢は複雑に絡み合っており、それほど単純ではない。そもそも、北朝鮮は日本にニセ遺骨を届けるような国である。

 岸田首相が、外交成果を「次期衆院選へのアピール材料」と考えているとすれば、「拉致問題棚上げ」を狙う北朝鮮にだまされかねない。

■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。週刊文春、新潮社を経て独立。95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍し、数々のスクープで知られている。

☆☆☆☆☆☆   松本市 久保田 康文  夕刊フジ令和6年5月2日号採録