【選挙を諦めてはならない。それは自分を諦める事になる】
(読者の声4)東京補選の感想です。
 4月28日東京15区で衆議院の補欠選挙が行われ反自民風潮の中で立憲の女性が当選した。この選挙の重要な意義について以下記してみたい。

 1.日本保守党が飯山陽女史を擁立した。驚いたのは飯山氏が全くの初陣にもかかわらず、圧倒的な存在感を示し、2万4千票も取ったことである。これは政治を諦めていた全国の日本人に活を入れた。保守とは民族の生態を守ることである。飯山女史の「普通の生活を守るために、政治を変える」という主張は明快で素晴らしい。立憲の候補者は公開討論を恐れて逃亡した。

2.今回選挙運動の手法としてインターネットが使われた。このためこの選挙は全国民の見るところとなった。日本保守党は党員をネットで募集しているので、次の選挙までには一斉同報が可能になり、新しい形の組織票による選挙活動が行われるだろう。これは日本の自由民主主義制度にとって素晴らしいことである。

3 選挙妨害の発生。この選挙では、日本人を使った選挙妨害が起きた。裏には日本の保守化を妨害する外国勢力が考えられる。それを隠すために複数の政党候補者にも妨害をしたようだ。選挙妨害は厳罰が必要だ。テロを放置すると立候補者が危害を恐れていなくなる。その犠牲の例が先の安倍元首相の暗殺である。

4.憲法改正論
選挙妨害者は言論の自由を主張した。しかし社会的な権利には、資格、義務、責任、常識が不可欠だ。人間には動物のような自由はないから当然選挙妨害の自由はない。なお占領軍憲法は、日本破壊を固定し日本人に復旧させないための首枷憲法だった。日本人の生態を守る民族憲法ではない。しかし、冷戦による米国政府の極東政策の転換でGHQが想定していなかった日本の早期独立が実現した。これにより占領軍は撤退し、自動的に首枷憲法も失効した。

 問題は、それにも拘わらず、日本政府が首枷憲法を護持していることである。動機は政治家の利得であろう。
しかし、自衛まで禁止しているので流石に不具合が分り今変更の声が高い。しかし我々は日本の独立で首枷憲法が既に失効していることに気づきたい。だから日本人は既に自由である。政治は特例法と明治憲法で進めれば良いのだ。従って失効済のゾンビ憲法の改正をすることは考えられない。マッカーサーの墓前に報告でもするつもりなのだろうか。世界の笑いものである。

5.秘密自由選挙制度のありがたさ
今回の選挙では棄権した国民が多いという。危機感がなく、政治を諦めているのだろう。
以前読んだ投書で、圧政に苦しむ中共の若い女性が、もし日本のように投票の機会が与えられるなら、絶対に棄権しないと書いていた。

この度の日本保守党関係者の義挙は、日本の民主主義制度の原点を改めて見直す機会になった。「選挙を諦めてはならない。それは自分を諦める事になる」という飯山女史の主張が強く記憶に残る。
  (落合道夫)
「宮崎正弘の国際情勢解題」より転載します。

続いて「頂門の一針 6855号」より転載します。

【日本の国柄根幹に21世紀憲法を】
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<正論> 駒沢大学名誉教授・西修 

 衆参両院に設置された憲法審査会の議論は、遅々として進んでいない。とくに参議院憲法審査会は、今国会では4月10日に幹事の補欠選任を行っただけで実質審議に入っていない。

 衆議院憲法審査会にあっては、自民党、公明党、日本維新の会および国民民主党は、憲法改正の条文案づくりに向けた起草委員会の設置に賛意を示しているが、立憲民主党は、反対の立場を表明している。
[憲法審の審議妨げる元凶]

 憲法審査会の審議がスムーズに進んでいない元凶が立憲民主党にあることは、明らかである。本題に入ろうとせず、いろんな理由をつけて引き延ばしを図っている。立憲民主党とは、立憲主義と民主主義とを合体させたものであろう。その根幹は国民主権にある。国民主権の具体的な表れとして、憲法改正国民投票がある。そのことを妨げている立憲民主党は、非立憲民主的であると断じざるを得ない。

 同党の奥野総一郎氏は4月18日の衆議院憲法審査会で「今後、数年単位の時間をかけて議論すべきだ」と述べている。

 両院に設けられた憲法審査会は、始動した2011(平成23)年から22(令和4)年までの12年間に、衆議院では19億886万1000円、参議院では13億9912万8000円、合計33億798万9000円という巨額な経費を消費している。その成果はまったく得られていない。国費の壮大な無駄遣いと言わなければならない。このあと、いったい何年、無駄遣いを続けようというのか。

 同党は「論憲」を主張しているが、論憲は内閣に設置された憲法調査会(1956年6月~65年6月)、衆参両院に設けられた憲法調査会(2000年1月~07年8月)で何度も行われてきた。それぞれ分厚い「報告書」を提出している。いまは論議を収斂(しゅうれん)すべき時期だ。それに応じず、いたずらに国税を無駄にしている同党と「憲法審査会を動かすべきでない」と言う共産党を抜きにして、審査会で憲法原案を作成しても国民の支持を得られるのではなかろうか。
[自民に求められる戦略と気概]

 一方、自民党に対しても合格点を与えることはとてもできない。憲法改正のための戦略、戦術がまったく見られないし、その気概も感じられない。前記のごとき立憲民主党や共産党の問題点を国民に強く訴えると同時に、何をどのように提案すれば国民の支持を得られるのか、国会内で両議院の3分の2以上の多数を得るために改憲支持政党をいかにまとめようとしているのか、一向にうかがい知ることができない。もし本当に憲法改正の志があるとすれば、その本気度を国民の心に響かせるような行動をとらなければならない。

 自民党が「たたき台素案」として提案している4項目も、問題が多い。その一つ、同党が国家緊急事態対処条項として提示している案は「大地震その他の異常かつ大規模な災害」を要件としている。私は、多くの国の憲法における国家緊急事態対処条項を調査してきたが、いずれの国の憲法も「外部からの武力攻撃」も要件としている。この要件を欠いた条項は国家緊急事態対処条項とは言えない。

 この点、昨年6月に提案された日本維新の会、国民民主党および有志の会の改正案は「外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱」を要件の最初に掲げ、緊急事態の宣言期間、緊急事態における任期の延長を定めるとともに、緊急事態が発せられている期間中、国会は閉会とならない、衆議院は解散されない、憲法改正のための国民投票は実施されないなど、優れた内容になっている。

 自民党は、なぜこの改正案を土台に公明党を巻き込んで改正案を作成しようとしないのか、不思議でならない。
[世界の憲法の常識は]

 国家緊急事態対処条項の設置は、平和条項と相反するのではないかとの見解がある。私が1990年以降に制定された105カ国の憲法を調査した結果、平和条項は104カ国に、国家緊急事態対処条項は105カ国すべてに導入されている。両条項は不可分の関係にあるのが、世界の憲法常識なのだ。

 私が189カ国の現行憲法を対象に調べた結果、日本国憲法は14番目に古くしかも77年間も無改正の国はわが国以外に見当たらない。異様、異例異常である。

 上記105カ国の憲法のうち、環境の権利・保護は100カ国(95.2%)、プライバシーの権利は88カ国(83.8%)、政党は92カ国(87.6%)、国民投票(憲法改正を含まず)が94カ国(89.5%)に導入されている(私の新著『憲法一代記』育鵬社による)。このようなことに鑑みても、日本国憲法は典型的な20世紀型の憲法である。

 世界の憲法動向を勘案しつつ、日本国の独自性を根幹にすえた21世紀型の憲法体系を考えていかなければならない。このような視点から憲法を論じることこそが、求められているのではないか。(にし おさむ)

☆☆☆☆☆☆☆☆   松本市 久保田 康文  産経新聞令和6年4月30日号採録