【丸裸だった日本】
昭和47年(1972)9月25日、田中角栄首相・大平正芳外相らを乗せた日航特別機は北京国際空港に午前11時30分に到着した。
出迎えの周恩来首相と田中首相が力強く握手する。歴史的瞬間であった。

第1回の首脳会談は午後3時から人民大会堂「安微省の間」で開催された、いきなり1時間40分に亘る会談である。
日本への露骨な揺さぶりはその夜、周恩来首相主催の晩餐会から始まった。

9月27日午後8時過ぎ、田中・大平・二階堂の三人は毛沢東の私邸に突然連れていかれた。
此処で毛沢東が田中に送ったのが『楚辞集註』全8巻である。
未だに論争の絶えない毛沢東の贈り物であった。

第4回首脳会談で周恩来は田中に「言必信、行必果」と毛筆で書いて手渡した。
「言った事は必ず行い、行う事は必ず果たす」と言う論語の一節である。原文ではこの後に「硜硜然小人哉」と続く。
「今の政治に関わる者は小器の者だけであり、到底論じるに足る者はいない」

この事をいち早く指摘したのは佐藤真一郎・元拓殖大学特任教授(中国論)だった。
彼は孫文を助け、辛亥革命の成功に尽力した山田良政・山田純三郎兄弟の甥である。

佐藤はこの話になると語氣が荒くなる。
「戦時賠償を放棄するというのも彼らのやり方なんだ。これで際限なく日本から資金を引き出せる訳だからね。
一度で終わらせるのではなく、延々と続けさせる。実際日本が出す金には限りがないでしょう。
こういう彼らのやり方を知らないまま田中と大平はシナに乗込んだ。
日本にとってこの交渉は本当に悔やまれる・・・」

佐藤は次のような言葉も残している。
「日本人はシナ人の事を知らな過ぎる。私たちが知っているシナ人とシナ共産党の人間がまるで違う事だ。
シナ共産党の言う事を信じているレベルでは、日本人は将来とてつもない不幸を背負う事になる」

以上「日中友好侵略史」門田隆将著より

続いて「頂門の一針 6842号」より転載します。

【チェック機能に限界】
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【高橋洋一「日本の解き方」】国の基金もチェック機能に限界 ネットで「公金チューチュー」と厳しい目、第三者の指摘に報奨金の検討も 

 政府は、事業が事実上終了している約10の基金を廃止する方向で調整に入ったと報じられた。

 基金とは、「独立行政法人、公益法人等や地方公共団体が、国から交付された補助金等を原資として、特定の用途に充てるため、他の財産と区分して保有する金銭」で、
1,複数年度にわたる事務又は事業であって、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出が必要であること、その他の特段の事情が認められること
2,あらかじめ当該複数年度にわたる財源を 確保しておくことがその安定的かつ効率的な実施に必要であると認められること─のいずれも満たすものである。

 基金は国から基金に支出した後、基金から複数年度にわたる支出が可能となるため、中長期的な視点で柔軟な執行が可能となる。

 基金の法的根拠はどうか。基金は補助金などを支出する年度の予算に計上されることよって新規に造成あるいは既存の基金への積み増しが行われる。当該予算の国会による議決を受けて事業実施主体への支出が行われることとなり、基金の造成または積み増しに当たっては、財政法令上の規定は必要とされていない。

 要するに、基金では複数年度の支出が1度で行われるため、本来の単年度主義なら複数回のチェックが行われるところ、1回しかチェックが行われないのが、財政当局からの問題意識だろう。もっとも、予算でも、新規予算はチェックされるが、既存予算のチェックはあまりされず前年と同じとも指摘されているので、「五十歩百歩」ともいえる。

 ただし、財務省も一度認めた予算でも、その後の執行をみて看過できないものがあったのだろう。

 国が所管する基金は現在、180超ある。新型コロナウイルス対策で積立額が膨らみ、全体の残高は2022年度末時点で計約16兆6000億円となる。

 廃止を調整している基金は、電気自動車充電設備を設置する「省エネルギー設備導入促進基金」、農林漁業者が発電事業を行う「地域還元型再生可能エネルギーモデル早期確立基金」、東京電力福島第1原発事故で企業立地が落ち込んだ地域を支援する「環境対応車普及促進基金」などだという。

 しかし、これで十分だろうか。政府内の会計検査院も基金を見過ごしていないだろう。

 さらにネット上では「公金チューチュー」という言葉がはやっている。「暇空茜」というハンドルネームの人が1人で東京都を相手として福祉関係の団体に対する補助金支出について監査請求などを行い、訴訟で勝ったりしている。他のネットユーザーは称賛し、資金提供もするという現象も起きている。

 この例で示唆されることは、財務省のチェック機能には限界があるので、第三者のチェックも有効ということだ。

 第三者の指摘に対して報奨金を出すというのも検討していいだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

☆☆☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文  夕刊フジ令和6年4月17日号採録