【被害者ヅラする米国】
ジョージ・ワシントンは子供の頃桜の木を切り倒し、忿りを滲ませる父に素直に告白し、父から褒められたと謂われているが、實はこれは作り話だ。その頃米国には桜の木はなかった。

では彼はウソつきかと謂えば正直な時もある。市民軍の士官時代に、仏軍がオハイオに浸出すると、仏軍十人を捕虜にした。

元々市民軍の半分は英国から流されてきた囚人かその末裔だ。躊躇う事なく捕虜を皆殺しにする。

彼はその後仏軍に捕えられ、十人虐殺の真相を質されると命惜しさから、殺害を実行した部下の名前を告げて、許されて生還した。

この正直さがたたって英軍は彼を正規士官に採用しなかった。彼は恨んで米国の独立運動に挺身する。

ワシントンは独立戦争に何とか勝ち、「すべての人間は生まれながらにして平等で、生命、自由、幸福を追求する不可侵の権利を持つ」と宣言し新しい国造りを始めた。ただ、その中にインディアンも黒人奴隷も入っていなかった。

彼はマウントバーノンの農場に四百人の黒人奴隷を囲っていたが、大統領に為るとペンシルベニア州の大統領官邸に、九人の黒人奴隷を連れてきて身の回りの世話をさせた。

しかしこの州は黒人奴隷を認めない州で、六か月続けてこの州に居住した奴隷は自由に為れる規則がある。

すると彼は黒人奴隷が五か月務めると、マウントバーノンに送り返し、別の奴隷を官邸に連れてきた。

ワシントンは黒人に自由を認めなかったが、インディアンには生命すら認めない。彼等は白人に追わ退却を繰り返すが、モホーク族を中心に白人に抵抗を始めた。

するとワシントンは「インディアンを根絶やしにしろ。制圧するのではなく絶滅させるのだ」と命令する。

戦士と戦場で戦っても絶滅は出来ないが、銃後の集落を皆殺しにする戦法がここから始まり、その後の米国の戦い方の形となる。

フィリピンでは、抵抗するアギナルド軍一万八千人を相手にせず、「彼等の家族二十万人を殺害」(米上院公聴会)した。

ベトナム戦争のソンミ虐殺も同じで、対日戦争でも太平洋の前線で待つ日本軍の頭上を越えて本土を攻撃し、広島、長崎に原爆を落として、敵兵の妻子を殺す事に専念した。その残忍さはアルカイダを除いておぞましさ故に誰も真似ない。

「9・11」十周年でオバマは「戦場でもない、平和な市民生活を破壊したテロを忘れない」と言った。その手法を編み出し、実行したのは米国と言う事も忘れないで欲しい。

以上「日本よカダフィ大佐に学べ」高山正之著より

続いて「頂門の一針 6781号」より転載します。

【トランプ旋風と日本の自立】  【阿比留瑠比の極言御免】

 11月の米大統領選に向けて、トランプ前大統領が早くも旋風を巻き起こしている。直近では、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、軍事費の負担を怠ればロシアに攻撃されても米国は「守らない」との発言が物議を醸しているが、これは日本にとっても人ごとではないだろう。とはいえどこか既視感を覚える光景である。トランプ氏が再び大統領に就いた場合について、第2次安倍晋三内閣で経済再生担当相を務めた自民党の甘利明前幹事長が11日のフジテレビ番組でこう指摘していたのが興味深かった

 「(再再選はないので)選挙を気にしないから、縦横無尽に自分の思い通りのことをやるという力がより働く。前回のときには、それでもトランプさんをうまくなだめて『これがあなたにとってプラスだ』と誘導できて、G7(先進7カ国)と結べる政治家がいた。それは安倍さんしかできない」

 「この手法を取る方がプラスだよと、どうアメリカを誘導していくか、それを誰がするかだ」   [安倍氏もかなり苦労]

 この問題に関しては、1月18日の当欄でも取り上げた。甘利氏は「この人(安倍氏)がいないということが西側にとってどれぐらいの大きなダメージか」とも語っていたが、安倍氏とてトランプ氏を善導するのはかなり苦労していた。

2016(平成28)年4月、トランプ氏が在日米軍の駐留経費の大幅負担増を強く求めたり、日本車の対米輸出の在り方を問題視したりする言動では注目を集めていた頃には、安倍氏はこう話していた。

 「トランプ氏は、本当にやばいな。米国はどうするんだろうな。本当に大変なことになるよ」

 ただ、安倍氏はトランプ効果のマイナス面だけを見ていたわけではなかった。トランプ氏が大統領選に勝利した同年11月9日夜、日米同盟の在り方見直しを要求された場合について安倍氏に聞くと即座に、前向きな答えが返ってきた。

 「そうなれば、それをきっかけにすればいいんだ。できるだけ早く会って、日米同盟の米国にとっての意義などを教えないといけない。それと、トランプ氏は保護貿易的なことを言っているが、それがどれだけ自分(米国)の首を絞めることになるかもね」
 そしてその言葉通り、翌10日に初の電話会談を行って17日には米ニューヨークのトランプタワーで直接会って米国の対中国、対北朝鮮政策を転換させ、むしろ日米同盟の強化へとトランプ氏を導いた。

[「反論の天才」]

 時折、思い出したように米軍駐留経費問題などを蒸し返すトランプ氏に対しはその都度、数字を挙げるなどして反論し、「あなたは反論の天才だな」と言わしめたが、安倍氏のこんな言葉からは、相当気を使っていることもうかがえた。

 「トランプ氏と会うときは、まず直近の彼の功績をほめる。あれこれ話そうとせず、大事なテーマは一つに絞って印象付ける」

 幸か不幸か、前回のトランプ氏登板は「日本の対米自立のきっかけ」とはならなかったが、安倍氏不在の今回はどうなるかまだ分からない。

 「政治とは、与えられた条件の中で最善を尽くすことだ」

 安倍氏は首相在任中の令和2年6月に、こう語っていた。トランプ氏が再登板しようとしまいと、何を求めようと求めまいと、日本はその条件を生かし、利用して国益に結びつけていかなければならない。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆  松本市 久保田 康文  産経新聞令和6年2月15日号採録