【日本人と論語】
古田博司著『日本文明圏の構想』によれば、日本人は論語の約四割しか使っていないそうです。

論語は日本人にとって人として在るべく道を示した書物とされますが、それは論語の一部分だけを日本に合うように道徳の規範としたからです。

日本には科挙制度がないので、四書五経が読めるか、漢字を知っているか、とする支那と論語の役割が根本的に違います。

何故、科挙を輸入しなかったのか?それは9世紀に仮名を発明したので、ルビを打って誰でも漢字を読めるようにしたからです。

論語が一般庶民の道徳の規範となったのは、江戸時代に入ってからです。

徳川幕府が儒教を取り入れ、寺子屋などから論語などの四書五経が広く知られるようになりました。それまでは一般の日本人に儒教は入っていません。

日本人は論語のいいとこどりだけをして、残りのドライな部分は受け入れませんでした。

例えば、孔子は父親が泥棒をしたら息子は父親を守るのが正しい親孝行とします。官憲に訴えるのは不忠なのです。

だからシナ人は家族、宗族、国のためなら、ウソをついても良い事と考えます。

更に、父が泥棒だったとして匿う事が良い事とされたら、正義や公と云うものが一切なくなります。

シナに法治主義が全く根付かないのは、この伝統的な儒教の考え方が未だに抜き難くあるからです。

亦、日本人は『三国志』が大好きです。忠義や恩に報いる人情ドラマと捉えますが、実際に漢文で読めば日本人の読む三国志とはまるで違う世界になっています。

つまり、日本人が感情移入するように書いていると思った方がいいでしょう。

義理人情など全くなく、極めてドライな感情しかないのがシナです。

以上「かわいそうな歴史の国の中国人」宮脇淳子著より

続いて「頂門の一針 6753号」より転載します。

【24年、政界全体に必要な遵法精神】  櫻井よしこ

岸田文雄首相の支持率が下げ止まらない中、自民党の複数の派閥による政治資金不記載問題が露見した。政治とカネについて政治家に問題があるのは確かだが、メディアの報じ方にも大きな混乱があり、政治不信をさらに高める要因となっている。

12月22日の「言論テレビ」で元東京高検検事の高井康行氏が、政治に関わるカネには2種類、すなわち性善説に基づいて配分されるカネと性悪説に基づくそれがあると指摘した。政治資金問題を考えるとき、この2種類の資金の性質を整理しておくのが欠かせない。氏の説明はざっと以下のとおりだ。

〈政治資金に関する法律には政治資金規正法と政党助成法がある。メディアはこの2つの法をごちゃごちゃにして報じている。政治資金規正法は民間から政治家に流れ込む資金を対象にしたもので、政党助成法は国から政党を経由して議員に渡される資金を対象にしたものだ。民間から政治家に流れ込む資金は、民間と政治との不当な癒着の温床になったり贈収賄につながったりする。それを防ぐために厳しい透明性が要求される。その意味で政治資金規正法は性悪説に基づく。

他方、政党助成金は国が政党に支給するもので民間は絡んでいない。贈収賄や政治家と民間との癒着を心配する必要はないために規制はほとんどなく非常に緩い。政党助成法第4条には、国が政党に交付金を交付する時に使途を制限してはならないと書かれており、使途を法律で制限せずとも、政治家自らが判断して合理的な政治活動に使うであろうという期待が示されている。また、同じ条文には、交付金を受けとった政党はそれを適切に使わなければいけないとも書いてある。しかしどちらの側にも、こういうふうに使いなさいという具体的指示はない。

さらに、国から政党に入ったカネの第一次的な支出先は記載しなくてはならないが、その先の第二次以降は記載しなくてよいきまりだ。つまり、政治家を信頼するという意味で性善説に立っている。政治資金規正法と政党助成法、この2つを混同して論ずると、訳がわからなくなる〉

「沈黙の自由」

私は前号の当欄で、自由党の幹事長だった藤井裕久氏が当時、党資金15億円を組織活動費の名目で引き出し、そのカネが小沢一郎氏に渡ったと思われる件で、両氏に何の咎めもなかったことを政治資金規正法に関連づけて記した。だがこれは政党助成法についても十分考慮しながら、精査・議論すべき問題であった。

今回の政治資金不記載問題で、政治資金規正法の穴を埋めようという声が上がっている。その点についても高井氏は指摘した。

〈現行の政治資金規正法では、20万円以下の政治資金パーティー券の購入に関しては拠出者の名前を書く必要はないとなっている。しかしこれでは緩すぎる、1万円以上は全て明らかにせよなどという意見は、当然、出てくる。その場合注意すべきことは憲法に定められた表現の自由、思想良心の自由などの保障だ。この保障の中には、思想良心を告白する、どういう政治信条を持っているかを告白する、どの政党を支持しているかを告白することを強制されない権利が含まれている。これを「沈黙の自由」と言う

だが、寄付をしたり政治資金パーティーの券を買うことは政治参加だ。政治参加も民主主義国家における基本的人権の1つである。

右の2つの基本的人権がある一方、政治資金パーティー券を買った場合、1万円以上は全て公表せよというと、それはどの政党を支持しているか、どの議員を支持しているかを間接的に公表することになる。思想良心の表白、告白を間接的に強いられ、沈黙の自由を侵害されるということだ。

憲法で保障される沈黙の自由と政治資金規正法の本来の趣旨である透明性の確保の調和点として、現在、20万円が考えられている。それが正しいかどうかは別にして、政治資金規正法の今後の改正を考える時に、その両方の価値の調和が必要だということを前提にして議論をしないと、とんでもない人権侵害の法律になってしまう可能性がある〉

納得のいく説明だと思う。

12月19日、清和会と志帥会に東京地検特捜部の強制捜査が入った。清和会はすでに多くの書類を検察に提出しているために、検察のやり過ぎだという批判がある。その一方で、安倍晋三総理の、政治資金規正法違反の不記載をやめよという指示が実行されなかった原因を究明する狙いがあるとも見られている。

安倍氏は2021年11月に清和会に会長として戻り、22年4月には清和会の政治資金還流問題について西村康稔事務総長を議員会館の自室に呼び出して厳しく戒めた。政治ジャーナリストの石橋文登氏はこの事実を第一次情報、つまり、安倍氏から直接聞いたこととして語った。

公明・山口代表の侮蔑的発言

だが、安倍氏はその年の7月に暗殺され、西村氏もひと月後に事務総長を辞任した。そして結局、不記載問題は改められなかったという。誰がそうしたのか。清和会では会計責任者だけでなく事務総長も関わっていたのか。違法性を認識していたのか。こうした点を検察はつきとめようとしているとの見方がある。

特捜部の強制捜査の狙いについてのもうひとつの見方は、志帥会における政治資金の流れの解明であるというものだ。

それにしても特捜部のガサ入れは時期的に遅く、押収した書類等を精査し1月20日頃の通常国会召集までに捜査を終了することは殆ど無理であり、特捜部の捜査日程の見積りは「ちょっと疑問だ」と高井氏は言う。立件の可能性がある政治家の名前がダダ漏れになっていることについても、かつての検察の方針とは異なると氏は指摘した。検察の狙いは知りようがないが、確かなことは政治の停滞が長引くということだ。

自民党以外の政党の不記載問題も指摘されている。自民党とは同じ穴のムジナと見られたくないと、公明党代表の山口那津男氏は語ったが、同党の東京29区選出、岡本三成衆議院議員は2018年と19年のパーティー券収入を記載していなかった。「同じ穴のムジナと見られたくない」という侮蔑的発言を、選りに選って中国系SNSのTikTokで発信した山口氏は、大いに反省すべきだ。立憲民主党にも額は少なくとも同様の不記載問題がある。

国際情勢を考えれば内政の混乱がもたらす日本の危機は深刻だ。法と良識に基づいて、一日も早く終息させる必要がある。安倍氏は政治資金について、法令遵守を重視した。その上で政策に集中した。拉致、国防、皇位継承、教育を重視し日本国の力強い再生を目指した。しかし、全ての活動の根本には法を守るという信念があった。清和会のみならず、政界全体が決意を新たに出直すしかない。