【日本語存亡の危機】
最近では日本語の将来に警鐘を鳴らす書籍が出版されています。
斎藤孝『なぜ日本語はなくなってはいけないのか』
山口仲美『日本語が消滅する』

「日本語に消滅の危機がきているかどうか」を示すサインとは『子供が日本語(母語)を話さなくなる』事だそうです。
子供が母語を話さなくなる場合とは、
一 強国が教育の場で同化政策を行う。
二 大人達が日本語(母語)を伝承する姿勢を示さなくなる。

一はロシアがウクライナの占領地でロシア語教育を強制する現状があります。
C国による標準シナ語政策が少数民族の言語を消滅の危機へ追いやっている現実が該当する。

二は国家がバイリンガリズム(二言語併用)を推進する場合に起こりやすく、日本の小学校での英語授業導入も関係します。
現時点では日本語と英語の併用を目指しているが、「経済的社会的に有利な言語を前にすると、母語を自ら進んで捨てる」状況が多くの国で生まれている。

国際競争に負けない為に早期英語教育を導入したが、庇を貸して母屋を獲られる如く母語が英語に変わる可能性があるのです。
アイルランドでは政府の保護政策にも関わらず、英語に変わりつつあります。
アラスカのエスキモー語も英語に移行しつつあるとの事です。

子供の日本語力が十分育っていない段階での英語教育は、日本語消滅が空想ではないと言えます。
日本人・日本の精神・日本文化を醸成した日本語に自信と誇りを抱き、意識して日本語を使い守る気概こそが肝要と思ひます。

以上「鶯の声」12月号より

続いて「頂門の一針 6723号」より転載します。

 【"財務省発、特捜行き"の政局】
【高橋洋一「日本の解き方」】「減税」で虎の尾を踏んだ岸田首相、検察は脱税まで…水面下で協議か 安倍派との党内抗争も 

岸田文雄首相は自民党安倍派の4閣僚を交代させた。これで政権の求心力を保つことができるのだろうか。

筆者は、今回の政局は「財務省発」だと考えている。岸田首相は親戚縁者に財務省関係者も多く、財務省にとっては身内のような存在だろう。

しかし、先月取りまとめた経済対策で、岸田首相には少し「自我」が芽生えてしまった。財務省関係者なら口に出してはいけない「減税」を言い出したのだ。結果として、岸田首相のいとこで、元財務官僚の宮沢洋一自民党税調会長は、先の臨時国会では所得税減税を処理せずに、来年度予算回し、つまり所得税減税は来年の通常国会で処理するとした。

11月2日の経済対策の閣議決定では、過年度の税収増3・5兆円を還元するとしていたが、同月8日の衆院財務金融委員会で鈴木俊一財務相は、「税収増はすでに使われている」と、岸田首相のハシゴを外した。

財務省の「倒閣」まがいのスタンスを見て、検察も自民党議員の裏金問題を持ち出した。財務省(国税庁)と検察は、ともに国家権力を支える役所として交流が深い。特に裏金問題は政治資金規正法違反となるが、それだけでは形式犯で終わりかねないので、検察としては税法違反(脱税)まで持っていきたい。そのためには財務省の協力が必要で、検察は財務省とも水面下で協議しているはずだ。

財務省としては、岸田首相の「自我」を覚醒させ、「減税」を吹き込んだとみられる安倍派幹部をよく思っていない。『安倍晋三回顧録』では、財務省と安倍元首相の暗闘が赤裸々に描かれている。その流れをくむ安倍派を排除できるのであれば、検察の動きを財務省も後押しするだろう。

岸田首相も、芽生えた「自我」を反省するとともに、この際、検察や財務省の動きを利用する形で「安倍派一掃」に出てきた。元々安倍首相の暗殺後、安倍派を一掃しようと、旧統一教会騒動を利用しようとしたフシもある。今度こそ安倍派一掃で、自前の内閣を持ちたいというのは、「政策より人事をやりたい」とされる岸田首相の悲願だろう。

いずれにしても、今回の内閣人事で、財務省の思惑通りに、安倍派が一掃された。岸田政権は財務省に恭順の意を表したといってもいい。

しかし、この裏金問題は、自民党の他の派閥にも、他党にもある。安倍派では「裏金」、岸田派では「不記載」と表記を変え印象操作している報道もあるが、本質的には同じだ。

政治的には、安倍派は会長不在でまとまらないともいわれるが、党主流派から一掃されれば黙っているわけにはいかず、捲土重来(けんどちょうらい)があるだろう。「仁義なき党内抗争」になるかもしれない。

財務省がハシゴ外しをした段階で、岸田政権はすでにレームダック(死に体)化している。安倍派外しで財務省にこびても「時すでに遅し」で、政権支持率低下とともに求心力はすでにない。今回の人事でも閣僚のなり手がなかなか見つからなかったとされ、すでに泥舟だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

☆☆☆☆☆☆   松本市 久保田 康文   夕刊フジ令和5年12月20日号採録