【日本の空は占領されたまま】
昭和60年8月12日午後6時12分、日航123便が524人の乗客乗員を乗せ、羽田空港から大阪に向かった。
南の伊豆大島に下り、西の潮岬に飛び、北に向けて大阪伊丹へ上る。
朝鮮動乱最中の昭和27年、三原山にぶつかった木星号と同じ飛行ルートである。

123便は大島沖で西に転舵して間もなく、大きな衝撃音と共に油圧計がゼロになり操縦不能となる。
高濱雅己機長は、エンジン推力を調整する神技で機を制御し30分間飛んだが、午後7時過ぎ御巣鷹山に墜落した。

墜落による山火事を最初に確認したのは米軍輸送機だった。
その情報を基に自衛隊と警察が出動したが、現地到着は墜落から14時間後だ。それでも4人を救った。

生存者が判るとメディアは「もっと早く現場に行けば多くが助かったはず」と、14時間を徒過した犯人探しに狂奔した。
朝日新聞系は、現場付近を飛びながら引き返した自衛隊ヘリを「夜間は休業」「サラリーマン自衛隊」と罵詈雑言だった。
事実誤認と無知を防衛庁が指摘すると、岡田俊次が乗り込んで「朝日に逆らうとはいい度胸だ」と担当の佐藤守を面罵する。

しかし、自衛隊のシロが判った途端に、朝日やその他新聞も現場に行けなかった理由に興味を失う。
なぜ、半世紀前の木星号と同様に南に大回りする大島経由なのか?
なぜ、墜落の第一発見者が米軍輸送機なのか?

羽田のすぐ西、多摩川の向こうは米軍が管理する横田空域になり、木曽川と糸魚川を結ぶ線辺りまで、日本の飛行機は飛ぶ事ができない。
羽田から西に向かうには、富士山をかすめる通称「横田コリドー」など2ルートしかない。

日航機は横田空域の南縁をぐるりと周った。伊豆半島沖で尾翼が吹っ飛び。コースを逸脱するが、そこは横田空域内だった。

日本は南房総の自衛隊峰岡山レーダーだけが同機をモニターできたが、標高500mもない山頂レーダーでは航跡しか追尾できなかった。
空域を飛ぶ米軍機の目撃情報と、レーダーの方位だけが捜索の手掛かりだった。
自衛隊ヘリが飛んだが、月もない暗夜で、山火事も消えた後では捜索にもならなかった。

問題は、日本のほぼ中央に「占領された空」が横たわり、日本はその中を覗く事すらできない事にある。
そこを飛ぶ米軍機の種類さえも日本は知らないのだ。
昭和35年、ソ連に撃墜された米軍U2偵察機は厚木米軍基地所属だが、U2が何時飛び立ちソ連に向かったかも日本は知らない。

こんな情けない空域の存在にメディアが関心を向け、政治に問いかけていたら、日本の空も変わっていたかも知れない。
日本のレーダーで監視出来ていたら、救助活動も迅速にできたし、もっと多くの命を救えただろう。

だが、愚かなメディアは今も日航機犠牲者の冥福を祈る感傷記事ばかりだ。
時計の針は昭和60年から止まっている。

以上「中国と韓国は息を吐くように嘘をつく」高山正之著より

続いて「頂門の一針 6082号」より転載します。

【変見自在】【北方四島が返る】          高山 正之 

 ロシア人の歴史は涙なくしては見られない。生い立ちは奴隷で、ローマ時代からボルガ川辺りで狩られては欧州に積 み出されていた。

 民族名スラブ(Slav)からslave(奴隷)という言葉が生まれ ている。

 でもやがて国を建て、蛮人でない証にキリスト教も信じたが、それは ローマンカソリックが嫌ったギリシャ正教だった。

 後に大きな不幸を招くことになるが、その前に別の不幸、モンゴルの来 襲を受けている。

 彼らは街を焼き、キリスト教の司祭は教会の中で火炙りにし、男は殺 し、女は犯した。

 ロシア版のメスチソになるか。それで「レーニン顔だらけになった」 (古田博司筑波大名誉教授)

 因みにウクライナの北は湿原地帯で、モンゴル騎馬兵を阻んだ。その向 こうのベラルーシ(白ロシア)はおかげで犯されず、純白のまま、それを 祝して国名にした。

 出自に加えてアジア人の凌辱という屈辱はきつかったが、彼らはそれを 懸命に乗り越えた。

 プロイセンから来たエカテリーナ二世の努力もあって「東外れの白人大 国」と呼ばれるまで持ち直したが、それを日本が阻んだ。

 最強と言われた露陸軍は金州、遼陽、そして奉天の戦いに連敗して遁走 した。 海でもウラジオストク艦隊、旅順艦隊、バルト艦隊のすべてが沈められた。

 セオドア・ルーズベルトが割って入って1銭の賠償も払うことなく、何 とか白人国家の面子は保たれたが非白人国家に完敗した白人国家という汚 名は消えることはなかった

 ブレジネフの時代に特派員で来たニューヨーク・タイムズのヘドリッ ク・スミスの著書『ロシア人』の中で「彼らは感情の表現が今いちで、白 人が最も大事にするヒューモアのセンスにも欠ける」と書く。

 白人国家の末席以下風に見下している。

 20世紀。共産主義にすがって東西冷戦の一方の雄に成り上がったもの の、長続きはしなかった。ベルリンの壁が倒れただけで、ソ連邦自体まで 消えてしまった。

 1・1ドルした1ルーブルは今、日本円で1円以下だ。

 ロシアはワルシャワ条約機構軍を解散するに当たり、西側に「無用に なったNATO軍を解散したら」と言った。敵が消えたのだから当たり前 の話だ。

 しかしローマンカソリックの十字軍を気取るNATO軍は言を左右にす る。究極の敵はギリシャ正教を信じるロシアだと思っているらしかった。

 負けた弱みもある。結局NATOの存続を認め、ただし「東独より東に 勢力を拡大しない」「加盟国でもない国への出動はしない」を約束させた。

 ところが、その舌の根が乾かないうちにNATOはポーランドの加盟を 言い出し、チェコやバルト三国まで取り込みを始めた。

 おまけにカソリック系クロアチアとギリシャ正教系のセルビアが内紛を 始めると、NATOは「セルビアがイスラム教徒を虐めて居る」と言い出 して軍事介入を決めた。両国とも非加盟国なのに、だ。

 NATO軍はセルビアの首都を空爆し、同国の大統領を戦犯として拘束 してしまった。NATOはシナと同じだ。約束は守らず、力で押せるならどんな横暴も やることを見せつけた。

 もう一つNATOはイスラムよりギリシャ正教を嫌っていることも分 かった。そのNATOがロシアとの最後の緩衝地帯ウクライナに手を付けた。

 ここは昔ポーランドが支配して西半分はカソリックに改宗している。 NATOには取り込み易い国だ。 

 おまけにウクライナ政権の中枢にはポグロム(ロシア人のユダヤ虐殺) を根に持つ反ロシア派が多い。プーチンが暴挙に出ざるを得ない状況だった。

 日本は人道的見地とか適当でいいから、とにかくプーチンを徹底的に叩 き潰す側に回りたい。そして北方四島を取り返し、60万日本人を使役させた償いをさせたい。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 採録