2024年7月9日

By Howard Whitman(Goldmine)


2024年6月30日、ケズィック・シアターで開催されたプログジェクトとビル・ブルフォードのショーは、講演とハイレベルなプログレコンサートという、興味深く、ユニークで、とても楽しい組み合わせだった。


博学で、文学的で、学者でもあるウィリアム・ブルフォード博士のインタビュー・セッションと、ツアー中のスーパーグループ、プログジェクトのコンサートは、奇妙な組み合わせに思えるかもしれない。

しかし、ブルフォード博士が、イエス、キング・クリムゾン、UKなどの名盤に参加し、ジェネシスのツアーにも参加した先駆的ドラマー、ビル・ブルフォードとしてよく知られていることを考えれば、このダブル・ビルは非常に理にかなっている。


そして、6月30日にフィラデルフィア郊外のペンシルバニア州グレンサイドにある元映画館で、この地域でトップクラスの音楽会場のひとつとなっているケズウィック・シアターで行われたこの公演は、とても素晴らしいものだった。


ショーは、この夜の最初のスタンディング・オベーションの中、ブルフォードが登場するところから始まった。

彼の 「オープニング・セット 」は、主に音楽ジャーナリストのアニル・プラサドのインタビューと、観客からの質問に答えるというものだった。

ブルフォードは、6月29日にニューヨークのソニー・ホールで行われたプログレッシヴ・コンサートのオープニングでも同じ形式をとった。


ブルフォードは、音楽キャリアの初期、共に活動した伝説的なプログレ・バンドとの歴史、学業、自身のジャズ・バンドBill Bruford's Earthworksを率いていた時期、そしてライヴ・パフォーマンスからの引退についてプラサドから質問を受け、終始面白く、活発で、比較的緩やかなインタビューとなった。


【引退】

「60歳かそこらで、ミュージシャンとしての仕事、楽器を演奏することではなく、それに付随する他のことにとても嫌気がさしたんだ」とブルフォードは振り返った。

「ヒースロー空港からマドリードまで2時間の公演のために往復する煩わしさ、4つの異なる国から来たジャズ・ミュージシャンが、リオデジャネイロへの乗り継ぎをするために、同じ時間に空港に到着するように手配したり。そんなことをやっていたら、誰でもちょっと頭がおかしくなってしまうよ。だから、2009年に活動を休止したとき、今でいう燃え尽きた状態だったと思う。何か他のことをしなければならないと思ったんだ。すぐに何か他のことを見つけようと思った」

彼は学問に転向し、2016年にサリー大学で音楽の博士号を取得した。


【アラン・ホワイト】

プラサドに最も賢いことと最も間抜けなことを尋ねられたとき、彼は後者の例として、マディソン・スクエア・ガーデンでのイエス・ユニオン・ツアー中にアラン・ホワイトとドラム・デュエットをしたときのことを話した。

「不運なことに、私のとても高価な電子ドラム・セットは、それまでは金と同じように使えたのだが、荷造りすることにしたんだ。アコースティック・シンバル、アコースティック・スネア・ドラム、ハイ・ハットだ。一方、アランは、シェリングなど、私のモニターで鳴り響く選択肢の数々を持っていた。荒れたギグだった」

(注. ビルのシモンズはユニオン・ツアーMSG公演中に壊れた)


【キング・クリムゾン】

キング・クリムゾンの曲やアルバムで、自分の演奏に本当に満足しているものがあるかという観客からの質問に、彼はこう答えた、 

「いい質問だね。いや、ほとんどない」

彼はこう付け加えた。

「レッドは楽しいから、いいんだ」


【キング・クリムゾンの最終ラインナップ】

コンサートに来ていた観客から、このバンドについて意見を求められたとき、彼はこう答えた。

1994年にリリースされたアルバム『Thrak』では、パット・マステロットとドラム・チームとして、2人で何かできることはないかと懸命に取り組んだが、3人のドラマーはちょっと多すぎた。見た目はとてもきれいだったけど」


【BEATツアーへの招待】

バンドの1980年代のラインナップの半分(エイドリアン・ブリューとトニー・レヴィン)に、ギタリストのスティーヴ・ヴァイとドラマーのダニー・キャリーが加わった再結成について、彼は「彼らの幸運を祈っている」と語った。

「エイドリアンに頼まれたから、僕は適任じゃないって言ったんだ。繰り返しが多すぎる。音楽は40年も前のものだ。僕にはできない。スティーヴができる理由はわかる。ダニーができるのも理解できる。それは本当に素晴らしいことだと思うけど、僕には合わないんだ。さらに公演が30日も追加された」


彼はまだ作曲も演奏も続けているが、公の場では演奏していない。

引退後も作曲を続けるのかという観客の質問に、彼は「ああ、作曲は続けるよ。いや、何かのために作曲することはあまりないと思う。自宅でジャズ・ミュージシャンと演奏し、リズムや音楽のアイデアを試すことはあるかもしれないが、それを作曲とは言わない。レコードを作ったり、アマチュアのレベルを超えたものを作ったりするつもりはないんだ。プロからアマチュアに格下げしたんだ。アマチュアはプロよりもずっと楽しい」


ブルフォードは約1時間話し、質問に答え、再びスタンディング・オベーションに包まれた。


[ビルのセクションでは写真撮影が禁じられた]



【プログジェクトの演奏】

セットリスト:

Cogs in Cogs [Gentle Giant]

In the Dead of Night

Alaska

One More Red Nightmare / Lark’s Tongues in Aspic

Firth of Fifth

Cinema Show

Solsbury Hill

Jethro Tull Medley - Living in the Past / Teacher / Aqualung / Locomotive Breath

Hell’s Bells

Dust in the Wind [Kansas]

Five Percent for Nothing

Roundabout

Heart of the Sunrise

The Lamb Lies Down on BroadwayよりBack in N.Y.C. / The Colony of Slipperman / It

Karn Evil 9

Pictures of a City

21st Century Schizoid Man


メンバー:

Jonathan Mover [drs]

Ryo Okumoto [keys]

Mike Keneally [gtr]

Pete Griffin [bass]

Alessandro Del Vecchio [vocal]



出典:

https://www.goldminemag.com/columns/progject-bill-bruford-show-mixes-classic-covers-with-clever-conversation



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