◾️検証:ミックスもマスターも同じなのにCDはプレスで音が変わるのか?「迷宮」に挑戦してみた(笑)



興味深い記事でしたが、もし本当なら「アトランティックの米国PR工場は音がいい」などというアナログのような恐ろしい迷宮に迷い込んでしまいます。怖いよ〜😱


自分で差が知覚できるかどうか、全く自信はありませんが、興味が湧いて聴き比べの実験をしてみました。

イエスは最近たくさん聴いて飽きたので、選んだのは、フラワーキングスのリマスター以前の3タイトルです。


【対象】

1. 『Stardust We Are』 


① 初版のFoxtrot盤(1997) FOX CD-018

IFPI L051 / DCM(Digital Communication Media AB)というスウェーデンの会社で製造されています。


② InsideOut盤(1999)IMOCD 048

2009年の海外ツアーのお土産でいただいたサイン入りのブツで、購入したわけではありません。

IFPI LB45 / ドイツ(のソニーかワーナー)の工場で製造されています。


2.『Space Revolver』


③ Avalonの日本盤(2000)MICP-900004

IFPI L245 / ビクター大和工場(当時)で製造。


④ アルゼンチンNew Mellotron Records盤(2000)

New Mellotron 3

ブエノスアイレスのコンサート会場で購入したもの。

IFPIコードの刻印が豆粒すぎて読み取れず。要ハズキルーペ(苦笑)

製造は刻印があるSonopressというイエスのブラジル盤を製造したこともあるドイツの会社ですが、ブラジル、ドイツの他にもメキシコ、香港やアメリカにも工場があるので工場は特定できず。地理的に近いのは、ブラジルかアメリカです。


3.『Islands』


⑤ InsideOut盤(2020)19439803922

コードは無いけどSony Musicの刻印あり。ソニーの欧州(ドイツ?)工場かな。

InsideOutは現在ソニーミュージックの傘下です。


⑥ ソニーの日本盤(2020)SICP 31392-3

ボーナストラック目当てで買いました。

見慣れぬIFPI L200 / 多分ソニーの国内工場でしょう。



【試聴結果】

1. 『Stardust We Are』 

スピーカーで普通の音量で流す。最初は全く違いが分からず。これじゃ無理と思い、シュアのイヤホンのイヤーパッドを新品に交換して音量を上げて聴いてみました。

気持ちInsideOut盤の方が元気が良いかな?という程度。でも気のせいかもしれません。


2.『Space Revolver』

日本盤をまず聴いて、次のアルゼンチン盤は劣るのじゃ無いかと勝手に予想。

日本盤の方が少し低音が出ているような「気がする」けど、アルゼンチン盤も十分良い音。優劣をつけるほどじゃないと思いました。音質の違いはほとんど無し。


3.『Islands』

最後の日本盤はソニーが誇るブルースペックCD2

一番違いが分かるのでは、と期待。

冒頭のSEとドラムン・ベースが少し元気があるかもと思いつつ、気のせいかも、という程度。高音も少しクリアな気はしますが。

「お前のダメ耳では素晴らしいBSCD2の違いはわからんのじゃ」とソニー様に叱られても仕方ありません。

でもBSCD2がピンク・フロイド様のアプルーバルを得られなかった故事もあるわけで、必ずしもピット形状や材料などデータの優位がそのまま誰にでも良い音に聞こえる程では無いのかも。サーセン。


前回の来日公演のときに、TFKFCの方が「『Waiting For Miracles』の日本盤は音が良い」と言われていたのを思い出しましたが、どうも自分には豚に真珠、猫に小判のようです。


結局少しモヤモヤする程度の違いはあるかもしれないけど、その優劣をはっきり知覚するのは自分のダメ耳には無理でした。でも少し安心(笑)



【結論】

宇多田ヒカルさんのケースのようにプレスで音が変わる可能性はあるのかもしれないけど、品質管理がされているでしょうし、音質の良し悪しまではっきり出てわかるのは一般的にはレアケースではないでしょうか。

微妙に音の響きに差があったとしても、ソース(マスターやマスタリングなど)の違いに比べれば誤差の範囲でネグリジブルだと思いました。

TFKの場合、プレス違いを気にするくらいなら、はっきりサウンドが異なる最近のリマスター&パート・リミックス盤を聴く方が余程有益です。


ただ時代とともにCDの音質が向上しているのは感じます。今聴くと80年代に製造されたCDは明らかに音質が劣っています。プレスなどの技術改善も貢献していることでしょう。


最新のTFKのライヴ盤はDiscrepublicというスウェーデンの会社の製造でした。今回の実験結果から、来月発売されるベル・アンティーク盤を買って比較せずともよさそうです(笑)



【追記】

イエスの『Fly From Here』(2011)の各国盤を観察してみて気がついたこと。

韓国盤と台湾盤はフロンティア(伊)の直ライセンスではなく、日本のアヴァロンの孫ライセンスで出ています。

日本盤は通常盤とDVD付の二枚組のふたつがリリースされて、二枚組の方だけがSHMCDでした。両方ともJVCケンウッド(旧ビクター)の国内プレスです。


韓国盤(Evolution Music)は韓国プレスでしたが、二枚組の台湾盤(Magnum Music)はJVCの日本プレスでした。盤面も似ており、アヴァロン盤の流用かと思ったら別プレスでした。


左台湾盤L244(黒雅音楽有限公司)、右日本盤(アヴァロン)



こちらは日本盤の1CD通常盤の盤面デザイン


ブラジル盤とアルゼンチン盤は、それぞれの国でプレスされています。イタリア本国盤は識別できませんでしたが、国内にプレス工場はあるようです。

でも、もうプレス違いの聴き比べはしません(笑)



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