◾️2012年のインタビューより
By Diego Camargo(Progshine 🇧🇷)
まずはフラワー・キングスの復活はどうでしたか?
最高だよ!今月から新曲のリハーサルを始めたんだ。
8~9曲できていて、そのうちの1曲は23~24分の大作なんだ。新譜のタイトルは『Banks Of Eden』だ。新しいドラマーもいるんだ。ベルリン出身のドイツ人ドラマーだよ。
彼とはどうやって知り合ったのですか?
友達が教えてくれたんだ。新しいドラマーを探していると言ったら、彼を勧めてくれた。彼のウェブサイトを見て、彼がレコーディングしたものを聴いて、このバンドにぴったりかもしれないと思ったんだ。それで連絡を取って、フラワー・キングスでやってみないかと誘ったら、快く引き受けてくれて、一緒にリハーサルをやってくれたんだ。彼は素晴らしいよ。
名前は?
フェリックス・レーマン(Felix Lehrmann)、26歳だ。
以前のドラマー、エリック(注. 2008年のツアーに参加したErik Hammarströmのこと)は、あなたが活動休止する直前にバンドに加わっていましたね?
その通り。彼は素晴らしいドラマーなんだけど、ただ、彼は僕らとレコーディングをしたことはなくて、ツアーに出ただけだったんだ。
フラワーキングスを知った時は驚きました。90年代から現代風にアレンジされたプログレッシヴロックを演奏しているのに、まるで70年代のようだったからです。それは正しいと思いますか?
そうだね、そういう見方もできると思う。ロイネは70年代にカイパと一緒に演奏とレコーディングを始めたし、フラワーキングスのメインソングライターで、レコードのプロデュースもしている。その結果、70年代のようなサウンドになったんだと思う。
でも、各メンバーが少しずつ貢献することで、僕らのサウンドも 「モダン 」になるんだ。というのも、僕たちはキング・クリムゾン、イエス、EL&P、ジェネシス、ピンク・フロイド、プロコル・ハルム、そしてビートルズといったバンドから強い影響を受けているからね。
あなたはこれらすべての影響を受けて、自分のサウンドにミックスしています。
そんなことはないよ。誰かの真似をすることなく、自分たちの影響を統合して、自分たちのやり方で作曲しようとしているんだ。
さらに面白いのは、メンバー全員が違うプロジェクトを持っていて、そのどれもがフラワー・キングスのようには聴こえないということです。Agents Of Mercy、Karmakanic、Third World Electricなどです。
それは、違う人たちとスタジオに入るたびに、すべてが違ってくるからだと思う。フラワーキングスと一緒にいるときは、僕、ロイネ、トマス、ハッセの4人で、自分たちのサウンドを持っている。でも、例えばカーマカニックとスタジオに入れば、全く違うバンドで、全く違うメンバーで、違う雰囲気になる。それにカーマカニックの曲はほとんど僕が書いていて、ロイネは参加していない。そしてそれはAOMでも同じで、ロイネが作曲し、ナッド・シルヴァンが参加している。完全に違うのは3rd World Electricだけで、ロイネと僕は腰を落ち着けて、ウェザー・リポートやチック・コリア、リターン・トゥ・フォーエヴァーのような70年代のフュージョン・ロックのようなレコードを作ろうと考えた。
カーマカニックはどうですか?『In A Perfect World』のリリース以降、バンドはどうなっていますか?また、アルバムをリリースするたびに、あなた方は自分たちを凌駕しています。
ありがとう。これは僕らの学習過程であり、向上であってほしいね。アルバムをレコーディングするたびに、前作よりもいい音にしようと努力しているし、それが成功していることが分かってうれしいよ。それが僕の目標で、いつもよりいい曲を書くことを心がけているからね。
『In A Perfect World』(2011年)では、インストだけに集中するのではなく、良い曲、良い歌詞を作るために、作曲にもっと重点を置くようにした。各曲に生命が宿るようなソリッドなアルバムにしたかったので、歌詞にかなり力を入れた。それが最大の変化で、各曲でストーリーを語ろうとした。曲に表情を与えるために、アメリカ在住のジュリア・オルソンにも手伝ってもらった。彼女は、どのようなフレーズを使うべきか、どのような言葉が最適か、といったプロセスで僕を大いに助けてくれた。このプロセスから多くのことを学んだ。
Agents Of Mercy
最近のインターネットの全過程で、例えばカーマカニックのディスクのリリースに新しいテクノロジーの影響を感じますか?
違法ダウンロードのこと?
それも含めてインターネット環境全般のことです。
ポジティブなことも確かにあるし、人生何でもそうだけど、ネガティブなこともある。
例えば、レコードをリリースすると、それに参加したミュージシャンにお金を払わなければならない。ミキシングやマスタリングにもお金を払わなければならない。自分の音楽に時間とお金を投資しているのに、突然、誰かがそのディスクをタダで配っていることを知ったら、もちろん腹が立つ。
それが悪いことで、しかもこの種のダウンロードは違法であり、議論すべきことですらない。こんなことをする奴らは犯罪者だ。
ダウンロードした人が購入し、友達に広めるならいいかもしれないが、そうなっていない。月額料金を払えば、すべて無料で手に入れられるサイトさえある、それは間違っている。ディスクを作るのは簡単じゃない、多くの努力が必要なんだ。
あなたは現在、自身のレーベルを持っていますが、インターネットのレコードセールスへの影響は感じていますか?
2年前に始めたので、比較することができないし、ビフォー・アフターもないので、なんとも言えない。でも、僕がリリースしたレコードを買うためにお金を投資してくれる人たちがまだいてくれるから嬉しいし、彼らにはとても感謝している。その人たちは今でも、ディスクを買って家でかけ、自分のディスクだという感覚を持つことが重要だと信じてくれている。そういう人たちがまだ存在していることに幸せを感じている。
これは世代間の違いだと思うのですが、レコードを買う、家に持ち帰る、レコードを 「感じる 」という経験全体が、今の新しい世代はすべて失ってしまったと思いますか?
若い世代を教育し、ゲームやその他のものをダウンロードするときは、他人の作品や時間、労力を盗んでいるのだということを教えなければならない。
ミュージシャンとして生きていくためには、自分の仕事に対して対価を得る必要がある。そうでなければ、音楽の質は急落してしまう。
最近の音楽は、ただコンピューターで何かをするための背景として機能しているだけで、実際には何も気にしていないように思えます。それが新しい世代の悪いところだと思います。人々は音楽と『一緒に』いるのではなく、ただ音楽を『手に入れたい』だけです。でも結局のところ、ディスクや曲の中で何が起こっているかなんて誰も知りません。
それはおそらく事実だろうね。確かなことは言えないが、悲しいことだ。ロイネや僕、イエスのメンバー、スティーヴ・ハケットのように、プログレの旗を掲げている人たちは、気にかけているからね。しかし、大衆の影響が続かなければ、続けることは不可能になる。もし誰も本当に注目していないのなら、なぜ曲に細部までこだわるのか?その曲をもっと良くするために、あるいはギターパートやベース、その他の楽器にもっと力を入れるために、なぜ別の日に取り組むのか?そうすれば、将来にわたって優れたミュージシャンや作曲家、アレンジャーを生み出すことはできない。良い音楽はそのようにして終わってしまう。
あなたは現在プログレ・バンドでプレイしていますが、ジャズのバックグラウンドを持っていますよね?
ジャコ・パストリアスの大ファンで、同時にクリス・スクワイアのファンでもある。好きなミュージシャンの演奏を聴き、彼らから学び、自分の道を見つけようとしている。20年前は1日10~12時間練習していた。そしてこの10年、12年の間に、僕は自分の勉強した音楽の自分のバージョンを発表することができるようになったと言える。
ジャンルの壁を越えるのはどんな感じでしたか?
僕はもともと、1つのタイプの音楽だけを聴くタイプじゃなかった。何でも聴くよ。例えば、好きなバンドのひとつにKing's Xがあるんだけど、彼らが使うリフのスタイルが大好きなんだ。子供の頃、9歳くらいからキッスやアイアン・メイデンをよく聴くようになり、15歳頃にイエスに出会って、『ビッグ・ジェネレイター』のような80年代のアルバムを聴くようになった。
『ビッグ・ジェネレイター』が好きで、しかもいいアルバムだと思っている人をやっと見つけました(笑)
『ビッグ・ジェネレイター』がリリースされた時、友人とレコード屋に行ってLPを買ったんだ。友人の家に行ってディスクをかけたら、1曲目が『Rhythm Of Love』だった。そのレコードのプロダクションはとても素晴らしく、世界最高のバンドだった。そのとき初めて、『ドラマ』、『リレイヤー』、『海洋地形学の物語』などの古いイエスのレコードを聴き始めたんだ。
AC/DCやKing's XやAvant Gardの曲も、ジョン・コルトレーンやジャコ・パストリアス、ウェザー・リポート、チック・コリア、マハヴィシュヌ・オーケストラ、プロコル・ハルムやビートルズなどのジャズも、エルトン・ジョンもデヴィッド・ボウイも、何でも完璧に楽しめる。あらゆるスタイルから音楽の良さを見つけ、その影響から自分のベースを弾くスタイルを作ろうとしているんだ。
フラワーキングスに加入したのはいつですか?
1999年に加入したんだけど、すでに何枚かアルバムをリリースしていて、バンドでの最初のアルバムは『スペース・リヴォルヴァー』だった。
あなたはバンドと一緒にブラジルに来たんですよね?
そうだね、リオデジャネイロとカタグアゼスで演奏したよ。
どうやってバンドに加入したんですか?
バンドの元ドラマー、ハイメ・サラザールの紹介だった。彼とは以前から知り合っていて、何曲かレコーディングしたり、一緒にギグをやったりしていたんだけど、彼が僕をバンドに推薦してくれたんだ。僕はまだバンドにいる(笑)
その前は、他のバンドでプレイしていたんですか?
日本のレーベルでハードロック・バンドをやっていたよ。(注. 97年にアルファレコードからデビューしたMidnight Sunのこと。TFKの初代ドラマー、ハイメ・サラザールもプレイしていました)24歳で大学を卒業して、フリーランスとして2年間プレイしたんだ。
そしてフラワーキングスからカイパ、ザ・タンジェントと一緒にプレイすることになったんですね。
そうそう。結局、フラワー・キングスは僕の大きな傘であり、そのおかげでたくさんのバンドと共演し、たくさんのレコードに参加したし、今では自分のカーマカニックを持っている。
フラワーキングスの新譜と新しいツアーの他に、近い将来の計画はありますか?
3rdワールド・エレクトリックの新しいアルバムの話をしてるんだけど、たぶんもっと短い曲で、今回はライヴ録音なんだ。スタジオで一緒にやろうと思っている。
4月から5月にかけて、カーマカニックとAOMと一緒に、RosFestのためにアメリカに行く予定だよ。その少し前にはカーマカニックとヨーロッパ・ツアーもやる予定だ。それからフラワーキングスの新譜を完成させて、3万人が集まるスウェーデン・ロック・フェスティバルで演奏する。それが今のところの計画だ。
ブラジルはどうですか?ここで演奏する可能性はありますか?
わからないよ。すべてはお金次第だ。プロデューサーが興味を持ってくれて、僕らをここに連れてきてギグやフェスティバルをやるのは儲かるかもしれないと思ってくれて、ギグの資金などを出してくれる必要がある。それは素晴らしいことだけど、複雑で、航空券や機材の運搬など、お金がかかるんだ。
最近何を聴いていたか教えてください。
実を言うと、ここ1ヶ月はフラワーキングスのデモしか聴いていないんだ(笑)でも、コールドプレイの最新アルバムもたくさん聴いたし、ザ・バンドもよく聴くよ。でもYouTubeをよく見ていて、ついつい夢中になってしまって、リンクをクリックしたり、クリックし続けたりして、そこでいろいろなものを聴いてしまうんだ。
スティーブン・ウィルソンの新しいアルバム『Grace For Drowning』も聴いているし、基本的に今聴きたいと思ったものは何でも聴いている。プログレ・バンド、例えばザ・タンジェントの新譜『COMM』はとても良い。
TFK
一般的な質問ですが、ブラジルのジャーナリストはみんなこの質問でインタビュー相手を遠ざけるのが好きなんです(笑)。ブラジル出身のバンドを知っていますか?
あまり知らないけど、フローラ・プリムの『The Drunk And The Equilibrist』は大好きだよ。
出典:
https://progshine.wordpress.com/entrevistas/entrevista-exclusiva-com-jonas-reingold/
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