92年の8人イエスで生クリス・スクワイアを初めて観た時はあまり分かりませんでしたが、その後94年、98年、2003年、2012年、2014年と来日するたびにライヴで圧倒されたのがクリスのムーグ・タウラス(ベース・ペダル・シンセ)の重低音でした。

特に「同志」終盤でのお腹にズシンと響く重低音には病みつきになりました。

しかし、これはライヴアルバム『イエスソングス』では、使っていなかったのか、録音の限界だったのか、聞こえません。


クリスはいつから使っていたのでしょうか。

クリスのギターテックだったRichard Davisによると70年代にクリスは二つのベース・ペダルを使っていたそうです。

一つはタウラスI(1975年発売)、もう一つはイタリア製電気オルガンの付属ペダル(Dutron製)です。



クリスがタウラスIを使っている写真がインスタグラムに投稿されています。



少なくとも『イエスソングス』(1972年ツアー)の時期にはタウラスはまだなかったわけです。

しかし1972年ツアーでDutronのペダルを使っていたことは、目撃者がいました。



イエスのライヴアルバムで「同志」のベースペダルの音が一番よく聞こえるのはどれか、いろいろ聴き比べてみました(笑)

結果は『Keys To Ascension 2』が一番よく聞こえました。(「同志」の8分40秒付近)

もちろんライヴ会場には及びませんが、しっかり重低音が録音されています。機会があれば一度聴いてみてください。


ムーグ・タウラスのアーリー・アダプターの一人が、ジェネシスのマイク・ラザフォードだと言われています。

彼は『トリック・オブ・ザ・テイル』の録音にタウラスIを使用しています。

それまでは「Dewtron Mister Bassman」というペダルを使っていたそうです。

ライヴ・アルバム『セカンズ・アウト』の「ザ・シネマ・ショウ」(7分45秒あたり)が一番圧巻のサウンドが聴けるのではないかと自分は思います。

ザ・フラワー・キングスの「ザ・シネマ・ショウ」のカバーでも意図的にペダルの重低音が強調されていますので、この曲のアイコンだと思われているのかもしれません。



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