◾️34年前の1990年3月20日、アンダーソン・ブルフォード・ウェイクマン・ハウはボストンのワン・センターで演奏した。



1990年3月21日

By Brett Milano(The Boston Globe) 


一般的なアリーナ・コンサートは、観客が立ち上がり、一晩中ロックについて歌い続けることで終わる。

アンダーソン・ブルフォード・ウェイクマン・ハウが昨夜ワン・センターで行ったほぼ完売のライヴのようなアート・ロック・ショーは、観客が立ち上がり、宇宙の秩序について歌うところで終わる。

これがアート・ロック・コンサートと普通のアリーナ・ロック・コンサートの違いだ。


70年代半ばの全盛期、イエスはより宇宙的なバンドのひとつで、アルバム1枚分のコンセプト・ピースや、いまだに解明されていない歌詞が多い。

しかし、彼らはそれが得意でもあった。イエスのピーク時のアルバム(『危機』、『海洋地形学の物語』)は、当時としては非常にユニークなサウンドであり、今でも十分に通用する。


ABWHは正式にはイエスの再結成ではなく、よりポップなヒット曲「ロンリー・ハート」をレコーディングした後期イエスのラインナップがまだその名前を保持している。

しかし、シンガーのジョン・アンダーソン、ドラマーのビル・ブルフォード、キーボーディストのリック・ウェイクマン、ギタリストのスティーヴ・ハウは、『危機』を制作した最も有名なイエスのラインナップの5分の4である。

そして昨夜、彼らはその70年代半ばの精神に近いことを証明した。



現在のイエスとは異なり、ABWHは自分たちのサウンドを商業化しようとはあまりしなかった。

昨夜の新しい曲(ベストは「Brother of Mine」とフィナーレの「Order of the Universe」)は、昔の叙事詩に比べると少しトリッキーさに欠けたが、それでも多くのパートが連動し、アンダーソンの妖精のようなヴォーカルとウェイクマンとハウの素早いソロがたっぷり聴けた。


20分に及ぶ「危機」(この夜のピーク)、「燃える朝焼け」、そして半アコースティック・ヴァージョンで演奏された「ラウンドアバウト」など、往年の大曲も披露された。

アンダーソンがオープニングで「ロンリー・ハート」のアコースティック・ヴァージョン(これは彼がイエスを脱退する前にレコーディングしたもの)を演奏したのだが、まるでヴィーナスのラウンジ・シンガーのようだった。


このグループはおおむね、完全性を保ったままやり遂げた。

ハウとウェイクマンは、近年無駄にされてきた(ハウはエイジアとGTRという本当にダメなバンドでプレイしていた)素晴らしいプレイヤーだ。

「スターシップ・トゥルーパー」でのハウのギターの爆発や、「危機」でのウェイクマンのマルチ・キーボードのワークアウトなど、彼らの最高の瞬間は、70年代の最高の瞬間を思い起こさせる。


しかし、ほとんどの左カーブはブルフォードが投げたものだった。

近年はジャズ・ドラマーとして活躍するブルフォードは、リズムを巧みに軌道から少しずらし、強く蹴り返す。

ベースにはボストン出身のトニー・レヴィン(80年代初期のキング・クリムゾンでブルフォードと共演)を迎え、リズム・セクションだけでもこのバンドをエキサイティングなものにしている。


昨晩のセットリストは、昨年9月のグレート・ウッズ公演とほぼ同じで、3分の2が旧曲、3分の1が新曲だった(オールディーズのひとつ「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル」は夏以降に削除された)。

そして、ありそうでなかったことだが、イエスの広い視野とポジティブなクオリティが90年代でも通用することを証明してみせた。