■バジャーの遅すぎた認知



1975年9月7日

By Rick Atkinson

(The Sunday Record)


レコーディング業界の悲しい真実の1つは、非常に多くのアルバムがリリースされるにもかかわらず、そのうちの数枚しか相応の露出を得られないということだ。

まったく聴かれないレコードもあるし、中には、関係するミュージシャンのキャリアを救うには遅すぎる評価を得るものもある。

「ワン・ライヴ・バジャー』は後者に属するアルバムだ。


バジャー(Badger)(結成当初は「Angel Dust」として知られていた)は、最近イエスを脱退したトニー・ケイの発案によるものだった。

彼にドラムのロイ・ダイク(元アシュトン、ガードナー、ダイク)、ギタリストのブライアン・パリッシュ、ベーシストのデイヴ・フォスターが加わった。

ケイとフォスターは、フォスターがジョン・アンダーソンとイエスのために曲を共作したときに知り合った。

バンドはファースト・アルバムにライヴ録音を選んだ。

『ワン・ライヴ・バジャー』(1973)は、1972年12月、ロンドンのレインボー・シアターでイエスの前座を務めた際に録音された。


1曲目から、このグループが革新的であることは明らかだ。

「Wheel of Fortune」は、ギタリストが1人しかいないにもかかわらず、デュアル・ギターのようなラインで始まる。

この効果を生み出すために、ケイはハーモニック・ラインをシンセサイザーでギターのように演奏している。

同様の技はアルバム全体を通して登場する。

ケイは時折シンセサイザーを使うが、彼の貢献のほとんどはオルガンである。


イエスという名前と美しいロジャー・ディーンのカヴァーにもかかわらず、『ワン・ライヴ・バジャー』は最初から絶望的だった。

ほとんどオンエアされなかったし、無名のアルバムが売れることはめったにない。

バジャーは結局解散し、その後ジャッキー・ローマックスをリーダー/リード・シンガーに迎えて『ホワイト・レディ』という悲惨なスタジオ・アルバムを発表した。

このアルバムの失敗で、グループは永久に破滅することになった。


『ワン・ライヴ・バジャー』はついにアトランティックのカタログから削除され、それ以来伝説のアルバムとなった。

このアルバムは現在、コレクターが新品を10ドルも出して買うほど需要がある。


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■なによりもギターがブリティッシュ・ロックでプログレではありませんが、このアルバム好きです。珍しくトニーがシンセのソロを弾いています。日本では結構売れたんじゃないでしょうか。