■圧巻の「ザ・シネマ・ショウ」



Artist:Genesis

Title:Seconds Out

Year:1977


ご存知ピーター・ガブリエルなき後のジェネシス1976年ツアー(ビル・ブルフォード/ グラスゴー公演)と1977年ツアー(チェスター・トンプソン / パリ公演)を収録したライヴ盤です。

自分が聴いた最後のジェネシスのレコードです。

(でも80年代のコリンズ&フィリップ・ベイリーの「イージー・ラヴァー」は買いました)

この後彼らは脱プログレしてアメリカで大成功していきます。(90125イエスと似ていますね)


70年代には英メロディー・メイカー誌読者投票のライヴアクト部門で長年上位の常連だった彼らの油の乗った演奏が堪能できます。

(唯一の小さな不満は、ギターのミックスがキーボードに比べてやや小さいことくらいです)


MM誌1976年のライヴアクト部門投票結果

1974 - 1976年の三連覇を達成


最初に聴いた時に一番驚いたのは、フィル・コリンズのヴォーカルのうまさでした。特にガブリエル時代の旧曲も違和感なく歌いこなしていたのが印象的でした。ソロとして売れたのも納得です。

後年に映像を観て知ったのは、彼のステージ上でのパフォーマンスです。その後は音を聴いただけで彼の動きが見えるようになりました(笑)

フロントマンになって、彼のパフォーマーとしての才能が開花しましたね。ジョン・アンダーソンが憧れて真似したのもわかります。


ブルフォードの演奏は残念ながら1曲(「ザ・シネマ・ショウ」)のみしか収録されていませんが、彼らしいスネアと圧巻のプレイがこの1曲に凝縮しています。一聴して彼だとわかります。


ブルフォードのプレイが1曲しか収録されなかったのは、以前の記事(下記参照)にあったように、同じことをやりたがらない彼の、型にとらわれないプレイが災いしたようです。

「インプロ男」の面目躍如です。


ブルフォードが居るジェネシスのライヴは、米国のラジオショーで何度か放送されましたが、その全貌は1994年のビデオ『In Concert 1976』が出るまで長年謎のベールに包まれていました。

観るまでは随分悶々と妄想に囚われました(笑)


このアルバムは2008年のボックスセットでリミックス&リマスターされた後に、2009年に単体リリース(日本盤)されて、最後は2014年にリリースされたきり再発されていないようです。

買おうと思って探してみたら、リミックス&リマスター盤は中古マーケットから枯渇して、あっても高値で取引されているようです。


つまり、需要はあると思うのです。ライヴ盤も再発されることを願います🙏

元がLP2枚組なので、今となっては収録時間が短いのが物足りないですが、願わくはCDにフル収録で、なんていうのは望みすぎでしょうね。


BSで録画した『スリー・サイズ・ライヴ』を見直してみました・・。メンバーもバンドの多様性と新基軸、新作への自信を語っていました。でも売れたから正解だったんでしょう。


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