もしあなたがファンなら、安心してほしい。



2023910

By Velvet Thunder


本サイトをチェックしている人で、スウェーデンのプログレッシヴ・ロックの巨頭、ザ・フラワー・キングスを知らない人はいないだろう。

最上級という言葉は往々にして安易に使われがちだが、フラワー・キングスとロイネ・ストルトは、1995年に『Back In The World Of Adventure』という驚くべき作品を発表した当初から、このバンドに与えられたあらゆる称賛に真に値する。


何人かの貴重なミュージシャンが脱退したが、常に同等かそれ以上のアーティストと入れ替わり、間違いないクオリティは維持されてきた。

トマス・ボディン、ジョナス・レインゴールド、ダニエル・ギルデンローといった天才たちがフラワー・キングスの伝説に華を添えてきたことも忘れてはならないが、その特徴はロイネ・ストルトの類まれな技術と才能であり、独特の魅惑的なヴォーカルと真に感動的なギター・ワークがバンドを貫いている。

ストルトとハッセ・フレベリという2人の偉大なヴォーカリストが完璧なハーモニーを奏で、それぞれが互いを完璧に引き立てているのも、このバンドの素晴らしい特徴のひとつだ。


Look At You Now』はバンドにとって16枚目のスタジオ・アルバムであり、そのどれもがプログレッシヴ・ロックの境界線を押し広げ、プログレッシヴの巨人たちがロック界を支配していた70年代の幸福な時代から生まれている。

確かに、レトロなサウンドを核としながらも、プログレッシヴ・ミュージックの醍醐味を提供し、3分の名曲も長大な作品も得意とする彼らの精神は、アルバムごとにまた違った一面を見せている。


ギターとキーボードが非常に前面に出ているが、そのどれもが巧みかつ正確にコントロールされており、究極のロック・アルバムを作り出そうとするバンドの探求において、一音たりとも無駄にすることはない。

クオリティ・コントロールの基準は最大に設定されており、バンドが聴き手の歓心を買うためにすべてを出し尽くしているような感覚は決してない。

フラワー・キングスを特別な存在にしているのは、彼らが変化や実験を恐れず、ジャズやフュージョンの要素を取り入れたり、ビートルズにインスパイアされたヴォーカル・ハーモニーを取り入れたりしても、そのすべてがバンドのプログレッシヴな信頼性の中にとどまっていることだ。


グループの最新バージョンは、ヴォーカル、ギター、キーボード、パーカッションにロイネ・ストルト、ヴォーカルにハッセ・フレベリ、ベースとヴォーカルにマイケル・ストルト、「Mother Earth」ではキーボードとギターを担当し、ミルコ・デマイオはドラムと「Day For Peace」のキーボードを担当している。

ロイネ・ストルト、フレベリ、マイケル・ストルトの3人は結成当初からのメンバーだが、マイケルは1999年からバンドを離れ、2021年に復帰した。


トラック3のパーカッションにハッセ・ブルニウソン、トラック49のシンセにラレ・ラーソン、トラック12のヴォーカルにマルヤナ・セムキナ、トラック6の端正なナイロン・ギターを弾くヨルゲン・セルデ、そしてアルバム全体を通して事実上ヤニカ・ルンドがバッキング・ヴォーカルを務めている。

フラワー・キングスには、新曲をレトロかつ現代的なサウンドに仕上げるコツがある。彼らの初期の作品と同様、聴くたびに良くなっていく。


このアルバムには13曲が収録されており、演奏時間は約68分。フラワー・キングスの基準からすると、収録曲は5分前後と短いのだが、アルバムのクローズトラックはバンドが得意とする12分の大作だ。

もしあなたがファンなら、安心してほしい。この新作は、素晴らしい楽曲、スリリングなインストゥルメンテーション、愉快でみずみずしいキーボード、そして実に絶妙なギターと、フラワー・キングスのお決まりの要素をすべて満たしているので、一度音楽プレーヤーに入れたら、ほとんど手放せなくなるだろう。

初めてこのバンドを聴く人は、この後バック・カタログの大々的なツアーが続くので、他のレコードから長時間離れる覚悟をした方がいい。


フラワー・キングスのことだから、『Look At You Now』が良い作品になることは分かっていたが、これまで彼らが制作してきた作品に匹敵するとは思っていなかった。プログレッシヴ・ロックの最高峰のバンドの1つであるフラワー・キングスのレコードは必携だ。


出典:

https://www.velvetthunder.co.uk/the-flower-kings-look-at-you-now-insideout-music/


関連記事 :