◾️ ハウには何がイエスに最も適しているかを判断する資格がある



2023517

By Gary GraffUltimate Classic Rock


このパンデミックは、イエスファンにとって明るい兆しを見せている。

英国クインテットの23枚目のスタジオ作品である『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』は、『ザ・クエスト』からわずか17カ月後にリリースされ、前作を上回る出来栄えとなった。

遠隔地でのレコーディングに適応したクインテットは、メインアルバム6曲(+ボーナス3曲)を通して、より確実で筋肉質なサウンドを聴かせ、2度目のプロデュースとなるギタリストのスティーヴ・ハウとエンジニアのカーティス・シュワルツが演奏を見事にまとめ上げている。


中途半端な『ヘヴン&アース』から6年、自信を持ってレコーディングに臨んだ『ザ・クエスト』だが、『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』は、ロジャー・ディーンのカバーアートも含め、ヴィンテージ・イエスの本物のプログレの威厳をより誇示している。

トラックリストを見るだけで、イエスファンは胸が躍るはずだ。3曲が9分を超え、タイトル曲は14分という長さだ。


この『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』には、「All Connected」と「Luminosity」が収録されているが、シンフォニックな波と流れのあるアレンジ、圧倒的なダイナミクス、そしてヴィルトゥオーソ的な名人芸などで、この壮大な伝統を守り、支えている。

音楽のハイライトから次のハイライトへと巧みに流れていくので、ハウとFAMESオーケストラが『ザ・クエスト』から戻ってきても、もっとやりたいと思わせてくれる。


現在のイエスがハウの子どもであることに疑問の余地はないが、それはそれでよい。

『ザ・クエスト』はオリジナルメンバー不在のイエスのファーストアルバムだが、この軽快なギタリスト(ドブロとペダルスティールのパートもアルバムを通して目立つ)は1970年から参加しており、何がイエスに最も適しているかを判断する資格は確かにあるのだ。


2022年に亡くなったドラマー、アラン・ホワイトに捧げられた『ミラー』では、70年代のクラシックな作品よりもパンチが効いていてスペイシーだが、イエスの作品群を構成するすべての要素を満たす新鮮なサウンドに仕上がっている。

ハウはまた、それをテンプレートとして設定することで、メンバーが活躍するための余地を十分に残しているのも賢い。

オープニングの「Cut From the Stars 」は、シンガーのジョン・デイヴィソンとベーシストのビリー・シャーウッドが書いたもので、彼らは、ハウと一緒に All Connected」と Luminosity」も書いている。


特にデイヴィソンは『ミラー』でより本領を発揮し、あらゆる場面で活躍している。

彼の歌はこれまで以上に力強く、彼のリリックは詩的なものと、プログレに適した形而上学的なものとの境界線を、自信をもって跨いでいる。

デイヴィソンの穏やかな「Circles of Time」は、重厚なタイトル曲の後の純粋に心地よい反芻であり、バンドでの彼の耐久性(現在11年)に対する旗印を決定的にするものだ。


ホワイトの晩年を支えたジェイ・シェレンは、イエスでのフルタイムの役割もしっかり果たしている。

しかし、キーボーディストのジェフ・ダウンズは、1曲(ハウのストーンズ風リフが印象的な「Living Out Their Dream」)しか共作しておらず、主役というよりはサポートプレイヤーとして機能している。ハウとハモンドオルガンでリリックを交わし、曲の終盤ではパイプオルガンにスイッチしている。


一方、ボーナスディスク3曲ともハウが作曲)では、ボナルー(注.南部テネシー州の都市で開催されているロックフェスティバルでも聴けないようなコンテンポラリーなジャム・バンドのクオリティで、イエスを新たな境地に導いている。

Unknown Place」では、ハウ、ダウンズ、シャーウッドが8分以上にわたってボールを回し、「One Second is Enough」と Magic Potion」のトリッピーでメロディアスなフレーバーは、ゾンビーズ、ハウのトゥモロー、さらにはフィッシュにもフィットするかもしれない。


この『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』は、『ザ・クエスト』以上に、イエスの多作な新時代の幕開けとなることを期待させるものだ。


出典:

https://ultimateclassicrock.com/yes-mirror-to-the-sky-album-review/