再び素晴らしいプログレが誕生



202357

By Andy BurnsBiff Bam Pop!


23枚目のスタジオ・アルバム『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』で、イエスはかなり驚異的なことをやってのけた。

プログレッシヴ・ロックのアルバムを作ったのだ。


『こわれもの』、『危機』、『海洋地形学の物語』など、イエスはプログレッシヴ・ロックの代表的なバンドであることは間違いない。

バンドは長年ライブでプログレの才能を発揮し続けてきたが、『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』は、この耳には、バンドがリスナーに『フライ・フロム・ヒア』以来のプログレの原点を思い出させようと決意してスタジオ入りしたように感じられた。


アルバム冒頭の「Cut From The Stars」は、ビリー・シャーウッドの際立つベースライン、宇宙を連想させるジョン・デイヴィソンの歌詞、そして最後の瞬間におけるギタリスト兼アルバムプロデューサー、スティーヴ・ハウとキーボーディストのジェフ・ダウンズとの絶妙な掛け合いが、『究極』時代のバンドからインスピレーションを得ていると感じられた。

よりミドルテンポな2021年のアルバム『ザ・クエスト』からのアップビートなファーストシングル「ジ・アイス・ブリッジ」とは異なり、「Cut From The Stars」は、ここ数年のイエスのリリースよりも推進力がありハードにロックするアルバム『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』の道を指し示している。


2枚目のシングル「All Connected」は、一聴してビッグ・ジェネレーター時代のイエスを思い起こさせ、デイヴィソンとシャーウッドの二人のヴォーカルと豪華なハーモニーを持っている。

この曲は、次の曲「Luminosity」と同様に9分以上あり、長いイエス作品を求めるファンに届けている。

続く「Living Out Their Dream」では、ハウ / ダウンズのロックはイエスがエイジアをやっているようで、ジョン・デイヴィソンはこれまでのどの曲よりも低い音域で歌っており、それが功を奏している。タイトル曲の前に楽しいひとときを過ごすことができる。


Mirror To The Sky」は、2010年の『フライ・フロム・ヒア』のタイトルトラック以来、14分という最長曲で、壮大な長さのイエスに求められるものをすべて備えている。

冒頭のスティーヴ・ハウのギターの音はダークで、トーンを決めている。

『ザ・クエスト』でも聞かれたFAMESオーケストラがこの曲の最後尾で存在感を示しており、完璧に機能している。

Mirror To The Sky」は、もっと長い曲であって欲しいと思うような、稀に見る長さの曲の一つである。この曲はぜひライブで聴いてみたい。


アルバムは、ジョン・デイヴィソンの素敵な曲「Circles of Time」で締めくくられるが、それで終わりではない。

前作『ザ・クエスト』と同様、『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』にも3曲のボーナスソングが収録されているが、『ザ・クエスト』の曲よりも強力な作品に感じられる。

特に「Unknown Place」は、本編の流れの中に位置付けられてもおかしくないほど強力な曲だ。

曲の途中のジェフ・ダウンズのチャーチオルガンに『究極』の影響やインスピレーションがはっきりとわかる。


『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』は、1974年の『海洋地形学の物語』以来の、2022年に亡くなったドラマーのアラン・ホワイトが参加していないイエスのスタジオアルバムである。

彼の長年の友人で代役のジェイ・シェレンが、このアルバムでドラムキットの後ろに座っており、おそらく難しい場所であるにもかかわらず、立派に仕事をこなしている。

シェレンを含むこのバージョンのイエスは、基本的に他のどのバージョンよりも一貫して長く一緒にいて、このレコードでそれを感じることができる。

曲も音楽性も、バンドがこのような相互作用や共感できる演奏ができるのは、一緒に過ごした時間と、全員がもたらすものへの感謝がなければできないと、私は信じている。


ラインアップに誰がいないかでバンドを非難するファンは、『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』を聴いても考えが変わるとは思えないが、それは素直に聴いていないからだと思う。

30年以上のイエスのファンとして、バンドは特定の個人ではなく、その部分の総和であると常に考えてきた。そして本作は、私にとってその証となる作品だ。


プロデューサーであるスティーヴ・ハウは、イエスのサウンドがどうあるべきかを知っている。彼はイエスの不朽の名作の数々を作り上げてきた重要な立役者なのだから、そうあるべきだ。

しかし、彼だけではない。ここにいるすべてのミュージシャンは、2015年に亡くなるまで、バンドのすべてに関わる唯一のメンバーであった愛される故クリス・スクワイアと一緒に仕事をしていた。

本作の全体を通してクリスの精神が感じられ、それはしばしばビリー・シャーウッドのベースプレイとヴォーカルからもたらされる。

『ザ・クエスト』以上に、ビリーは彼自身プレイヤーでありながら、作品の中で明確なスクワイアイズムを思い起こすというスイートスポットを見つけたように聞こえる。


『ミラー・トゥ・ザ・スカイ』は素晴らしいプログレアルバムである。

また、イエスのアルバムとしても素晴らしいものであり、インスピレーションに満ちた音楽で、すぐに心を打たれ、このラインナップの存在と創造性の継続を改めて証明するものであると感じた。

すでに次の新作に取り掛かっているという話もあり、2020年代もイエスの勢いは衰えることはないだろう。

次はどんな作品を作ってくれるのか、今から楽しみでならない。



出典:

https://biffbampop.com/2023/05/07/review-with-mirror-to-the-sky-yes-once-again-deliver-great-prog-rock/