■アラン・ホワイトの作品より
Artist :
Tony Levin, David Torn, Alan White
Title : LEVIN TORN WHITE
Year : 2011
このアルバムはマイナーリリースだったので、聴いてないイエスファンが多いかもしれません。
かく言う自分もしばらく気がつかなくて、後追いで聴きました。
以前ブログにこのアルバムについて結構いいかげんなコメントを書いてしまい、今回アランが亡くなって猛反省してアルバムを聴き込んでみました。
そして聴き込むほどにアランのアグレッシブな演奏に引き込まれてしまいました。
このアルバムを出した当時アランは62歳。
トニーが65歳、デヴィッドが58歳です。
アランの熟年パワーが爆発する最後の作品になりました。
もちろん全編インストです。
メンバーから連想するのはビル・ブルフォードのB.L.U.Eですが、リズム隊として考えてみると、トニーとビル(キング・クリムゾン、ABWH、B.L.U.E.)、クリス・スクワイアとビル(イエス)、クリスとアラン(イエス)のリズム隊は既に実現していたのですから、この4人ではトニーとアランの組み合わせが最後のピースだったわけです。
聴いてみるまでは音があまり想像できませんでした。当時イエスでのアランの存在感は随分薄れていたからです。
そして過大な期待もしていなかったのですが、良い意味でそれは裏切られました。
トニーがアルバム製作について、アランの演奏がベースになった、という興味深い話をインタビューで語っていますので、一部だけ抜粋して引用します。
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このアルバムは、プロデューサーのスコット・ショアーのアイデアだ。
彼はLazy Bonesってレーベルを持ってて、アラン・ホワイトと私と一緒に何かやりたいって考えてた。
それで、3人めは誰がいいか、それとも3人より増やしたほうがいいか、相談した。そして、デイヴィッド・トーンがいいってなったんだ。
まずアランが、ドラムスだけでほとんどのトラックを録音した。
次に自分が、それに合わせる一つだけじゃなく、全てのベースを録音した。
それも、別々のアイデアで幾つかのテイクをだ。
そして、スコットが長い時間をかけて苦労しながら、最適な組合せを探していった。
結果をいったん私に戻した後、デイヴィッドに渡した。結局、即興のパーツ群と少しばかりの構造が出来上がったわけだ。
並大抵の仕事ではなかったよ。
アランのトラックには和声の情報は全くないし、リズムも緻密で込み入ってる。
それにぴったり合って、かつ面白いものを探してベースで乗せていくのは、面白い挑戦だった。
後からさらに何かを探し出して、それらを再構成していくなんて、他にないしね。
このアルバムは3人が本当に頑張った現れだと思う。
最初は、シアトルにあるアランのホームスタジオでの録音だ。
ベースはほとんどニュージーランドにあるスコットのスタジオで、後から少しだけニューヨーク州のキングストンにある自分のスタジオで重ねた。
最後は、ニューヨーク州のウッドストックにあるデイヴィッドのスタジオだ。
アルバム制作中には、アランとは全く何も話してない。
彼の録音中は、私は行けなかったんだ。
ドラムスだけでアルバム全体を作るなんて、誰もがやりたがる仕事じゃない。
こんなクリエイティブで普通じゃないことができたのは、ほとんど彼のおかげだ。
そしてスコットが、アランの録音に手を入れて再構成した。
アランの元々の録音がどんなだったのか、私は全く聴いてない。
再構成されたトラックの上に、自分の演奏を重ねていったんだ。
全員にとって、和声的にもリズム的にも、突拍子もない音楽の冒険だった。
出典 :
このようなアルバムをリモートで制作したというのも凄いですね。
機会があれば是非聴いてみてください。
メイキング・ビデオ
(アランがピアノを弾く珍しいシーンも)
2020年にはアナログもリリースされました。
プロモビデオ
CDは枯渇してしまったようですが、デジタルアルバムなら今でも10USDで買えます。
試聴可能。