イエス(アンダーソン、ハウ、スクワイア、ホワイト)が昔ベジタリアン(菜食主義者)だったことは古いファンならお聞きになったことがあると思います。
またイエスのツアーチーム等のスタッフも当時ベジタリアンが多かったようです。
メンバーが入り浸っていた健康食品店の店主(経営者)だったJIM HARRYはその縁で後にイエスのツアーマネージャーになりました。
昔、と書きましたが、今ではスティーヴ・ハウだけがベジタリアンでお酒もワインを少しだけしか飲まないそうです。
(ハウの自叙伝にも健康食の話が沢山出てきます)
1998年か2003年か記憶が定かではありませんが来日時にウドーさん主催の宴をハウがひとりだけ勝手にエスケープしてしまった話を某嬢から聞いたことがあります。
逆にスクワイアなんかはブラジルでカイパリーニャ(ピンガとライムのカクテル)を気に入ってしこたま飲んだ武勇伝を現地で散々聞きました。
リック・ウェイクマンがイエスの菜食主義について面白おかしく語っています。
リック・ウェイクマンは健康上の理由から今では禁酒者(聞きなれない言葉ですが英語ではteetotalerというらしいです)でいつもダイエットの不満をツイートしていますが、イエスに加入した当初はただ一人の大酒飲みで、肉食(vegetarianに対してcarnivore)だったといいます。
イエスのツアーで出る食事がポテトやサラダばかりで閉口したことを語っています。
彼はベジタリアンに異議を唱えるつもりはないけど全く理解できなかったそうです。
米国ツアー(おそらく1972年の北米ツアーだと思われます)が決まってロンドン・ウエストエンドのノッチンガム・ヒルにあったブライアン・レーンのオフィスでのこと。
イギリス人のシェフを一人雇ってツアーに同行させる提案がありました。
リックは異論はないけど多くの機材も運ぶため大金がかかるし、ベジタリアンの食事のために自分が費用を均等割りで負担するのはフェアじゃないと主張したそうです。
するとマネージャーのレーンが「君専用の食事も作らせればよい」と割って入ったので、結局シェフを雇って米国へ同行させることになりました。
ホテルで宴会場を借り切って食事会場にし、コンサートが終わるとそこでメンバーやスタッフ、マネージャーらが全員戻って食事をするという段取りでした。
ツアーの初日シェフがリックにどんな食事を作るか聞きに来て、結局七面鳥のローストを作ることになりました。
コンサートが終わってホテルに戻るとシェフはまずメンバーにレタスやキャロットやセロリの食事を運んできました。
みんな美味しいと言って食べていたそうです。
そのあとリックにゴールデン・ブラウンのローストを運んできました。
皆は箸(フォーク)を止め、息をのんだそうです。
まずジョンが「それ何!?」と言って、スティーヴ以外のメンバー全員の目が釘付けになったことを語っています。
食事が済んでみんないなくなった後にリックがまだ食事をしているとアランがやってきて言ったそうです。
「僕はベジタリアンだけど、実を言うとごくたまにホワイト・ミートを食べるんだ。ターキーを少しだけ試してもいいかい?」
「もちろん。自由に取って」
「ありがとう。部屋に持ち帰っても構わない?」
そしてターキーの肉を切り取って持ち帰ったそうです。
5分後に今度はジョンがやって来て、
「リック、ちょっと考えていたんだけど・・・」
「自由に取って食べて」
ジョンも部屋に持ち帰ったそうです。
10分後にクリスが現れて、
「オーライ、リック・・・」
「自由に取ってよ」
リックはシェフに「このことは内密にしてね」と言ったそうです。
この章のタイトルは
「Help Yourself, Tuck In」(自由に取ってガツガツ食べて)でした(笑)
リックのユーモア溢れるキャラクターが結構好きです。