この興味深いインタビューはスウェーデンのギター・テクノロジー会社True Temperament社が先月の来日公演から帰国したばかりのTHE FLOWER KINGSのギタリストROINE STOLTに対して2月に行ったものです。

※個人的に興味深いニュースは
1. 年内にTFKの新譜を録音
2. TRANSATLANTICの新譜が完成間近
3. Anderson/Stoltの2ndアルバム制作中
でした♡

僕が発見した当日にエイヤッと短時間でやっつけて日本語訳したものですから、誤訳があるかもしれませんがご容赦ください。
出典は巻末に記します。
英語原文のコピーライツは下記のとおり。
Ulf Zackrisson©


以下 
TT:True Temperament
RS:Roine Stolt

(ザ・フラワー・キングスとトランスアトランティックの違いについて)

TT:あなたは元々自身のバンド、ザ・フラワー・キングス、そしてマーク・ポートノイ(ドリーム・シアター)、二―ル・モーズ(スポックス・ベアード)、ピート・トレワヴァス(マリリオン)らとのプログレ・スーパー・グループ、トランスアトランティックに在籍している現代プログレッシブ・ロックのビッグネームです。
この二つのバンドの一番大きな違いは何ですか?

RS:もちろんザ・フラワー・キングスは僕の可愛い子どもだよ。僕がバンドを始めた。オリジナルメンバーには辞めた人もいるけどね。そしてTFKは僕が全ての活動の資金調達を行っている会社でもある。しかしすべてのメンバーは自分の意見を言い、音楽の創造やツアーのアイデアに助力する権利があるのだよ。

一方トランスアトランティックの方はもっと四人の民主主義で運営されている。僕とニール・モーズが主に作曲と作詞を行うけど、全員がライブ活動などにアイデアやヒントを出して貢献しているよ。
プロジェクトを進めるのは(トランスアトランティックの方が)より難しい。メンバーは他の場所や他のバンドで多くのことを抱えているからね。だから僕はトランスアトランティックのツアーにあまり依存しないようにしている。いつどのように起きるかわからないからボーナスのようなものだと考えているんだ。確かにお金になる活動だし、多くのアルバムとコンサートチケットが売れるからね。


(ギター・ヒーローについて)

TT:70年代のプログレッシブ・ロックにルーツを持つギタリストとしてあなたはギターのトーンに素晴らしいブルース風味を持っていますが、あなたのソロアルバム「ウォール・ストリート・ヴードゥー」では少しも見られません。近年においては何か少し変わったことがありますか?

RS:実際のところ僕がギタリストの活動を始めたのは、所謂プログレッシブ・ロックと呼ばれるものが何なのか理解するはるか前だった。だから多分僕がプログレを知る前に地味なブルース・ギタリストとしてキャリアを始めたということではないかな。

僕の最初のギター・ヒーローは1966年のジミ・ヘンドリックスだった。二、三ヶ月してプロコルハルム・ファーストアルバムのロビン・トロワーになった。ジミとロビンは二人ともブルース・プレイヤーだったね。1年後にピーター・グリーンを見つけた。多分彼は当時最良のブルース・ギタリストだったのではないかな。

僕のプログレッシブ・ロック(とフュージョン)のギタリストへの興味は、フランク・ザッパやロバート・フリップ、ジョージ・ワデニウスへの好みから始まった。
それから現代のプログレとフュージョンの数多くのギタリストへと続く。
スティーブ・ハウ(イエス)、スティーブ・ハケット(ジェネシス)、ビル・コナーズ(リターン・トゥ・フォーエバー)、ジェフ・ベックなどだ。
言うまでもなく、アラン・ホールズワースもだ。1973年にテンペストのライブを観て打ちのめされたよ!


(ギターソロについて)

TT:あなたの意見では、本当に素晴らしくて興味深いギターソロはどのように生まれるのでしょうか?

TS:ほとんど回答は不可能だよ。それは多くの異なったスタイルの中に存在しえるからね。ヘンドリックスのフィードバック奏法における「メルトダウン」やパット・メセニーのスローだけど器用で流れるようなソロもある。ジェフ・ベックも完全にエレガントなオーラがあって、常に正しい。スティーブ・ルカサーさえ時折とても激しいソロを見せる。スライドバーを使うデレク・トラックスも同じだ。みんな大好きさ!

僕が気をつけているのは音の断片が多すぎないことだ。多すぎる音には僕は全然感動できない。また速さが美しさでもない。ただしアラン・ホールズワースの滑らかなレガートの急襲の場合は速さが美しさの一部になる。
時々ジョン・マクラフリンのアコースティックの場合も同じことがあるね。


(音創りについて)

TT:あなたはどのように音創りをするのですか?ライブやスタジオではどんな機材を使用していますか?

RS:また答えるのが難しい質問だね!自分の音が出るまでひねっているよ。
通常は手元にある機材を使用している。確かに真空管アンプが好きだね。
僕の始めてのアンプはAC30 Voxだった。今はOrange 30ワットアンプやMesa Boogie、Fender Vibrolux、Marshall JTM 45を持っている。
そして数多くのペダルやコントローラーも。一番新しいやつはVictory Countessというバルブ・プリアンプ(ペダル)で先月日本へ持参したよ。2台のVox AC 30も使用した。とても素晴らしい音だった!現代のマーシャルアンプのように雑音に悩まされることのない、歌うようなサウンドだったよ。



トランスアトランティックで使用する僕のMesa Boogie45ワットもスタジオ・ワークでは同じように素晴らしい音がする。もちろん、Tweed からVox AC、そしてRectifier tonesへと自由自在に使える。確かに僕のMarshall plexiもグレートなサウンドだけど音が大きすぎるんだ。
これらの45ワットはどのスタジオ・ルームでも殺人的だ!


(TT社のシステムについて)

TT:あなたのメイン・ギターのひとつであるフェンダー・シンライン・テレキャスターはTT社のフレッティング・システムで改造(モディファイ)されています。今ではもう2、3年使い続けていると思いますが、TTはいかがでしょうか?

RS:そのギターはナンバー・ワンだよ!
TTの開発者であるANDRES THIDELL氏に改造してもらったけど、スーパー・ハッピーさ!彼には僕のレリック・ストラットやギブソンES335も改造してもらった。全部好きさ。もしお金があるなら僕のギター全部、エレキもアコースティックも改造してもらいたいね。
ライブ・ユースでもスタジオ・ユースでも全てのギタリストは使うべきだね。もう後戻りはできないよ。僕を信用して!



(理想のギターについて)

TT:もし自分のシグニチャ・モデルのギターをデザインするとしたら、どのようにしたいですか?

RS:実はもう実際に作ったんだよ!
僕のJETギターはアメリカのサラブレッドであるジェフリー・アール氏がギターのほぼ半分を製作してくれた。彼は僕の仕様要望を取り入れてくれたけど、約45,000SEK(スウェーデン・クローナ。日本円で約50万円強)と、とても高価だ。
(注)改造費用のことでしょうね。
ハンドメイドでアコースティック・ピックアップ、トレモロ・バー、チェンバー構造のボディなど。とても良い音のギターで、時代のレスポールを目指したんだ。


もし今また作るならテレキャスターかレスポールの木材を使用した設計のテレキャスターにするだろう。チェンバー構造マホガニー・ボディ(セミソリッド・ギター)にメイプルのトップで、チェンバー構造のF型ホールにする。ミニ・ハンバッカーかP90のピックアップ・マイク、もちろんフレットボードはTTのメイプルだ!24フレットでロッキング・チューナーズ(ペグ)・・・僕のテレキャスターによくマッチするだろうな。多分パーカーかフロイド・ローズのトレモロ・アームを付けるだろう。
いくつかのウーラ・ストランドベリのギターも興味深いね。よく研究したい。ウーラは僕のホームタウンであるウプサラ(スウェーデン)出身で、彼のアイデアが進歩して成功するのを見るのはうれしいよ。


(ジョン・アンダーソンやスティーブ・ハケットとの出会いについて)

TT:70年代のプログレッシブ・ロックといえば、あなたは近年二人のヒーローと共演していますね。イエスのジョン・アンダーソンとジェネシスのスティーブ・ハケットのことですが、どのような経緯だったのですか?

RS:うん、少し奇妙なんだ。僕は10年ほど前ドイツの野外フェスティバルで演奏したんだ。そしたらスティーブ・ハケットが突然現れて僕の朝食テーブルに座ったのさ。シュールだったね!それから僕らは数回共演した。彼は僕のバンドにゲスト参加して、ある日電話をかけてきてツアーに参加しないかと聞かれたんだ、ベース・プレイヤーとしてね!12弦ギターもだけど。結局1年ほど参加してアメリカとヨーロッパでほぼ100公演くらいに出たよ。



(注)
この時の様子はハケットのライブ作品「Total Experiences Live In Liverpool」に収録されている。
ロイネ・ストルトはリッケンバッカー・ベースのほか、マイク・ラザフォードが使っていたリッケンバッカー・ダブルネックとは機種は異なるが、マイクばりに12弦ギターとベースのマンソン社製ダブルネックを使用しているのが映像で確認できる。

ウェブ画像より



RS : イエスのジョン・アンダーソンとはクルーズで出会ったんだ!

(注)TRANSATLANTIC が出演した2014年4月のProgressive Nation at Seaのこと。


ジョンはレイト・ショウに出演して僕らはカリブ海の真ん中の船の甲板上で一時間ほどイエスの楽曲を演奏した。星空だった!
ジョンとはとても親しくなって、レコード・レーベルが二人でアルバムを製作することを提案したんだ。
ジョンは提案を受諾するやいなや数時間のうちに曲を送ってきて、後にAnderson/StoltのInvention Of Knowledgeとなる作品に取り組んだ。ジョンは素晴らしい男だよ。ちょっとヒッピーだけど、集中力がすごいんだ。
ジョンは自分が求めている音楽のことをよく理解しているし、そこにたどり着くまでは決して止まらない。ある意味僕らは兄弟みたいに似ているとお互いにわかったよ。



(マイク・ラザフォードついて)

TT:スティーブ・ハケット・バンドの2015年ジェネシス・リビジテッド・ツアーでマイク・ラザフォードのファンタスティックなベースラインを演奏した感想は?

RS:とても楽しかった!特にジェネシスのアーリー・アルバムからの古い曲を演奏するのが好きだったね。ジェネシスのオリジナル・ベーシストであるマイク・ラザフォードは過小評価されていると思う。彼のベースはとても独創的で独自性がある。仮にポール・マッカートニー的なものがあるとしてもね。長いキャリアの中でもステージ上でベースを弾くのは初めてだったけど楽しめたよ。
スティーブ・ハケットはとても良くしてくれたしね。


(複数のプロジェクトについて)

TT:あなたはフラワー・キングス、トランスアトランティック、アンダーソン・ストルト、ザ・シー・ウィズイン、カイパ・ダ・カーポ、エージェンツ・オブ・マーシー、その他と多くのプロジェクトが抱えきれないほどありますね。
一体どうやったら全てに対処することができるのですか?

RS:毎年は無理だね。出来るとしたら年に30公演くらいかな。
僕はいろんな提案にオープンであるよう心がけて、他の人に学ぶよう努めている。だからライブだったり、ツアーへの参加だったり、アルバム制作などの提案にはいつも賛同するようにしているんだよ。


(2020年の活動について)

TT:ザ・フラワー・キングスは2019年年末に新アルバムをリリースしましたね。
(TFKが)2020年のあなたの主な活動になるのでしょうか?
それとも今年何か他にあるのでしょうか?

RS:多くのTFKの活動を予定しているよ。ニューアルバムのレコーディングとかね。
それにトランスアトランティックの最新アルバムの仕上げのまっただ中にもいるよ。
もし可能なら魅力的なドラマーのマルコ・ミンネマンとザ・シー・ウィズインの新作にも取り組むかもしれない。
それにジョン・アンダーソンとともにセカンド・アルバムの仕上げの時期にいる。まだ半分だけど。

これから二、三週間ほどは弟のマイケルや、ギタリストのヨナス・イサクソン、ドラマーのマイク”シド”アンデルセン、ベーシストのロバート・イワンソンらと新バンドの活動を予定している。僕らはもっとポップ/ロック寄りのユニットだ。とても楽しみだよ。

その後クルーズ・トゥ・ジ・エッジ
(注.3月27日〜4月1日マイアミ出港)のために米国へ向かう。
カリブ海でのビッグ・フェスティバルだ。
イエス、マリリオン、スティーブ・ルカサー、サイモン・フィリップス、トニー・レビン、パット・マステロット、ジョーダン・ルーデス、キングス・エックス達と一緒だよ。
(了)



出典