From A Page ストーリー PT3
by Oliver Wakeman (ブックレットより)


別のツアーが始まり終わって、僕らは年末に再び集合してビバリー・ヒルズでレコーディングをスタートすることを計画した。
このセッション中にトレバー・ホーンがプロジェクトの録音/製作のためにやってきて、それが結局アルバム「Fly From Here」になった。

ホーンが英国に帰国した時期に僕らは他の曲に取り組んだ。
それが「To The Moment」や「Words on a Page」であり、クリスと僕の別々のアイデアから生まれた「The Gift of Love」だ。
僕とアランはずっとインストのアイデアに取り組んできて、この曲に生かされている。
スティーブは美しいメロディックなアイデアを持ってきて、ベノアはクリスに励まされてクリスのセクションの歌詞に取り組んだ。本当にチーム一体の努力だったよ。

この活動期間後僕らは1週間の休みを取った。
クリスはフェニックスの自宅に帰り、アランはLAへ、そしてベノアはカナダへ数日間帰宅した。スティーブと僕は英国へ往復して休日を使うには遠すぎたので、することがなかった。
ベノアが彼のアコースティック・ギターを置いていったので、僕はそれを使って作曲することにした。何かやさしい曲を作りたかったのでそのギターを使うことにして、ただ曲のメロディを走らせた。その曲に数日間取り組んで、メンバーのみんなが戻ったときに良いアレンジをすることができたよ。

僕らは「Into The Storm」に取り掛かった。1年前にフェニックスで元となるアイデアを作った曲だ。アランと僕が前回のツアーのサウンドチェックのときに練って、僕が曲の後半のインスト部分を提供したコーラスの部分にベノアが歌詞を加えた。
この曲のレコーディングの合間に、僕は新しい曲のアイデアと新しいピアノパートを皆に披露した。
今は「From the Turn of a Card」と名づけられた曲だ。
皆はとても気に入ってくれたが、僕らは南米ツアー(注. 2010年11〜12月)を控えていて出発が迫っていたので、曲は一旦棚上げにして新年に再会したときにもう一度よく検討することにした。

歴史が示すとおり(注※)「In The Presentラインアップ」によるこれらのセッションは完成することはなかった。
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(注※)
皮肉なことにオリバーのアイデアで呼んだトレバー・ホーンはThe Producersで共演していた旧友のジェフリー・ダウンズを2011年3月に呼び寄せてFly From Hereの製作に途中から参加させたため、オリバーはイエスから解雇された。
それでもオリバーは2011年5月まで北米ツアー
(Rite of Spring Tour)を勤め上げて、ツアーが終了する2011年5月にジェフが正式にメンバーになったことが発表された。その後ベノアも2011年末に体調を崩して解雇されジョン・デヴィソンに交代している。
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僕の最後のイエス・ツアー終了後、家に帰る途中に次は何をしようかと考えた。
バンドは僕にディスクを送ってきたが、中身は僕が作曲やアレンジに関わった曲のファイルだった。僕はそれをミュージック・ルームの棚にしまって、しばらく忘れてしまった。

僕はギタリストのGordon Giltrapと仕事を始めた。
僕らはインスト・デュエットとロック・ソングのアルバム「Ravens and Lullabies」というアルバムを作ることにした。
僕が彼に「From Turn of a Card」を演奏して聴かせたらとても気に入ってくれた。
それからアルバムのスタイルに合わせてリアレンジしなければならなかったけど、ベノア以外に歌うべきシンガーが思い当たらなかったので彼に歌ってくれないか頼んでみた。
結局彼のギターで作曲して彼が歌うために書かれた作品だったということだ。
彼は同意して歌ってくれ、そのバージョンはアルバムに収められた。僕はその後のツアーでこの曲を毎回演奏している。