写真は日本製InnerWood(下記参照)

クリス・スクワイアがAWAKENの演奏時に使うトリプル・ネック・ベースですが、リック・ウェイクマンのアイデアだったことはご存知でしょうか?

リックのツアー・ベーシストだったロジャー・ニューウェルによると、元々はアーサー(円卓の騎士)ツアー(1975)用にステージ映えするからとリックが発注し、製作したものだったそうです。
イギリスのIan Waller(ブランドはWAL)に相談して、最初は4弦フレット付、4弦フレットレス、8弦のアイデアだったのですが、重過ぎるためダブルネックにしようとロジャーがリックに提案したら、「既にジェネシスのマイク・ラザフォードがダブルネックのリッケンバッカーを使っているからダメ」と却下されたそうです。
ロジャーはベースの上でギターを弾くので、とても無理と言って結局一番上がギター、真ん中がフレット付ベース、下がフレットレス・ベースに落ち着きました。


リックがGFTOでイエスに復帰することになってロジャーに売ってもいいよと言ったそうですが、彼は買うお金がなくて断念。

AWAKENの録音でクリスは三本のリッケンバッカーを使用しましたが、ライブでどうするという話になって、リックが気前よくクリスにあげてしまったのが、クリスが使うようになった経緯だそうです。

その後クリスはこのトリプルネックをニューヨークのハード・ロック・カフェに寄贈。
ユニオン・ツアーではHRCから借り出して使用しました。
ですからユニオン・ツアーがクリスがWAL製トリプルネックを演奏する最後のライブになりました。


ユニオン・ツアーが終了後HRCからベースの返却を求められたクリスは日本のベース工房(ブランド名INNERWOOD-創業者の木内氏の名前から命名)にコピーを発注して亡くなる迄所有していました。
なおこの時コピーは二本製作されて、もう一本はクリスがサインして木内さんが所有されているそうです。
もしまだお持ちなら、一度拝見したいものですね。

InnerWood Triple Neck(2003ツアーより)

真ん中のヘッドのマークの有無で区別できます

↓InnerWoodが一番よく見えるビデオ

オリジナルのWALベースは今でもNYCのハードロックカフェに行けば見ることが出来ます。
Yes at HRC NYC 1999
イエスロゴ25周年 / Roger Dean展覧会


※イエス・トリビュート・バンドASLAN のベーシスト水口宰(つかさ)氏もステージでトリプル・ネック・ベース(愛称「キング・ギドラ」)をAWAKEN の演奏時に使用していました。
こちらはINNERWOOD製ではなく、驚くことに氏の自作ベースでした。
©︎ Tsukasa Mizuguchi / ASLAN
    Live At Silver Elephant Nov.1999


出典