最初に断っておくと、記事のタイトルと今回紹介する本は、全く関係ありません。
ただ、アラサーである自分が読んでいわゆる、もんもんと過ごした「青春」を思い出したのが、「光ってみえるもの、あれは」(川上弘美)です。
ざっくりとしたあらすじは、ふつうの江戸翠(えどみどり)という16歳の男子高校生が、ふつうではない家族や友人、恋人と過ごした夏を描いた小説です。
シングルマザーとその母の家で過ごす主人公の主観で書かれ、日々をふつうに過ごすうちに、その日常がなんとなく変わっていきます。
主人公が恋人に悩み、家族に悩みながら、生きることをぼんやり考えるのですが、決して、SF、ファンタジーではないものの、非日常な空気が漂う文章で、主人公がそのように悩んで、考える姿は、どこか幼く、それでいて達観して見えてしまいます。
それでも、世間一般の男子高校生が抱く、よくある悩みや不安は、非常に共感でき、今この文章を書いている自分も、なんとなく反省的になってしまう、そんな気持ちです。
本書は、繰り返しますが男子高校生の日常を描いているため、青春ものが嫌いで仕方ない、また、日常を切り取るような静かな小説が苦手な方にはおすすめできません。
ただ、海の凪のように静かな日常が徐々に変化していく流れはとても穏やかで、癒されます。なので、すこしストレスフルな社会に疲れた方にはおすすめできる、かもしれません。
ふつうな主人公に対して個性豊かな他の登場人物の行動には笑えたりもします。
個人的には大鳥さんという人物がお気に入りです。手前勝手な意見ではありますが、高校生の甥を応援する気持ちで、タバコの一本でも吸いながら読んでいただきたい。
しまらない文章となりましたが、とらえどころの無い不思議な小説で好きだった、という非常にお粗末な感想しか残せない自分の読書力のせいです。
申し訳ありません。
