営業力を科学する。脱・属人営業! | よこくりのブログ

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Yo co-creation(よこくり)として、ビジネスに関する情報を書いていきたいと思います。

これから3週に分けてお伝えするトピックは、「B2Bアプリケーション企業の営業活動において、営業力を強化するには?」です。私のMBAの研究題材から抜粋してきております。

 

B2Bアプリ企業ということで、だいぶ、ターゲットを絞っています。具体的なアクションにするには、業種を絞ったほうが良いと考え、まずは、自身の出身業界に焦点を絞りました。

 

論文では、「特定のアクションを実施すると、信頼関係構築度ができる確率が上がる」といえるアクションの組み合わせを検出しました。手法として、データマイニング手法のアソシエーションルール分析を使いました。その結果も、3週目でご紹介する予定です。

 

さて、「営業力」と聞くと一昔前では、論文にできるようなテーマではないと言われたかもしれません。実際、「なぜ、ハーバードビジネススクールでは営業を教えないのか?」(フィリップ・デルヴス・ブロートン,2013)という本が出版されるくらいです。

ちなみに、この著書では、偉大な功績を残してきた営業のエキスパートたちについて研究されており、また彼らの成功の秘訣が紹介されているので、興味がある方は是非読んでみると良いと思います。

 

                                                                                                 

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しかし、営業活動を標準化できないかと考える人も出てきています。
一例として、稲水・鏑木(2018)をご紹介します。

 

稲水・鏑木は、営業員を営業成績「下位20%」、「下位半分以下」、「上位半分以内」、「上位20%以内」、「上位10%以内」「トップ」の6群に分けて、成績区分ごとのアクションの差異を調査しました。2016年10月から2018年7月にかけて集めたデータより、141社815人分のデータを論文の分析対象として活用しています。

結果、成績区分間で差異があったアクションは、面談前のマーケティングや事前準備のフェーズにおけるものでした。顧客との面談場面にあたるヒアリング、プレゼンテーション、クロージングフェーズにおけるスキルでは大差が現れませんでした。

具体的に、トップとそれ以下のグループで差があったアクションは、「事例で課題解決を理解させているか」「市場動向について顧客と会話しているか」「情報の入手方法で創意工夫をしているか」「顧客の業界などへの理解を示しているか」「資料なしで具体的な数字を説明しているか」「顧客が納得するメリットを説明しているか」であったということです。

また、営業成績が下位20%以下とそれ以上のグループで差があったのは、「面談を想定して複数の話し方を用意しているか」「想定ニーズの裏付けを収集しているか」でした。

これらのアクションを、トップの営業員は、ほとんどの人ができているのですが、それ以外の営業員はできていなかったということです。

  

 

                                                                

 

この分析対象のサンプルは、業種に関係なく集めています。それでも、このような興味深い結果が出ており、示唆に富んでいると思いませんか。

データを用いれば、数値から法則を見つけ出し、その法則を組織で共有できるようになります。

このように、感覚的ゆえに属人的業務とされていた営業を、数値で、科学的に紐解くことができれば、営業組織の責任者や、営業が苦手だと思い込んでいる方などに、お役に立てるのではないかと考えております。

次回、「営業力の強化に欠かせないCRM! 信頼関係構築が重要!!」をお伝えします。

 

 

引用文献:稲水伸行, 鏑木幸臣. (2018). データから見えてくる日本の営業. 一橋ビジネスレビュー,36-49.