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《緊急対談・池上彰氏×佐藤優氏》大混乱に陥った中東情勢で日本に迫る「エネルギー危機」 国難を乗り切るための“ジャングルの知恵”「狙い目はヒョウ」

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NEWSポストセブン

日本はどう立ち回ればよいか(高市早苗・首相/時事通信フォト)

「トランプの戦争」によって中東情勢は大混乱に陥り、すでに空前の原油高が日本経済を直撃している。米国のトランプ大統領の強硬姿勢の背後には何があって、今後どのような展開が待つと考えられるのか。勢力図が激変する世界で、日本はどう生き残っていけばいいのか。ジャーナリストの池上彰氏と、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が語り尽くす。【第4回】

極東の軍事空白でカードを持った中国

佐藤:

私が意見交換したモサドの情報筋は、

米国が2つの空母打撃群を中東に送ったことで軍事的に空白になった極東に注目していました。

  仮に中国が台湾問題で動けば米国は空母を1つ戻さなければいけなくなる。

米国の軍事行動の天井と、

カードを持つのが中国であることがインテリジェンス関係者に見えてしまったんです。

 

 池上:

米軍が韓国に配備する迎撃システムTHAADも一部、中東に送られましたよね。

日本の安全保障環境に影響が出ているのは確かです。

 

 佐藤:

現状変更を企図する国々に囲まれた日本はとにかくこの手の筋の悪い事態に対し、

軽率に法的評価をしないこと。

高市(早苗)さんは初動を間違えなかった。

  石油の備蓄は8か月分ある一方、天然ガスは3週間分しかない。

ロシアとの関係も重要です。 

 

池上:

日本は対露制裁を強調している一方で、

実はサハリンから天然ガスを大量に購入していますからね。

 

 佐藤:

液化天然ガス(LNG)は中東から10%強を輸入していますが、

ロシアからも10%弱を買っています。

両方を失えば大変な危機になる。

エネルギー外交に関しては、なりふり構わず、

土下座しても構わない覚悟が必要でしょう。

 

 

 池上:

第四次中東戦争でオイルショックが起きた際、アラブ側から

「イスラエル寄りの国には石油を売らない」と言われたら、日本は急にアラブ寄りになった。

当時マスコミから「アラブ寄りというより油寄り」とからかわれましたが、

エネルギー資源のためには原理原則なくやらないと国家を存続できないという現実がある。

 

 

 

佐藤:

長い目で見れば我が国はコロコロ変わるコロコロ族です。

何とか生き残るのだという固い信念の下、揉み手すり手でトランプのご機嫌を取りつつ、

過去の英知を結集させて、この国難を乗り切らなくてはならない。

 

 池上:

もしや佐藤さんはそんな風に政府に知恵を入れているんじゃ?

 

 

 佐藤:

最近、動物図鑑ばっかり読んでるんです。

帝国主義のジャングルではライオンに追われない動物になる必要がある。

狙い目はヒョウ。

クンクン嗅ぎ回ってライオンに近づかず、

ライオンが狙わない鳥や小動物を餌にする。

俊足で、ライオンにできない木登りもできる。

何だか高市さん、ヒョウに似てませんか? 

 

池上:佐藤さん、官邸から怒られますよ(苦笑)。 

 

佐藤:

とにかくワケのわからない理屈で米国を支持しないこと。

米国の立場を"理解し、尊重する"程度に留め、

難しい話は「よくわかりません」とかわせばいい。

相手と正対せず、同じ土俵に乗らなければいいのです。

内政ではすでにそうしているのですから。

 

 

  * * *

 関連記事《【緊急対談・池上彰氏×佐藤優氏】トランプ大統領のイラン攻撃で危機に直面する日本のエネルギー問題 帝国主義のジャングルで生き抜く知恵とは》では、池上彰氏と佐藤優氏が、アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃による影響や、ここに至った宗教的な背景を含めて分析している。 【プロフィール】池上彰(いけがみ・あきら)/1950年長野県生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。1994年から『週刊こどもニュース』のお父さん役を11年務め、2005年よりフリージャーナリストとして活動。名城大学教授、東京科学大学特命教授。著書に『池上彰の世界の見方 ロシア』『知らないと恥をかく世界の大問題16 トランプの"首領モンロー主義時代"』『米中対立 日本はこうなる』など。 佐藤優(さとう・まさる)/1960年、東京都生まれ。元外交官、作家。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在露日本国大使館などを経て外務省国際情報局に勤務。現在は作家として活動。主著に『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』、近著に『佐藤優の特別講義 戦争と有事 ウクライナ戦争、ガザ戦争、台湾危機の深層』『第三次世界大戦を阻止するのはトランプしかいない』など。 ※週刊ポスト2026年4月3日号

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