ある面会者との対話にて - 恐山あれこれ日記

 

ある面会者との対話にて

 私、思うんですけどね、我々が持つ人間関係の9割以上は、無くてもよいか、無い方がよい関係だと思いますよ。

 

 およそあらゆる人間関係の根底には利害関係と力関係が駆動しています。9割以上の人間関係は、この利害と力のバランス調整をどうするかがテーマで、「社交」とか「付き合い」などのほとんどはそれです。まあ、潤色された「取り引き」と変わりません。

 

 

 

 この関係は、その時その場の条件や状況に規定されているので、非常に不安定で脆弱です。要するに、当事者は「より有利で」「もっと楽できる」条件を求めて移動していこうとするからです。つまり、当てにも頼りにもならない関係なのです。

 

 ということは、大概の人間関係を「上手にこなしていく」には、「社交」や「付き合い」の現場で、潤色されて見えにくくなっている利害関係や力関係を、ある程度意識し、見極められるようにしておくべきでしょう。

 

 これは面倒な作業です。

ならば、どうしても自分に必要な「利得」と「力」を与えてくれる「付き合い」以外は、

思い切り整理するほうが負担は少なく、精神衛生上も有益でしょう。

それを与えてくれる人との関係も、脆いものではありますが。

 

 私が決定的に重要で、1割に満たないだろうと思う人間関係は、

その相手に「裏切られたってかまわない」と思えるような関係です。

これは、明らかに利害関係や力関係の埒外です。

関係がここまでくれば、もはや条件や状況に左右されません。

関係の破綻が折り込み済みなら、条件も状況も無いでしょう。

 

 人間関係で当てになり、信頼するに足るとすれば、これだけだと思います。

そして、このような関係は、意志的に、人工的に作ることは、ほぼ不可能です。

 

「裏切られたってかまわない」関係は、結果的にそうなるものです。

そして多くの場合、お互いがそう思っています。

口に出して言わなくてもです。

 

 私の経験から言うと、そのような関係は、

同じ苦境や困難を互いに共有した経験や、

自分が選んだ生き方が相手と重なるような経験から生じてきます。

これは、つくろうと思ってできる関係ではありません。

 

 もし、幸いにもそのような関係を持てたら、それは宝です。

金や力など問題になりません。

金や力は生活を楽にしてくれるかもしれませんが、この関係は「生きること」を救うのです。

 

 明けましておめでとうございます。

 皆様の本年のご健康とご多幸を祈念申し上げます。

 合掌