支持率15%の岸田政権が倒れない「本当の理由」にゾワっ…佐藤優が暴く「政権を支える影の支配者たち」の正体(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース

 

 

支持率15%の岸田政権が倒れない「本当の理由」にゾワっ…佐藤優が暴く「政権を支える影の支配者たち」の正体

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ダイヤモンド・オンライン

佐藤優氏 Photo by Wataru Mukai

 時事通信社の7月世論調査では、岸田内閣の支持率は15.5%まで低下した。なぜ、支持率の低い岸田政権は倒れないのか。一体、誰がこの政権を支えているのか。佐藤優氏は岸田政権を支える“影の支配者たち”の存在を指摘する。(構成/石井謙一郎) 連載「派閥とカネと自民党総裁選」に登場する大物政治家たち【画像】 この連載は、派閥論の名著と名高い渡辺恒雄氏の『派閥と多党化時代』(雪華社)を復刊した『自民党と派閥』(実業之日本社)を事前に読んでもらったうえで取材をしています(一部を除く)。

 

 

 

 ● 岸田政権を支える“影の支配者たち”とは  ――『自民党の派閥 政治の密室 増補最新版』で渡辺恒雄さんは、派閥の存在理由としてポスト、活動資金、選挙、総裁選の4つがあると書いています。  この本を読むと、日本人が組織を作るときの原型がわかります。企業や官庁でも基本は同じですが、権力が金で動くゲームは政治だけでなくヤクザの世界にも存在します。日本人が集団を作って競争を始めるとどうなるかが純粋な形で現れたのが、かつての派閥だったと言えます。  しかし現在では、派閥はもはや活動資金を配れないし、選挙支援ができる体制もありません。残っている理由は、ポストの配分だけでしょう。  ――では、派閥に存在意義はありますか。  政治家を教育する機関としての意義はあります。派閥の中で訓練していくことによって、リーダーシップを培うのです。  派閥の長まで上りつめる政治家は、それなりの人物です。派閥という政策的に似た考え方の集団の中から、年配の政治家が若い国会議員を将来性を見極めて教育(いわゆる雑巾がけ)し、ふさわしいポストに就かせるのが、派閥の存在意義でしょう。その切磋琢磨で生き残った派閥の長の中から内閣総理大臣が誕生するのです。  自民党が派閥を完全に解消して総裁選をやるとしたら、どうなるか? 400人も議員がいれば立派な大衆社会ですから、直前の言動が印象に残ったとか、なんとなく声がいいとか見た目がカッコいいといった雰囲気で、投票することになりかねません。  ――大衆迎合型になりますね。  確実にそうなります。2001(平成13)年の総裁選を思い出してください。小泉純一郎さんが総理になった総裁選は、大衆の人気を得ていた田中真紀子さんが小泉さんを応援したために、異常な雰囲気の中で行われました。小泉さんが人気を得るのは、その翌年に北朝鮮を訪問して金正日総書記と首脳会談を行ない、拉致被害者5人を帰国させたあとですから。  最近の政治は、ますますポピュリズムに走りがちです。いい例が、上川陽子外務大臣です。次の総理候補に名前が上がるほどだったのに、5月に静岡県知事選挙の応援演説で「この方を私たち女性が生まずして、何が女性でしょうか」と言ったのが失言とされて、人気は一気に失墜しました。文脈から捉えて、選挙に当選させようという意味は明白なのに、「産まずしてと言ったのだから、この人はダメ」と決めつけられてしまったんです。  ――ポピュリズムは、政治を悪いほうへ向かわせるのでしょうか。

 

 

 民主主義とポピュリズムの間は、グラデーションです。  全ての人間は悪を犯しますから、悪を根絶することは不可能です。したがって悪をどうコントロールするかが重要になります。しかしこうした複雑な話は受け入れがたいため、簡単でキレイなことを言う人が勝ちます。すると、誰も守れないキレイなルールができあがります。結果として、キレイすぎて守れないルールの裏で、どうやってうまく立ち回るかが問われるようになるでしょう。  こうしたダブルスタンダードは、政治家になるリスクを必要以上に高めることにつながります。  この先、「政治家になるのはリスクが大きいから、投資銀行に入って資金を作ってから起業して、政治家を後ろで動かす人間になる」という政治志向が強まっていきかねません。  ――政治がアンダーグラウンド化していきますね。  そう。別の言い方で言うと、トランプ前大統領が非難しているディープステートによる支配です。誤解されやすいのですが、目に見える存在はディープステートではありません。日本の政治に影響を与えてきたと言われる児玉誉士夫や笹川良一といった人たちは、ディープステートではなくフィクサーです。国民から見えないように政策の意思決定に影響を与えるのが、ディープステートなんです。

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 菅前総理のときも基本は同じでした。

首相機関というひとつのシステムでは、頭が変わってイメージが変わっても、中身は変わらないのです。

その意味では、戦前の天皇制に近いといえます。

 

  だから今度は岸田総理に交代し、

さらに支持率が10%代半ばまで下がっても、政権は維持されているのです。

この国の権力は資本家が握っているのが実態ですが、

経団連の中から岸田総理を下ろそうとする動きはありません。

 

  なぜなら岸田総理は、産業の根幹であるエネルギーだけは貪欲に手に入れてくるからです。

ウクライナ戦争で口ではロシアを非難しても、天然ガスの10%はロシアから調達しています。

ちなみに岸田総理の選挙区にある広島ガスは、ロシアのガス会社と10年契約を結んでいて、

広島で供給されるガスの50%はロシア産です。

 

  岸田総理はエリートネットワークを持っているから、支持率が低くても足元は揺るぎません。

政治に対する国民の諦めは極めて深く、野党は極めてだらしなく、

国民の目から見えにくいエリート層が政治をガッチリ掴んでいるのが、日本の現状です。

ダイヤモンド・ライフ編集部

 

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