高校三年生、大学受験勉強の、真っ最中に、
バートランド・ラッセルに出会った。
彼は、
「キリスト教は、地獄の恐怖で、脅しで、信者を獲得している!
だから、ダメだ!」
「むしろ、仏教は、慈悲心の宗教だから、こちらの方が良い」
そもそも、浄土教は、仏教ではない!
源流は「西方の、ペルシャの宗教」である!
「善悪二元論の宗教」である。
白隠は、地獄が恐ろしくて、「出家」した!
日本人の地獄と極楽のイメージを形づくった書物 細かく丁寧に解説―石田 瑞麿『往生要集入門 悲しき者の救い』橋爪 大三郎による書評(ALL REVIEWS) - Yahoo!ニュース
日本人の地獄と極楽のイメージを形づくった書物 細かく丁寧に解説―石田 瑞麿『往生要集入門 悲しき者の救い』橋爪 大三郎による書評
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源信の『往生要集』は日本人の地獄と極楽のイメージを形づくった書物。
それを、仏教学者の石田瑞麿氏が細かく丁寧に解説していく。
仏教は因果応報だ。
生前の行ない次第で当然地獄に堕ちる。
犯した罪の重さや種類ごとに、
等活地獄/黒縄地獄/衆合地獄/叫喚地獄/大叫喚地獄/焦熱地獄/大焦熱地獄/阿鼻地獄、の行き先が決まる。
等活地獄でも残酷なのにその先は一段進むたび桁違いの苛烈さ。目が回る。
ではどうする。阿弥陀仏の極楽浄土に往生しなさい。
まず仏の教えを守ること。
特に大事なのは念仏だ。
『往生要集』にいう念仏は、極楽の様子をありありビジュアルに想い浮かべること。
蓮華座を観たら仏の頭を観て鼻を観て手を観て、…やってみると難しい。
臨終も大切だ。
同胞に囲まれ励まされて、最期の瞬間に阿弥陀仏の来迎を体感しなさい。
要するに、インテリ貴族が
暇に任せて仏典を読み漁りまとめた極楽往生のマニュアルだ。
庶民に実行は無理。
法然が後に
称名(しょうみょう)念仏(南無阿弥陀仏と声に出して称える)を創始すると
やっと浄土信仰が広まった。
本書の初版は一九六七年。半世紀を経た古典が文庫で再刊された。
[書き手] 橋爪 大三郎 社会学者。 1948年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。執筆活動を経て、1989年より東工大に勤務。現在、東京工業大学名誉教授。 著書に『仏教の言説戦略』(勁草書房)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)、『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『社会の不思議』(朝日出版社)など多数。近著に『裁判員の教科書』(ミネルヴァ書房)、『はじめての言語ゲーム』(講談社)がある。
[書籍情報]『往生要集入門 悲しき者の救い』 著者:石田 瑞麿 / 出版社:講談社 / 発売日:2024年02月15日 / ISBN:4065348439 毎日新聞 2024年5月25日掲載
橋爪 大三郎
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