〈民主党には追い風?〉副大統領候補指名で共和党は「トランプ党」へ一直線か、J.D.バンス改宗への歩み(Wedge(ウェッジ)) - Yahoo!ニュース

 

 

〈民主党には追い風?〉副大統領候補指名で共和党は「トランプ党」へ一直線か、J.D.バンス改宗への歩み

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米国共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏(右)と、共和党副大統領候補のJ.D.バンス氏。2人の間に〝絆〟はあるのか(Anna Moneymaker/gettyimages)

 7月15日、トランプ前大統領は副大統領候補に上院議員 J.D.バンスを指名したが、2024年7月15日付のワシントン・ポスト紙社説は、彼の指名は共和党の正統性からの重要な転換を画するものだと論じている。  トランプがオハイオ州選出の J.D.バンス上院議員を副大統領候補に選んだことは、共和党の歴史における時代を画する瞬間である。1952 年の共和党大会では、第二次世界大戦後の外交における米国の役割が大きな争点となり、アイゼンハワーが、孤立主義者のオハイオのロバート・タフトを破った。  1930年代の「アメリカ第一主義」運動が失敗した後、保守は米国の必要不可欠な指導力を認めたのである70年後の今日、新たな「アメリカ第一主義」運動が共和党を支配している。   共和党は、ウクライナ支援のみならず、海外における民主主義の促進にも懐疑的な候補を支持することにより、戦後の伝統と決別した。トランプ・バンスの組み合わせ候補は、ポピュリズムであり孤立主義である。  「ウクライナがどうなろうと自分は一向に構わない」と2022年2月にバンスは述べた。彼は、対ロシア制裁を押し返そうとし、上院で軍事支援を阻止しようと画策し、ミュンヘン安保会議に出席してウクライナを批判することすらした。  バンスは才能に恵まれ賢い。39歳の彼は2年前に政府の経験もないまま上院議員に選ばれた。  彼は海兵隊に所属しイラクに派遣された。オハイオ州立大学とイエール法学院を卒業し、2006年には麻薬中毒の母親と衰退する鉄鋼の町で育った経験を回想する「Hillbilly Elegy」を書いた。

 この本の宣伝で、バンスはトランプをヘロインの一回分になぞらえ(「苦痛からの簡単な逃避」)、トランプを日常的に蔑んでいた。彼は2016年7月にはトランプは「実質的な裏付けを欠いたまま偉大さについてのスローガンを提供している」と Wワシントン・ポスト紙に書いた。  しかし、バンスは進路を変えた。彼は、社会問題については保守、経済については非リベラルと自身を位置付けた。彼はビッグ・ビジネスの力を非難し、反トラスト法の強力な実行を支持している。  最近、バンスは、彼が2021年1月6日に副大統領であったならペンスがやったようには 2020 年選挙を認証することはしなかったであろうと述べた。今月、彼はバイデンと彼の家族を「訴追するための本当の特別検察官」を任命するとのトランプの約束を擁護した。  バンスは公務員を一掃すること、そして最高裁がこれを違法とするのなら最高裁を無視することを提案した。7月13日、バンスはバイデンの選挙戦のレトリックが「トランプ大統領の暗殺未遂を直接的に引き起こした」と書いた。  バンスの指名が共和党の正統性からの重要な転換を画するものであることは間違いない。

 

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トランプ主義者として選ばれたか?

 バンスは才能に恵まれ賢い人物のようである。しかし、彼は、

自分は「never Trump guy」だと言っていたことがある。

トランプは「アメリカのヒットラー」かも知れないと思ったこともある。

トランプ主義は「文化的ヘロイン」だと断じたこともある。

 

  彼はその後トランプ主義に改宗した訳であり、

オポチュニスト(ご都合主義者)のようである。

 

自分が 2021年1月6日に副大統領であったならペンスがやったようには 2020年選挙を認証することはしなかったであろうと述べるなど、トランプに恭順であることが彼の将来を拓くと思っているに違いない。バイデンは彼をトランプのクローンだと評した。  副大統領候補を選択する基準はトランプに忠実なトランプ主義者であることだけではない筈はずであるが、それが唯一の基準であった如く見える。

 

 第一に、バンスは激戦7州のいずれの出身でもない

第二に、MAGA の岩盤支持層を超えて支持拡大を目指すのであれば、

中間層に訴え得る少なくとも自分よりは穏健と見做される人物を選択すべきであろうが、

バンスではこの目的に合致しない。

第三に、2016 年の選挙では経験豊富な政治家ペンス(下院議員と知事を経験)を副大統領候補に選び、

トランプの足らざるところを補ったように見えるが、

39歳で昨年上院議員になったばかりのバンスにその役割は期待し得まい。

 

ニクソンがアイゼンハワーの副大統領候補になったのも39歳の時だったが、

彼は上院・下院議員としてもっと政治経験を積んでいた。

注目される民主党の選挙戦略

 以上のように見れば、二つのことを指摘し得よう。

第一に、トンプは、暗殺の危機からの生還で生じた

モメンタム(一部では彼は神の手に守られた救世主らしい)を維持して

このまま進めば、勝てると確信したのかも知れない。

第二に、(勿論もちろん、トランプの第二期の成否によることであるが)

トランプ主義の松明はバンスによって

今後長く引き継がれる怖れが出て来た。

これは、

トランプが退場すれば、

共和党は

伝統的な共和党に回帰するであろうと期待していた向きには悪夢に違いない。

 

  反面、バイデンと民主党はバンスの選択に安堵したであろう。

バンスなら攻め易い。

トランプの副大統領候補は最終段階でバンス、上院議員マルコ・ルビオ及およびノースダコダ州知事ダグ・バーガム

の3人に絞り込まれていたようであるが、

トランプは最も波乱含みの人物を選択したことになる。

 

ダグ・バーガムは現実的な人物らしく、少なくとも 彼が選ばれていれば、民主党にとってはより戦いにくかったであろう。

岡崎研究所

 

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