古代インドの神秘思想

初期ウパニシャッドの世界

2024/7/12 服部正明(著)

 
語は火であり、眼は太陽であり、耳は方位であり、思考力は月であり、気息は風である――

小宇宙と大宇宙の対応の思想は、やがて個体の本質アートマンと宇宙の最高実在ブラフマンの一致の自覚へと深化される。古代インドに展開された生の根源とは何かを求める叡知、神秘思想の本質を、初期ウパニシャッドをもとに解明した最良のインド思想入門。

■目次■

法蔵館文庫版の刊行によせて
はしがき
プロローグ

第一章 古代インドの叡智――ウパニシャッドが現代に伝えられるまで
第二章 祭式から哲学へ――ブラーフマナとウパニシャッド
第三章 ブラフマンとアートマン――最高実在と個体の本質
第四章 「有」の哲学――ウッダーラカの学説
第五章 「非ず、非ず」のアートマン――ヤージニャヴァルキヤの思想(1)
第六章 輪廻と解脱――ヤージニャヴァルキヤの思想(2)
第七章 アートマンと外界――『カウシータキ・ウパニシャッド』の教説
エピローグ

講談社学術文庫版あとがき
講談社学術文庫版解説 赤松明彦
引用文献索引
 
 
著者:服部 正明(ハットリ マサアキ)
1924年、東京生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。61年から京都大学文学部助教授、73年から同大学教授をつとめた。88年退官。京都大学名誉教授。専攻は、インド哲学史。
著書に、”Dignana, On Percepting (Harvard University Press)、
『認識と超越〈唯識〉』(共著、「仏教の思想」4)、
翻訳に「ウパニシャッド」[抄]他5編(「世界の名著」1『バラモン教典・原始仏典』所収)などがある。

解説:赤松 明彦(アカマツ アキヒコ)
1953年京都府生まれ。76年京都大学文学部哲学科卒業、同大学院修士課程修了。83年パリ第三大学博士課程修了、文学博士。帰国後、京都大学人文科学研究所助手、87年から九州大学助教授、教授。2001年、京都大学大学院文学研究科教授。2018年退官。京都大学名誉教授。著書に、『楼蘭王国 ロプ・ノール湖畔の四千年』、『バガヴァッド・ギーター 神に人の苦悩は理解できるのか?』〈書物誕生 あたらしい古典入門〉、『インド哲学10講』、『ヒンドゥー教10講』ほか。