地球温暖化があっても、その

主要な原因が「CO2排出」にあるのではない!

 

地球は複雑な要因で、勝手に、変化していく!

膨大なCO2であっても、氷河期、極端な冷化の時期があった!

 

イデオロギーではなく、科学を深める必要がある。

CO2の狂乱は、中世のキリスト教十字軍の狂乱と同じである。

 

 

 

 

〈中国はウクライナ戦争で得をしたのか?〉ロシア制裁で変わったエネルギー市場、中国が買い叩きではなく波乱を乗り切った秘訣とは(Wedge(ウェッジ)) - Yahoo!ニュース

 

〈中国はウクライナ戦争で得をしたのか?〉ロシア制裁で変わったエネルギー市場、中国が買い叩きではなく波乱を乗り切った秘訣とは

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Wedge(ウェッジ)

ロシアの天然ガスはウクライナ侵攻以降、どこへ行くようになっているのか(lyash01/gettyimages)

 ロシアによるウクライナ侵攻から間もなく2年半になるが、ロシア軍の戦死者は英国BBCが確実に確認しただけでも5万人超、実際には30万人を超えているとする報道もある。これだけ莫大な数の戦死者を出していまなお、新兵を前線に送り続けることが出来るのは独裁国家ならではで、戦慄を禁じ得ない。対峙するウクライナ軍はたまったものではないだろう。 

 

【図表】中国の原油輸入先構成の推移

 

 そうなると期待を寄せたくなるのは経済制裁の効果であるが、ロシア経済は意外と悪くない状態を維持している。侵攻開始した2022年も国内総生産(GDP)成長率はマイナス1.2%のわずかな落ち込みに止まり、23年は3.6%の堅調な成長を達成している。  ロシア経済の好調さは軍需の増大による国内製造業の成長に牽引されたものであり、国民福祉の増進にはつながらないが、一時的には安定的な経済運営を可能にするものと言えるだろう。ロシアの産業、財政にとって非常に重要な鉱業(特に石油・ガス)も産出量は減少しているものの、国際価格が侵攻により急騰したこともあり、収入の減少は限定的であることも寄与している。  鉱業の成長率は、22年は0.6%の成長、23年はマイナス2.0%であった。これもまた意外なほどダメージは限定的であったと言うべきだろう。  ロシアの侵攻への制裁として、従来ロシア産原油とガスの主要顧客であった欧州はロシアからの原油・ガス輸入量を大幅に削減した。20年の欧州のロシアからの原油およびガス輸入量はそれぞれ1億3820万トン、1849億立方メートル(㎥)であったが、23年は3240万トン、692億㎥とそれぞれ76.6%、62.6%もの大幅な減少となっている。  しかしロシアの原油・ガスの輸出量全体を見ると、20年は2億6000万トンと2392億㎥、23年は2億4080万トン、1381億㎥であった。ガスこそおよそ1000億㎥、42.3%の減少となっているが、原油についてはわずか2000万トン、7.4%の減少に止まっている。  ロシアの原油・ガス輸出が欧州の大幅な削減にもかかわらず大きな減少に見舞われていないのはそれ以外の国が輸入を拡大したためである。批判のやり玉に挙げられるのが中国とインドであるが、実際、この両国によるロシア産原油・ガスの輸入状況はどのようなものなのか、以下分析してみよう。

 

 

ロシア産原油の大量買いを始めたインド

 図1と図2は中国とインドの原油輸入の輸入先構成の推移を示している。図1の通り、中国は21年と22年は原油輸入量自体が減少傾向にあったが、23年は前年比11.0%と急増している。21年はロシアからの輸入量が減少する一方、22年は上昇に転じ、23年は前年比2080万トン、24.1%もの大幅な増加となった。その結果、輸入量全体に占めるロシア産原油の比率は20年の15.0%から19.0%まで上昇している。   他方、インドはと言えば、図2の示す通り、ロシアからの原油輸入を急拡大していることが一目瞭然である。ウクライナ戦争前はロシア産原油の輸入実績はほとんどなかったが、22年より急増し、23年には輸入量全体にロシア産原油が占めるシェアは35.4%に達している。  両国を比較すると、インドがロシア産原油へのシフトを鮮明にしたことは間違いないだろう。言うまでもなく、欧州という大口の売り先が突然なくなったロシア産原油はそもそも買い叩かれる立場にあるし、22年12月以降は欧米諸国によってロシア産原油の上限価格として60ドル/バレルが設定されて更にロシア産原油は他の原油と比べて割安となっている。インドは割安なロシア産原油の経済性メリットを重視し、従来の輸入構成を大幅に変えたということになる。  他方、中国のロシア産原油の輸入シェアは確かに上昇しているが、4ポイントとそれほど大きいとも言えない。敢えて言えば、火事場泥棒的なインドと比べると、中国は幾分抑制が効いていると言えるだろう。  とは言え、輸入量そのもので言えば、中国は1億700万トン、インドは8180万トンと(いずれも23年)、中国の方がより多くのロシア産原油を輸入していることも事実であり、中国にとって長年最大の原油輸入先であったサウジアラビアに代わって、23年はロシアが最大の輸入元となった。大雑把な推計ではあるが、ロシアから中国が輸入している1億700万トン=7億8431万バレルを上限価格の60ドル/バレルで輸入したとすれば、23年の原油の国際平均価格82.6ドル/バレルとの差額分22.6ドル/バレルが中国の得たメリットだと考えられる。その合計は17億2541万ドルに及び、中国はロシア原油の輸入をインドほど増大させたわけではないが、得た経済的メリットは相当大きなものであったことを否定するものではない。

 

 

 

ロシア産ガスの浸透は限定的

 次はガスについてだが、インドはガスについては原油と異なり、ウクライナ侵攻による負の影響を直接被ったと言える。10年代半ばからインドのガス輸入は急激に拡大し、20年には366億㎥となったが、液化天然ガス(LNG)価格の高騰で(侵攻前ではあるが)21年も、そして22年は前年比16.0%と大幅に輸入量が減少した。  23年は増加に転じるが、20年と比較すると15.3%減の310億㎥となっている。ロシアからの輸入量も20年以降6億㎥程度、輸入量に占めるシェアも2%程度でほとんど変わらず推移している。

 中国については図3の通り、ウクライナ侵攻前の21年にLNG輸入量を前年比16.5%と急増させた後、22年には一転マイナス14.9%と大きく減少した。23年は前年比4.9%と若干増加して978億㎥となったものの、21年の1095億㎥と比べると10.7%少ない水準である。  輸入構成を見ると、豪州が最大で33.7%を占め、次いでカタールが23.4%、ロシアは11.2%で第3位である。図の通り、この4年間でロシアからLNG輸入を中国が大きく増やした事実はない。  そして図4はLNG輸入にパイプラインによる輸入を加えたガス輸入全体の推移を示したものである。22年と23年に中国はロシアからの輸入量が増加しており、20年の108億㎥は22年と23年にはともに208億㎥とほぼ倍増している。  上で述べた通り、LNGの輸入に大きな変化はないが、パイプライン経由の輸入量は大きく増えたということだ。「シベリアの力」と呼ばれる14年に建設開始され、19年12月に一部開通した新規パイプラインが本格稼働してきた影響によるもので、元々の計画でも22年に150億㎥、25年には380億㎥に供給量を拡大することが中露両国で合意されていたとされる。実績を見ると、「シベリアの力」パイプラインの建設は計画以上に進んでいると言えそうだ。  要するに、パイプライン経由のロシア産ガスの輸入が拡大したのはウクライナ戦争の影響ではなく、元々の計画通りに開発が進んできた結果に過ぎないということだ。考えてみれば当然で、パイプライン敷設には何年もの時間を要し、一朝一夕に輸入を拡大したりできるものではない。LNGも受入ターミナル建設など、輸入条件を整えるためにパイプラインほどではないが、同様に一定のタイムラグが生じる。  こうした理由から、ウクライナ侵攻に伴い、中国とインドがロシア産ガスの輸入を拡大したという事実は生じなかったし、原油と異なり、ロシアは欧州向けの需要喪失を他の地域に振り向けることができず、ガス輸出量は大幅に減少することとなったのであった。

 

 

 

 

エネルギー市場の荒波を乗り切った中国

 以上の分析から巷間よく言われる、ウクライナ戦争に乗じて中国とインドがロシアから原油・ガスを買い漁り、買い叩いて漁夫の利を得たという言説は、インドについては真実と言えるが、中国についてはやや誇張されたものと言うべきだろう。  確かに中国のロシア産原油の輸入量は23年にサウジを凌ぐ最大のシェアとなったが、輸入量全体からみれば2割弱に止まる。20年から23年にかけてインドはロシア産原油の輸入量を7920万トン増加させたが、中国は2360万トンに止まる。  インドはロシア産原油を買い漁ったという表現がまさに適当だが、中国については確かに少なくない経済的メリットを得たが、インドよりは穏当で抑制の効いた行動だったと言うべきだろう。ガスについては中国のLNG輸入にはほとんど変化はなく、パイプライン経由の輸入については増加したが、それはウクライナ戦争前に立案されていた計画が実行された結果に過ぎない。  しかし実はロシア産原油・ガスを買い叩くという方法によらず、ウクライナ戦争による国際エネルギー市場の波乱を中国は巧みに乗り切った事実も指摘できる。それは主要エネルギーである石炭のエネルギー安定供給における役割の再定義をウクライナ戦争の直前に行っていたことが奏功したものであった。

  図5の通り、中国のパイプラインガスの輸入も堅調に拡大しているが、やはり長期計画に従ったもので急激な伸びは見られないのに対し、LNGの輸入については16年以降急速に拡大してきた。16年からLNG輸入が急拡大し始めたのは第一次習近平政権によって脱石炭政策が急進的に進められたためである。  具体的には13年から17年にかけて推進された「大気汚染防止行動計画」の下、特に目標達成へのプレッシャーが強まった16年以降、産業用ボイラーなど中小規模の石炭ユーザー、そして北方地域の暖房用ボイラーなどに石炭からガスへの燃料転換を強力に進める措置などが実施された。一部地方ではガス管がまだ通っていないのに石炭焚きボイラーを撤去してしまったことで真冬に暖房がなくなる事態が生じるなどの問題が起こった。  とは言え、苛烈な政策による締め付けが講じられたからこそ、短期間で石炭燃焼に伴う大気汚染の大幅な改善に成功した面は評価すべきだろう。しかし政治による強制力のみならず、図の通り、16年から20年にかけてLNG価格が比較的低位の水準で推移したことも、燃料転換の経済的コストを軽減した点で重要な成功条件のひとつであったと考えられる。  そして21年にLNG価格が急騰し始めたが、この価格上昇は中国自身が震源であり、同年の中国のLNG輸入量が前年比16.5%と急伸したことが一因であった。この年、1970年代からおよそ半世紀にわたってLNG輸入国の首位を占めていた日本に代わり、遂に中国が首位に座ることとなったのであった。  しかしその翌年の22年は図の通り、中国のLNG輸入量は急減する。ウクライナ侵攻に対する対ロシア制裁で、欧州がロシアからのガス輸入を大幅に削減する代わりに世界中からLNGをかき集めたことで価格が急騰したことがその理由である。  22年の欧州のLNG輸入量は前年比60.1%と急増、そのあおりを受けて中国のみならず、世界中で数多くの国々がLNG輸入量を減少させることとなった。いくつか例を挙げれば、インドは前年比16.0%、パキスタン22.1%、ブラジルに至っては77.2%もの急減であり、いずれも欧州の買い漁りによる価格急騰でLNGを買い入れることができなくなり、インドやパキスタンではガス火力の運転停止による停電が頻発するなど大きな被害を受けることとなった。  ところが中国はLNGの価格急騰による打撃を相当軽減することに成功した。そのカギは脱石炭政策を見直し、石炭の重要性の再評価したことであった。  前年の21年秋に風力や水力の出力低下を発端とした深刻な電力不足に見舞われた中国はそれまでの性急な脱石炭政策を見直し、エネルギーの安定供給を重視して石炭へのテコ入れ措置を矢継ぎ早に講じた(堀井伸浩 「石炭が安定供給のアンカーとして再評価-近年の石炭冷遇がもたらした停電危機が契機に-」『東亜』(霞山会)、No. 664、2022年10月号、pp. 76-83)。  その成果は22年の石炭生産量が前年比9.0%、3.7億トンの増産となったことで、石炭の見掛け消費量は同8.1%、3.6億トン増加した。同年の中国のガス消費量は前年比マイナス2.1%、80億㎥分減少した。  他方、ガスの消費構成を見ると都市ガス用途は横ばい、工業用ガスは前年比221億㎥、19.4%増加したものの、化学原料ガスは37億㎥、11.2%の減少、発電燃料用途は前年比15.6%(111億㎥)もの減少となった。  発電燃料ガス消費量が大きく減少した22年の発電量は全体として前年比2.2%の成長で、成長に最も寄与したのは風力と太陽光を中心とした再エネであり、石炭火力の伸びは0.7%に止まった。しかし渇水期に水力の出力が前年比12.8%マイナスと大きく低下した第3四半期には、石炭火力の発電量は9.2%と大きく伸びた。  こうした出力変動への対処はやはり柔軟に出力を調整できる火力によるしかないことを示すものと言えよう。石炭火力が主力として対応することでガス火力の稼働を抑え、供給がタイトで割高なガス消費量を削減することに貢献したのであった。

 

 

 

 

日本が学ぶべきこと

 以上のように、中国は

ロシアのウクライナ侵攻に先立つ

21年からエネルギー政策の見直しを行い、

供給の安定性と低廉な価格という石炭のメリットを再評価し、

脱石炭政策を放棄した。

 

 

それが22年のウクライナ戦争が引き起こした国際エネルギー市場の波乱にもうまく対処することにつながり、中国国内のエネルギー価格はこの間、安定的に推移してきた。

 

  現在、わが国は新たなエネルギー基本計画の策定作業を進めているが、

脱炭素のかけ声の下での思考停止から脱却するべき時だ

 

  エネルギーはそれぞれ、供給の安定性と経済性に影響を与える要因が異なるため、

多様なエネルギーでポートフォリオを組むことがリスクを最小化し、

経済性を向上させることになる。

 

 

そのため従来のエネルギー基本計画はエネルギーミックスという原則でそれを実現しようとしてきた。あるいは3E+S(エネルギーの安定供給、経済性、環境の3つのEと安全性のS)という政策目標も同様である。

 

  ところが近年、

あくまでエネルギー政策の目標の一要素に過ぎない環境(脱炭素)が突出し、

他の政策目標をないがしろにしてきた。

 

 

  率直に言って現在のわが国の低迷する経済状況を鑑みれば、経済性こそ最優先にすべき目標であるし、またエネルギー事業者の献身的な使命感で何とか安定供給を保っている現状が今後何らかの不測の事態で損なわれる可能性が高まっている(その引き金を再エネの出力急変動が引く可能性は高い)ことに強い懸念を覚える。

 

 

 

  不本意であるが、

綺麗事ばかりの脱炭素を押し立てた、

現実から遊離した言論に左右されることなく、

現実主義で国益の増進を進めることができる中国が少々羨ましくもある。

 

 

もっともそれは権威主義的な政治体制であるがゆえでもあり、

筆者としてはご免被りたいところである。

 

  しかし自由な民主主義が衆愚政治に堕して衰退していく様を

わが国で再現されるのを見たくはない。

 

わが国を豊かにすることにつながる次期エネルギー基本計画となるよう、賢明な議論を望む。

堀井伸浩

 

 

 

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