『正法眼蔵』を理解しているか?
これは「生死の巻」を含めたいとするかで判明される。
秋月老師は、偉い!
1976年、或る日曜日、
道元の『正法眼蔵』は「白隠禅」では理解できない
と、おっしゃって・断言して、それ以降、
それまで続けてきた『正法眼蔵』の連続提唱を、お止めになさった。
それは「海印三昧の巻」の「海が水死体を浜辺に打ち上げる」議論の場面だった。
その提唱を聞いていた私は、そこで何が起こったのか、全然理解できなかった。
しかし、
それで、秋月老師の私塾「真人会」に、毎週日曜日に通う目的が失われた。
独身時代の事だった。
現在ならば、その理由は、明確である。
「白隠禅、中国禅、つまり、老荘思想」では
道元和尚の「原始仏教、阿含経、正伝の仏法」は、解釈できない、
ということである。
〇 〇 〇
『正法眼蔵』を理解しているか?
これは「生死の巻」を含めたいとするかどうかで判明される。
全然わかっていない「代表選手」が、以下の本である。
彼は、瑩山禅師の
「日本天台宗、達磨宗派」の「天台密教、梵我一如のお悟り」を
宣伝している。
「日本天台本覚思想」「山川草木悉皆成仏の世界」である。
「哲学者」道元へのアプローチ
難解な仏教思想書の内容がこの一冊でわかる!
思想家・和辻哲郎やアップルの創業者スティーブ・ジョブズにも影響を与えた
『正法眼蔵』のエッセンスを明快に読み解く。
ブックス特別章「道元の『哲学』とは何か」を収載。
==或る書評より
実家の墓を仕舞い、お寺を変えることにし、曹洞宗の勉強を手っ取り早く100分でできないかと、横着をすることを考えて、本書を読みました。ひろさちや氏はプロの作家ですので、とても楽しく、するすると読み終えました。一回読んで趣旨がわかったか、というと、要旨はわかったものの、宗教書として得心したとか、哲学書としてその意味がわかったとか言うことには至りませんでした。いずれにせよ、本書で提供されているのは、難しい正法眼蔵の多くの解釈の一つの見方を要約したものなのだろうと思います。それが面白かったので、星5つ。
きっと、自分で古文や漢文の知識もえて、たくさんの解説書を元に原文にあたらないと、そして、いろいろの体験や哲学的な思考の勉強をしないと、本当に得心するには至らないのだろうという印象を、本書を読んでこそ、理解しました。一つ一つの言葉の意味が、現代語とは全くといっていいほど異なるので、外国語を読むより難解です。100分で宗教書の古典を理解できるはずはありません。もっとも、より関心を持つための導入としては、面白く読むことができ、かつ、著者なりの本書の要約を得ることができました。仏教の、そして大乗仏教の、多くの一般人をこそ救うにはどういうアプローチがあるか、という思考と実践の努力という行為があることを知って、仏教に関心を持つきっかけとなりました。そのご縁にこそ感謝。
==或る書評より
『正法眼蔵』の本質を理解するためにどれほど有用なのかは正直なところ自分にはよくわからないが、TV番組をベースにしたものだけに誰が読んでも大変わかりやすいことは間違いない。
些細なことかもしれないが、仏教書を読み慣れていない人間としては、「すなはち」の語が持つ仏教的な意味をきちんと解説してあるところがとても親切だと感じた。この語の意味を正確に認識しておくことは、他の本を読むときにも大変役に立つ。
尚、ひろさちや氏は『正法眼蔵』を哲学書として読むべきと考えていて、その考えに沿って道元の思想を解説している。
道元の思想はいささかユニーク過ぎやしないかと思われなくもないが、
最終的には釈尊の思想に肉薄しているのが面白い。
哲学として読むと荘子やスピノーザと近いものがあり、非常に日本らしいというか日本人に人気の出そうな思想であろうことがよくわかる。実際に『正法眼蔵』を読んでみたい気にさせてくれる、モチベーションを上げてくれる一冊であった。