道元の教えを必要とする者は、極々、少数である。

が、その必要な者に、必ず届くようにしなければならない。

 

故郷の、南部藩の城下町、盛岡市の、「寺町・北山」の

源勝寺・第三十三世・石亀環道和尚の時代、1969年当時で、

檀家800世帯で、

「月例・日曜・早朝・坐禅会」に、参加する人は、

5~7人ぐらいだった。

つまり「日本教」においては、坐禅は、ひつようのないものだった。

日本人は、その意味で、非常に正常であった。

 

だから、日本人は、「自分は無宗教だ」と回答する。

「特別な、明確な、何かの教義を信じる」ということはない、との表明である。

私の父も同じであり、普通の日本人であり、お盆のお墓参りくらいだった。

 

重要なことは、「それでいい」のです。何も困ることはない。

不幸が起こった時は、自分の努力で、何とかしようとする。

これこそ、健全な方向である。

 

ただ、世の中に、どうしても自分で解決できないことにぶつかっている人がいる。

まさに、それが釈尊だった。

自分の「死苦」の為に、妻子を捨てて、インド社会の外に出て行った。

それが「出家」という行動です。

その人のためにだけ「釈尊の仏教」が存在するのです。

 

大部分の人へは「日本教」が一番相応しいのです。

具体的には、

瑩山禅師の「日本天台宗、達磨宗派」の「ご先祖様信仰」です。

だから、日本列島、津々浦々、広まったのです。

そして、多くの人々を救っていったという偉大なお働きを残していらっしゃる。

 

他方、道元和尚の「原始仏教」は、理解が難しいものとして、

わからないまま「冷凍保存」されて、現在まで残ってきた。

 

これが、出版されるのは、江戸時代の後期になって、永平寺第五十世になってからである。

つまり、それまで、必要とされてこなかった。

利用されるという事がなかった。

原因は、内容が理解できないものだったのです。

 

酒井得元老師は、修行僧に対して、

「若造の、お前らに、解ってたまるか!」という主旨の

ご発言をなさっている。

老師にとっては、実際にそうだったのである。

正法眼蔵

真実の求め 摩訶般若波羅蜜の巻

1999/12/1 酒井得元(著)

昭和52年6月10日より同30日まで開かれた、大本山永平寺第72回眼蔵会における
「摩訶般若波羅蜜の巻」提唱をまとめる。
般若心経を素材として、正統の解釈をふまえ、現実の見方や生き方をやさしく説く。
道元の仏法を説いて只管打座の座禅を徹底して指導実践した酒井老師の
昭和52年6月10日より同30日まで開かれた、大本山永平寺第72回眼蔵会における
「仏性」提唱をまとめる。仏教・禅・道元の伝統を提唱する。
 

 

 

 

正法眼蔵

ありのままを生きる 現成公案の巻

2005/6/1 酒井得元(著)

 
 
ちょっと、寄り道です。
著者は現代チベット仏教界における中堅世代の一人。
1961年ブータン生まれ。7歳の頃、ケンツェの系譜を受け継ぐ転生者の一人として認定される。
ダライ・ラマなど偉大な師から教えを受け、またロンドン大学東洋アフリカ学院で比較宗教学を学ぶ。
チベット、インド、ブータンの僧院で指導にあたるほか、
世界各国にダルマセンターを設立して修行者を指導、欧米、オーストラリア、ラテン・アメリカ等でも精力的に法話会を開催し、文化や伝統などの枠組みにとらわれず仏教の本質への理解を深めるための活動を行っている。
また映画『ザ・カップ――夢のアンテナ』(1999年)をはじめこれまでに5本の映画制作を行ってきた異色の仏教僧。
本書は、
仏教の基本の概念として知られる四法印(しほういん)を、仏教の初心者にもわかりやすく概説した書である。
四法印は、これまで「諸行無常」「一切皆苦」「諸法無我」「涅槃寂静」として知られているが、
本書ではそのような難しい仏教用語の使用を避け、次のように、平易な言葉づかいで説明されている。
(1)あらゆるものは組み合わせによって成り立っている無常な現象であり、それらに執着し続けることはできない。
(2)感情は究極的にはすべて苦しみである。自己こそ苦しみの元凶である。
(3)すべてのものは本質的には存在しない。それに気付けば執着することの無益さがわかる。
(4)悟りとは心に宿る様々な概念を超越することである。
本書では、ウィットやユーモアを交えながら、現代の身近なたとえ話を多く用いることで、ともすると「とっつきにくい」印象を与えがちな仏教の教えをわかりやすく伝えるとともに、仏教の教えが時代遅れなものではなく、現代の私たちに賢く生きる知恵をあたえるものであることを示している。なお、今回の翻訳は日本での出版に合わせて改訂されたもので、
安室奈美恵など日本のことが随所に登場するため、日本の読者も親近感が感じられるだろう。
原書は2006年に英語版が出版されて以来、フランス語、ドイツ語といったヨーロッパ言語のみならず、
中国語、ヘブライ語、インドネシア語など20以上の言語に翻訳され、合計18万6千部発行されている。
ブッダが見つけた四つの真実
ゾンサル・ジャムヤン・ケンツェ
1961年、ブータンに生まれた。What Makes You Not a Buddhist, Not for Happiness, Living is Dyingなど現代において仏教の道を歩むための書を著しているほか、アジア地域で仏教の研究のための僧院と研究所を6つ率いている。また、彼が監督している仏教の研究と実践を行うセンターは5大陸にまたがり、ブッダの教えを英語に翻訳する活動をしているものを含めいくつかのNPOを運営している。映画監督としても知られ、The Cup(日本語タイトル『ザ・カップ:夢のアンテナ』), Travellers and Magicians, Vara: a Blessing, Hema Hema: Sing Me a Song While I Wait, Looking for a Lady with Fangs and a Moustacheの5作品はいずれも高い評価をうけ、いくつかの賞を受けている(映画監督としての名はケンツェ・ノルブ)。