92歳のシスター・鈴木秀子「老いてなにもできなくなるのでなく、適切なタイミングでその時がやってくるだけ」。いつかおとずれる<老い>を肯定するための考え方
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内閣府が公表した「令和5年版高齢社会白書」によると、令和元年時点の健康寿命は、男性が72.68年、女性が75.38年と年々延びているそう。「超高齢化社会」の現代、年を取ることに落ち込んでしまう人もいるのではないでしょうか。しかし、50万人の悩みと向き合ってきた92歳の聖心会シスター・鈴木秀子さんは「年を取るって、素晴らしいこと」と話します。今回は、その鈴木さんの自著『あなたは、そのままでいればいい』より、人生100年時代を軽やかに生き抜くヒントを一部ご紹介します。
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◆生きていれば、良いことも悪いことも起きる
1日には昼と夜があり、1年のうちには天気のいい晴れの日と雨や曇りの日があります。 光があれば闇があり、表があれば裏があり、若いときもあれば老いるときもあり、生があれば死もあります。 草花や樹木は土から上の茎や葉や花だけでなく、ふだんは見えない土のなかの根っこの部分も含めて、すべてでひとつです。 人は生きていれば、良いことも悪いことも両方が自分の身に起きてきます。
◆良いこと、悪いこと、どちらも大切
だから、人生は50%と50%で、合わせて100%なのです。 どちらが良くて、どちらが悪いのではなく、どちらも大切なもの。 ふたつでひとつ。両方のバランスが取れて、この世界は成り立っています。 まさに、これが大いなる宇宙の、神様の計らいだと感じます。
◆コヘレトの言葉 『旧約聖書』のなかの「コヘレトの言葉(伝道の書)」には次のような言葉があります。 一部紹介します。 何事にも「時」があり 天の下の出来事にはすべて定められた「時」がある。 生まれる時、死ぬ時 植える時、植えたものを抜く時 (中略) 神はすべてを時宜(じぎ)にかなうように造り、また、永遠を思う心を人に与えられる。それでもなお、神のなさる業をはじめから終りまで見極めることは許されていない。 私は知った、人間にとって最も幸福なのは 喜び楽しんで一生を送ることだ、と。 人間だれもが飲み食いし、その労苦によって満足するのは神の賜物(たまもの)だ、と。 ―コヘレトの言葉 時宜というのは、ちょうど良いタイミングという意味です。
◆老いは、ちょうど良いタイミングでやってきた
私たちの人生は、時間が流れていくなかで、その都度、出来事が起きるのではなく、出来事がその人に適切なタイミング=「時」をつれてやってくるのだと私は解釈しています。 ということは、若いころ、あんなに元気でなんでもできた自分が、時間が経って年老いてなにもできなくなってしまったのではなく、自分にとって適切なタイミングで「老い」という「時」がやってきた、ととらえることもできます。 だから、過去のことを悔やむ必要はありません。未来を憂う必要もありません。
老いは、ちょうど良いタイミングでやってきたのですから。
それを否定せず、受け入れて、「いま」を精一杯生きることができれば、その先には適切な「未来」があなたを待っています。
そうして「すべては必然」と肯定できれば、あなたの中心にぶれない軸ができ、人生でもう迷うことはすくなくなっていきます。
なにも難しく考えなくて大丈夫です。
人間にとってもっとも幸福なのは
喜び楽しんで一生を送ることなのですから。
※本稿は、『あなたは、そのままでいればいい』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
鈴木秀子
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