歴史上の釈尊は、「ヨーガ、瞑想」修業を、捨て去った!

これこそが、最重要である!

その理由は、何故なのか?

 

 

 

 

ヨーガの哲学 (講談社学術文庫)

2013/8/9 立川武蔵(著)

「俗なるもの」の否定に「聖なるもの」は顕現し、「聖なるもの」の力によって「俗なるもの」は「聖化」される──。世俗を捨て、「精神の至福」をもとめる宗教実践・ヨーガ。身体のエネルギーセンター・チャクラ、調気法、坐法、マンダラを前に瞑想する観想法など、仏教学の泰斗が自らの体験をとおして具体的にその哲学をときあかす、必読のヨーガ入門。


世俗を捨て「精神の至福」を求める宗教実践は「根源的統一への帰一」へと人々を導く
ヨーガはただ、道をしめして命ずるのみ──
「古き衣をぬぎすてて、眼下の海に身を投げよ」

「俗なるもの」の否定に「聖なるもの」は顕現し、

「聖なるもの」の力によって「俗なるもの」は「聖化」される──。

世俗を捨て、「精神の至福」をもとめる宗教実践・ヨーガ。身体のエネルギーセンター・チャクラ、調気法、坐法、マンダラを前に瞑想する観想法など、仏教学の泰斗が自らの体験をとおして具体的にその哲学をときあかす、必読のヨーガ入門。

カトマンドゥ盆地の周辺には、かつての大行者たちがヨーガをしたと伝えられる石窟が残っている。彼らはわずかな弟子などとの接触をのぞけば、ほとんどひとりで瞑想のなかに住んだといわれる。月の光のない夜などはまったくのくらやみであったろう。しかし、彼らは思考の混乱・退行などの兆しを見せなかった。これは、まさにヨーガのもつ力のゆえである。ヨーガ行者はこの生体そのもののなかから、外からの刺激によってではなく、統覚の自律性を完成させるのだ。

──本書「第六章」より抜粋

 

 

立川 武蔵
1942年、名古屋生まれ。名古屋大学文学部卒業後、ハーバード大学大学院にてPh.D取得。名古屋大学文学部教授、国立民族学博物館教授、総合研究大学院大学教授、愛知学院大学文学部教授を務める。国立民族学博物館名誉教授。専攻は、仏教学、インド学。文学博士。中村元東方学術賞・紫綬褒章受賞。著書に『西蔵仏教宗義研究』(第1巻・第5巻)『「空」の構造』『曼荼羅の神々』『女神たちのインド』『はじめてのインド哲学』『中論の思想』『日本仏教の思想』『マンダラ』『ブッダの哲学』『最澄と空海』『密教の思想』『般若心経の新しい読み方』『空の思想史』『ヨーガと浄土』『ヒンドゥー神話の神々』『ヒンドゥー教の聖地』『仏はどこにいるのか』『ブッダから、ほとけへ』ほか多数。

 

==或る書評より

仏教とヨーガって、どうして似ているのかな?という素朴な疑問が最近大きくなっていて、手にとってみました。
ヨーガの世界観、歴史、実践、他宗教への展開…と初心者がヨーガとはなんぞや?をつかむために非常によい一冊だと思います。
ヨーガは止滅を目指す、というけれど、そもそも、

『ヨーガの世界は、1人の人間が自分の感覚器官を通じて経験した世界、を対象としており、

ヨーガが止滅を目指す世界は、行者の個人的世界である』

『ヨーガは一人一人が持つ霊我(プルシャ)が光輝くことができるように、世界の活動を統御してその道を開く。

ヨーガ自身は何も作り出さない』…など、

ヨーガの世界観を大まかですが知ることができる一冊です。
学術的にもヨーガを学びたいと感じている人には特にオススメの一冊だと思います。

 

 

==或る書評より

 私はそのスケールの大きさ、分析の深さと云う於て、以前から思想研究者としての立川氏のファンなのだが、本書でも期待は裏切られなかった。本書では「聖なるものの顕現」「俗なるものの止滅」と云ったエリアーデ的な枠組を基本にして、現実を逆転・改変する力を秘めた強烈な自己統御手段としてのヨーガを、初心者にも解る様に明快に図式的に描いてくれている。「何の為にヨーガ行者はそんなことをするのか」「行者は何を求めているのか」「その為の手段として何故この様な方法を採るのか」と云った、様々な「何故」について、インドの宗教や生理学まで引いて丁寧に解き明かしてくれているので、知的興味からヨーガのことを知りたいと云う読者にとっては非常に有難い内容になっている。

 西洋のメジャーな創唱宗教が基本的に個人が超越する為の具体的な手順や方法論を持たず、個々の聖人や見者の出現や、様々な形の儀礼や祝祭に頼って来たのに比べて、インドのヨーガの流れを汲む諸宗派は、解脱の為の詳細なステップを、様々なヴェリエーションを進化させながら発達させて来た。それら超瞑想法による心の浄化作用が実際に如何に人間の精神を変容させるかは、近年の脳化学が少しずつ解き明かそうとしているところであるが、恐らく今後その科学的解明が進むにつれて、世界の他宗教、或いは広義のスピリチュアリズムの形も段々と変化を遂げて行くことが予想される。本書はそうした展望を想像する上で必須の基礎知識を得るのに最適である。

 出来得れば、ウィルバーの様な最前線の思想家に、本書の発展形の様な未来の為の実践の書を書き下ろして貰いたいものである。