トランプ氏 ウクライナに圧力で“領土割譲の終戦案”~米有力紙(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース

 

トランプ氏 ウクライナに圧力で“領土割譲の終戦案”~米有力紙

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アメリカの有力紙は7日、トランプ前大統領がウクライナに対し、領土の一部をロシアに譲り渡すよう圧力をかけ、終戦に持ち込む考えだと報じました。

 

 アメリカの有力紙ワシントンポストによりますと、

トランプ前大統領は、

すでにロシアが一方的に併合を宣言している

東部ドンバス地方の国境地帯とクリミア半島を

譲り渡すようウクライナに圧力をかけ、

終戦に持ち込む考えを周囲に語った

ということです。

 

 11月の大統領選での返り咲きを目指すトランプ前大統領は、当選すれば24時間以内に戦争を終わらせると話してきましたが、具体的な手法には言及していませんでした。

 

 一方で、全領土の奪還を目指すウクライナ側が、この条件に応じるのは難しいとみられ、

プーチン大統領の武力による領土拡大を容認する案には、各国からの反発も予想されます。

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狙いはノーベル平和賞獲得か、「ウクライナ戦争を24時間以内に解決させる」と豪語するトランプの「打算と誤算」

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大統領返り咲きを狙うトランプ氏(写真:AP/アフロ)

 

■ 富と地位を獲得し、次は「レジェンド」狙いか

 

  2024年11月5日の米大統領選挙は、民主党現職のバイデン氏と、共和党で前大統領のトランプ氏の一騎打ちでほぼ確定した。ただし“もしトラ”、つまり「もしもトランプ氏が大統領に返り咲いたら」は、多くの人間にとって相変わらず懸念材料だ。 【写真】大統領の名を冠した米空母「ジェラルド・R・フォード」  「アメリカ・ファースト」「MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン=アメリカを再び偉大な国に)」を叫び、国際問題をあまり気にせず、「内向き志向」を鮮明にするトランプ氏の動向は、やはり気になる。  特に、アメリカが盟主のNATO(北大西洋条約機構)に対して手厳しく、「対GDP比2%の防衛費を負担しない加盟国を守る義務はアメリカにない」「(ロシアなど)侵略者が好き勝手しても、それをむしろ促す」と恫喝まがいの発言を繰り返し、「NATO脱退」まで示唆する始末だ。  アメリカ外交に詳しいある国際ジャーナリストは、「ロシアのプーチン大統領が小躍りしそうな発言ばかり。トランプは一体どちらの味方なのか」と戸惑う。だが、「こうしたトランプ氏の振る舞いには、どうやら裏の狙いがあるのではないかとの噂もある。富と地位を手にした人間が次に欲しがるのは『名誉』の獲得。できれば『レジェンド(伝説)』になりたいと願っているのでは?」と読む。  不動産取引で財をなし、ゴルフ場など多数の物件からなる「トランプ帝国」を築いただけに、富は十二分に持つ。直近の2024年3月下旬には、長年懸案だった同氏のSNS関連企業「トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ」の合併手続きが終了し、書類上は数十億ドルが懐に転がり込む計算だ。  この結果、彼の総資産は65億ドル超(約1兆円)に達し、世界の大富豪500傑の仲間入りを果たしたと欧米メディアも報じている。

 

 

■ 米大統領経験者で5人目の「ノーベル平和賞」獲得に熱視線

 

  トランプ氏は、当初、泡沫候補と言われながら米大統領選で勝利し、第45代大統領として2017~2021年の間アメリカの頂点に君臨。地位や一定の名誉も手に入れた。そこでトランプ氏は、次に伝説を伴う「名声」を得たいのではないかと目されているわけだ。  具体的には、「ノーベル平和賞と空母『ドナルド・トランプ』の実現」と、前出の国際ジャーナリストは推測する。  まず「ノーベル平和賞」だが、トランプ氏は過去に受賞まで「あと一歩」のところで逃したことがある。大統領在任中の2020年、イスラエルとアラブ陣営の有力国・UAE(アラブ首長国連邦)、バーレーンの“敵同士”を仲立ちし、両国は外交関係を樹立した。この功績でこの年の『平和賞』候補にノミネートされた。  残念ながら結果は「落選」で、イランで収監中の女性人権活動家ナルゲス・モハンマディ氏が栄冠に輝いた。トランプ氏はかなり悔しがったようだが、それでも「ノーベル賞を受賞した米大統領経験者は過去4人しかおらず、トランプ氏は5人目を本気で狙っているフシがある」(前出の国際ジャーナリスト)と、「平和賞」獲得への熱量は相当なものらしい。  ちなみに、過去4人の米大統領経験者と受賞理由は以下の通りだ。  【セアドア・ルーズベルト(1906年受賞)】 ポーツマス条約をお膳立てし、日露戦争終結に貢献 【ウィルソン(1919年受賞)】 国際連盟創設を主導 【カーター(2002年受賞)】 イスラエル・パレスチナ和平交渉に尽力、人道支援活動 【オバマ(2009年受賞)】 核兵器不拡散・廃絶への取り組み、気候変動、パレスチナ和平への貢献  錚々たる顔ぶれだが、トランプ氏が所属する共和党の出身者は、受賞第1号のセオドア・ルーズベルトだけで、他の3名は全員民主党という点も興味深い。そこで、トランプ氏の性格から「共和党が1人だけとは情けない。俺が2人目になってやる」と、俄然やる気になるのではないかと見る向きもある。  ある国際シンクタンクの関係者は、「トランプ氏はルーズベルトのようにウクライナ戦争の停戦交渉を仲介すれば、『平和賞』獲得は間違いなしと考えている可能性もある」と強調し、続けてこう解説する。  「ウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領を同じテーブルにつかせ、停戦案に署名・調印させ、世界中のマスコミが集まる会場の壇上で、自分が中央に位置して3者が固く握手を交わす──という光景を思い描いていてもおかしくはない」  さらには、「平和賞」受賞の米大統領経験者の中で、カーター以外は全員在任中に授与されているため、「現役が有利」とトランプ氏が計算に入れている可能性も捨て切れない。

 

 

 

 

■ 「ウクライナに1セントも払わない」と訴えるトランプの“戦略”  こうしたことを踏まえると、少々不謹慎だがトランプ氏はウクライナ戦争を「千載一遇のチャンス」と捉えていると考えることもできる。再選を果たし、2期目となる2025~2029年の間にウクライナ戦争を停戦に持ち込めば、「平和賞」受賞の可能性は大いに高まる。  逆にバイデン氏の大統領在任中に、ゼレンスキー、プーチン両氏が万が一にも停戦してしまえば、「平和賞」はバイデン氏、もしくは全く別の仲介者のもとにいく可能性が高い。もちろんトランプ氏にとっては“悪夢”だ。  このため「トランプ・ウォッチャー」の中には、「『1セントも払わない』などトランプ氏が叫ぶ一連のウクライナ支援反対論のもう1つの理由は、自分が再選するまでウクライナ戦争を続けさせるため、つまりは“遅延策”では?」と勘繰る者も少なくないようだ。  トランプ氏は「ウクライナに巨額の軍事援助を注ぎ込む余裕があるのなら、国内の産業復興に回せ」を持論とする。そして彼の応援団は共和党支持者の中でも超保守・強硬派、いわゆる「岩盤支持層」で、鉱工業労働者や農業従事者が大半を占める。となれば、彼が前出のような発言で、岩盤支持層の受けを狙うのも「政治家」としては当然だ。  「大統領に再選したら、ウクライナに1セントも払わない」と訴えたり、彼が事実上牛耳り、議席の過半数を握る下院共和党を使って、バイデン政権が退出したウクライナ支援法案を否決し続けたりしているのも、全てトランプ氏の「巧妙なノーベル平和賞獲得戦略」なのかもしれない。  「アメリカが高性能兵器を大量援助した結果、ウクライナ軍が大攻勢に転じ、ロシア侵略軍が壊滅したり、国境まで押し戻されたりして停戦してしまったら元も子もない。これを防ぐためにも、トランプ氏は共和党下院を使い、ウクライナに対しアメリカが行う軍事援助に絶妙にブレーキをかけているのではないか。要するにウクライナ軍を『生かさず、殺さず』コントロールしたいのではないか」(前出の国際ジャーナリスト)

 

 

■ 2030年代後半に空母「ドナルド・トランプ」就役の野望

 

  もう1つ、トランプ氏がひそかにうかがっているのが、米海軍が新造する原子力空母に「ドナルド・トランプ」の名を冠することだとも言われている。  空母は超大国アメリカの力の象徴で、存在感は圧倒的だ。しかも現役期間は「50年」と非常に長く、世界各地に駆け付けて紛争の火消しに当たる。  この時、空母の名前が「ドナルド・トランプ」なら、世界中のテレビや新聞、ウェブニュース、SNSが、「空母『トランプ』をペルシャ湾に展開」「空母『トランプ』が紅海の海賊を攻撃」などと連呼してくれる。  米大統領経験者の名が初めて米空母に命名されたのは、第2次大戦直後の1945年10月に就役した「フランクリン・D・ルーズベルト」で、1968年に実戦配備の「キティホーク」級空母の1隻にも「ジョン・F・ケネディ」と名付けられている。  現在、米海軍は11隻の空母を有し、全て原子力空母である。その中でも大統領経験者の名を付けているのは、「エイブラハム・リンカーン」「ジョージ・ワシントン」など8隻に上り、最近の例としては「ドナルド・レーガン」「ジョージ・H・ブッシュ」「ジェラルド・R・フォード」がある。  今は新造船1隻が訓練中で2025年に就役予定だが、退役した空母「ジョン・F・ケネディ」の名前を踏襲し、「(2代目)ジョン・F・ケネディ」と命名されている。この他、2030年代前半までに2隻の原子力空母が建造される見込みだが、こちらもすでに名前は“売約済み”だ。  そうなると、その次の2036年に就役が予定される原子力空母が狙い目だが、現在77歳のトランプ氏は89歳となる。  空母の名前に関しては、「歴史的な戦場・海戦名」「活躍した海軍将兵」「以前使用した名前のリバイバル」など候補は極めて多く、競争率は非常に高い。しかも、大統領経験者の有力候補としては、「平和賞」を受賞した「バラク・オバマ」も控えており、なかなかの強敵だ。  だが、空母の名前に選ばれた大統領経験者を見ると、概して大統領時代に米海軍の増強に熱心だった人物が選ばれているようである。これを考えると、トランプ氏は比較的いい立ち位置にあると言えるだろう。  大統領在任中から中国脅威論を掲げ、アジア・太平洋地域重視を前面に打ち出している。この地域は米海・空軍がメインで、中でも米海軍が誇る空母艦隊(空母打撃軍)「第7艦隊」の守備エリアだ。  またこれとは逆に、トランプ氏はロシアの脅威を中国ほど重要視していない。その証拠にNATO諸国に批判的だったり、ウクライナ支援に反対したりするなど「欧州軽視」の態度を取っている。  欧州は陸・空軍が戦いの主体となるため、「トランプ氏は海軍の受けがいいようで、大統領に返り咲けば原子力空母『ドラルド・トランプ』実現の可能性はぐっと高くなるのでは」と前出のジャーナリストは推測するが、その一方でこう皮肉る。

 

  「空母の自分の名前を冠したいという自己満足のためだけに、仮に米大統領に再選したトランプ氏が中国脅威論やアジア太平洋を重視し、代わりにロシアの脅威に対する欧州防衛を軽視するとしたら、『米史上最高の天才大統領』か『史上最悪の大統領』のどちらかだ」

 

 

 

 

■ 「もしトラ」でプーチンと何ら変わらない行動に出る恐れも

 

  ただ、トランプ氏が本当にノーベル平和賞の獲得をもくろんでいるとしたら、思わぬ誤算が生じるかも知れない。  「平和賞」は他のノーベル賞と違い、その時代の政治的背景が色濃く反映されやすい。しかも、選考委員の選出や顔ぶれは原則非公開で、ノルウェー議会が受賞者を選定し、授賞式も同国の首都オスロで開かれる。  そのノルウェーは北欧先進国の1つで、自由や民主主義、人権を重視し、NATO加盟国でもある。これらを考えると、「NATOを軽んじたり、ウクライナ支援に反対したり、“侵略者”プーチン氏を評価するような言動を繰り返し、さらには民主主義やジェンダー、女性、マイノリティーにも批判的なトランプ氏は、そもそも選考委員の心証が悪い」と、ある欧州問題研究家は嘆く。  トランプ氏は、「自分が大統領になれば、ウクライナ戦争は24時間以内に解決し、完全に終わる」と豪語している。  マスコミ受けを狙ったお得意のリップサービスだと思われるが、前出の欧州問題研究家は、「アメリカが対ウクライナ軍事支援を急きょ止めれば、ウクライナ軍は戦えず、トランプ氏が仲介する停戦案をのまざるを得ないと安直に考えているのだろう。だが現実はほぼ不可能だ」と手厳しい。

 

  このトランプ氏の爆弾発言は2023年5月時点のもので、奇しくもその後、前述のように彼に「右へ倣え」の下院共和党は、バイデン政権が求めるウクライナ支援を拒否している。

 

  結果的にアメリカの対ウクライナ支援は何カ月もストップしているが、

ウクライナ軍は苦戦しつつも戦闘を継続しており、

それどころかフランスなど欧州が本腰を入れて軍事支援を始めだしている。

これも、ある意味トランプ氏の大きな誤算だと思われるが、

 

前出の国際ジャーナリストはこんな驚愕のシナリオを予測する。

 

  「もしかしたら、クーデターで

ゼレンスキー氏を失脚させたり、あるいは“暗殺”したりといった行動に出ないとも限らない。

仮にこうした策にトランプ氏が出たら、

今のプーチン氏と何ら変わらず、アメリカの国際的地位は地に墜ちるだろう」

 

  果たしてトランプ氏の胸の内やいかに。

深川 孝行

 

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