【池上解説】ウクライナ劣勢の裏側…ロシアはなぜ強い!? 各国の支援はどうなった?(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース

 

【池上解説】ウクライナ劣勢の裏側…ロシアはなぜ強い!? 各国の支援はどうなった?

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テレビ朝日系(ANN)

【池上解説】ウクライナ劣勢の裏側…ロシアはなぜ強い!? 各国の支援はどうなった?

ロシアがウクライナに侵攻してから2年が経ちました。今の戦況についてザックリ言うと、ロシアが優勢で、ウクライナが苦しくなってきています。 

 

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ロシアはウクライナの18%を実質支配 日本ならば東北地方全部

まずは現在の状況を確認しておきましょう。ロシアの支配地域はこうなっています。 ロシアはウクライナの約18%もの地域を実質支配しています。18%と言っても実感がわかないかもしれませんが、日本で言うと東北地方全部を他の国に占領されている感じです。   国民はどんな生活をしているのでしょうか。UNHCRによると国民、4200万人のうち4人に1人が国内外で避難生活を強いられている状況です。

ウクライナ反撃の成果出ない理由は戦力差

ニュースをよく見ている方は、去年の夏ごろにウクライナが「反撃に出る」と発表したのを覚えていると思います。ロシアが押されている、といった報道もありました。 でも現状その成果は出ていない、ということなんです。その理由は戦力の差です。 兵士や武器の数など、戦力はこんなにも違うんです。   青がウクライナで赤がロシアです。軍事予算も兵器の数もロシアが圧倒的に多いですね。戦争が始まる前はどうだったのか、比較してみます     もちろん細かい数の変化はありますが、大勢は大きく変わっていません。 つまり、もともとウクライナとロシアでは軍事力に大きな差があったわけです。 逆に言えばこの状態でウクライナは2年間もよく戦ってきたな、とも言えます。   では、なぜこんな状態でウクライナは戦ってこられたのでしょうか。

総額35兆円以上 世界からウクライナへの支援

ウクライナがロシアと戦ってこられた最大の理由は「各国の支援」です。 アメリカやヨーロッパの国を中心に、世界38の国や機関が一昨年の1月から去年10月までに約2418億ユーロ、日本円にして約35兆円もの支援を行っています。 日本もこれまでに1兆円を超える支援をしています。 (2022年と23年のユーロ相場の年平均=145円で計算)   しかしウクライナは世界からの支援、35兆円以上あってもまだまだ足りないと言っています。今年になって砲弾が足りなくなり、激戦区からの撤退を余儀なくされたとも言われています。その背景にはこんなことがあります。  

 

 

 

ウクライナへの支援が停滞

今、各国からウクライナへの支援が停滞しています。 戦闘が2年以上と長引いたことで、世界で支援疲れが起きてしまっているのです。 代表例がアメリカです。国としては最も多い支援をしているアメリカですが、 今追加支援のための予算案が議会を通らず、支援が停滞しています。 その理由は今年11月に控えている大統領選挙です。今共和党の最有力候補と言われているのが前大統領のトランプ氏。トランプさんは大統領の時から「アメリカ・ファースト」、アメリカが一番大事、と言い続けています。つまり、ウクライナを支援するお金があるなら、アメリカ国民のために使おう!というのです。 今アメリカ下院は共和党が多数派です。トランプ氏の方針に逆らえない共和党議員が多いため、追加支援の予算が通らない事態が起きているのです。 トランプ氏が大統領になったら、アメリカの支援はほぼなくなるだろう、と。 そうなるとウクライナが戦争に負けてしまうということが起きそうだよ、というのが現在のところです。  

なぜロシアはお金がある?

お金がないのはロシアも同じでは?と疑問に思いますよね。ロシアはそもそも世界有数の産油国です。今もハンガリーや中国、インドなどが大量に買ってくれるため、外貨収入がまだまだあるのです。そして武器輸出国でもあるので、武器も作り続けることができているというわけです。  

ウクライナ情勢 今後どうなる?

戦闘が長引くほど地力に勝るロシアが有利になるとみられています。 間もなく行われるロシア大統領選挙でもプーチン大統領の再選は確実視されていますから、今まで通り、侵攻を続ける方針は変わらないでしょう。ロシアの最大の目的はウクライナの東部・南部4州の完全支配とみられています。

 

   一方でウクライナ国民やヨーロッパの世論調査では、停戦や和平交渉を望む声が大きくなってきますが、今のままの状況で停戦すると、ウクライナの国土の2割近くをロシアに奪われる形になってしまいます。果たしてそれをウクライナ国民が良しとするのか、それがこれから大きなポイントとなってきます。

 

   ウクライナを全面的に応援する国もあれば、自分の国が一番だ、っていう国もある。

そういう世界の分断が見えてきたんじゃないかな、って思うんですね。

そういう中で日本はどうするのかな、っていうのが

改めて問われている時代になっているのかなと思いますね。

 

 (池上彰のニュースそうだったのか!! 2024年3月9日の放送より )  

テレビ朝日

 

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