中国の脅威が迫るなか「自衛隊強化」に反対…玉城デニー知事から「沖縄の民意」が離れはじめた!《6月の県議選が正念場》《知事選の有力「対抗馬」》(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

 

中国の脅威が迫るなか「自衛隊強化」に反対…玉城デニー知事から「沖縄の民意」が離れはじめた!《6月の県議選が正念場》《知事選の有力「対抗馬」》

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---------- 辺野古移設工事の「代執行」、さらに「オール沖縄」の内部崩壊によって、玉城デニー沖縄県知事が政治生命の危機を迎えようとしている。6月には県議選の改選が待ち受けており、ここが玉城氏にとっての正念場となる。玉城氏は危機を乗り切れるのか──。 ---------- 【写真】「台湾有事Xデー」に日米はどこまで戦えるのか《日米中・戦力比較図》  『「辺野古」反対派は高齢化、「共産党」に支配され…玉城デニー知事を支える「オール沖縄」内部崩壊寸前の「悲惨すぎる現状」』より続く…

玉城知事の「対抗馬」は?

知念覚氏(HPより)

 地元では、早くも知事選の構図がささやかれ始めている。玉城デニー氏の後継と目される人材は育っておらず、3選出馬は既定路線だ。  玉城氏本人は再選前の1期目途中ですでに「知事は1期で十分だ。自分は国会議員の方が向いている」と、本気か冗談か分からない言葉をこぼすこともあったという。もっとも、進退は自分では決められず、跡目のめどが付かずに担がれれば立つしかないのが政界だ。  一方、自民系の保守候補には、先の知念覚・那覇市長や、参院選で惜敗した古謝玄太氏の名が上がる。  全市町村の筆頭に君臨する那覇市の市長は、知事に名乗り出る肩書きとして申し分ない。しかし、行政出身で政治経験はない。市長選では自民の推薦を受けはしたものの、自民沖縄県連とは一定の距離を置いた。知名度不足に加え、市町村議員らにどれだけの支持を得られるかはわからない。  古謝氏にも前回の善戦から知事候補に推す期待の声があるが、全県選挙で二度目の敗北を喫した場合には、将来のホープの芽を摘んでしまうことになりかねず、慎重論もある。  ならばと、参院選の古謝氏に引き続き「沖縄県出身の中央官僚」を担ぎ上げられないか、と唱える声もある。2022年に沖縄が本土復帰50年を迎えたのを機に、優遇される予算制度や税制について「もはや沖縄は特別ではない」と否定的な風潮が中央の政界・官界では高まっている。  激しい戦争体験を経て米軍の施政下に置かれた歴史的経緯や、離島である地理的な事情を踏まえ、国からの予算は沖縄振興予算として内閣府が一括計上。補助率は他県よりも高い。県が使い道を決められる「一括交付金」も非常に特殊な優遇制度だが、そうした風潮を反映して毎年減額が続いている。税制でも、昨年末の税制改正では、ガソリン税の優遇措置の延長を打ち止めようとする動きが中央で出た。

 

 

 

 

立憲と社民の「つばぜり合い」

 「沖縄はいつまで甘えているんだ」。

沖縄の歴史や地理的に不利な事情を軽んじているとも取れるような意見が存在感を急速に増し、官僚や自民議員の間で聞かれるようになった。

沖縄も、もう「47分の1」になればいい。

一般県民にそんな志向性が高まれば、

「予算を取ってこられる」

「中央政府とのパイプを生かせる」と訴える官僚出身の知事候補が受け入れられる素地が整うのかもしれない。

 

  今年6月、玉城氏2期目の中間評価と位置付けられているのが「県議会の改選」だ。

議会は48議席中、玉城氏の支持派が24議席を占める。

議長を除いた残る23議席を自公など不支持派が分け合っている。

玉城氏支持派が1議席でも失うことになれば、玉城氏の執行部を支える

与党は少数派となって「ねじれ」が生じる。

 

 

  辺野古問題に関する予算や、玉城氏の提案する人事案などは否決されることとなり、

残る任期中は「レームダック化」する。

知事選に向けて自公の県政奪還を左右する天王山だ。

 

  ところが、オール沖縄は先に書いたとおり、政党間で統制が取れていない。立憲民主党と社民党の間などでつばぜり合いが繰り広げられており、複数の選挙区で候補を乱立している状況。辺野古反対派全体で24議席を死守しようとの気概はみられない。

 

  玉城氏支持派の各党は、各々の候補に公認を与え、一本化の調整をすれば議席増が狙えるかもしれない選挙区でも、共倒れの可能性がぬぐえていない。本来ならば玉城氏が率先して各政党に「腹6分」を求めるべき局面だが、そうした動きは起こっていない。

 

  選挙モードが強まる中、翁長氏の次男・雄治氏の去就も注目されている。那覇市議、沖縄県議を経て那覇市長選に出馬したが敗れた。急死した前知事の「遺志」を引き継ぐとしてきた玉城氏らにとって、雄治氏が県議に出戻りを目指して出馬すれば、集票の切り札となりうる。

中国訪問、台湾は「延期」

 しかし、雄治氏はすでに出馬見送りを決めたとされる。那覇市区でも乱立する玉城氏支持派の候補の中に雄治氏が割り込めば、市長選に敗北した「同情票」を取り過ぎてしまう。そうした見方がある一方、玉城氏は、翁長氏の実の息子にも自身を支える県議としての政治家復帰を説得できなかったことになる。

 

  岸田文雄政権にとっては、県議改選で過半数を獲得し、確実に玉城氏を追い込まなければならない。しかし、いまのところ辺野古問題をはじめ沖縄自体に関心が薄い。安倍晋三、菅義偉の両政権の時代と比べ、沖縄の懸案と向き合うキーマンも不在。前回の県議改選では、菅氏が沖縄に入ってテコ入れをした。3~4月になれば選挙の機運が高まるが、政権内に沖縄県議改選の重要性を意識する声はほとんどない。

 

 

  玉城氏は辺野古問題での勝敗が見えていた昨年、「地域外交」なる方針を打ち出した。自治体間の交流でアジアの緊張緩和を目指すというものだ。

昨年は中国・北京を訪問して李強首相と面会したが、

尖閣諸島問題には地元知事として言及しなかった。

 

慣例だった訪中直後の台湾訪問も延期するなど、

これまでも訪中してきた歴代の沖縄県知事と比べ

バランス感覚を欠いている、という批判の声も上がっている。

 

  離島地域を中心に、中国の脅威をひしひしと感じる県民が増えてきた一方、

玉城氏は、反撃能力を沖縄各地に配置する計画には反対するなど、

自衛隊強化に反発する場面が多い。

 

離島の首長がこぞって設置を要望しているシェルターの整備にも、

知事としてコミットする姿勢はみられない。

 

  辺野古移設に反対し玉城氏に票を投じてきたものの、

こうした現状に違和感を覚える県民は今後ますます増えていく可能性は高い。

 

自民政権は、天王山の県議改選で、こうしたポイントを捉えられるか。

6月の選挙を皮切りに、

長らく続いてきた「辺野古移設に反対する沖縄県民」と

「強行突破する政府」という構図が崩れ

沖縄政界の地殻変動が一挙に進むかもしれない。

田仲太郞

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