「総理の真意を問うための圧力」異例の談話…与正氏が日朝関係改善に言及 狙いは?(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース

 

 

「総理の真意を問うための圧力」異例の談話…与正氏が日朝関係改善に言及 狙いは?

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北朝鮮の金正恩総書記の妹・与正氏(ヨジョン)が15日、日朝関係の改善に言及する異例の談話を発表しました。

 

 

 金与正氏:「日本が信義ある行動で関係改善の新たな活路を切り開く政治決断を下すなら、両国はいくらでも新たな未来を共に切り開くことができるというのが私の見解である。我々の正当防衛権について、不当に言い掛かりをつける悪習を捨て、解決済みの拉致問題を、両国関係の障害物とするのを止めれば、首相が平壌を訪問する日も訪れるであろう」 あくまで彼女個人の見解だとしていますが、与正氏の担当分野は対韓国であり、日本のこと、しかも岸田総理の訪朝について言及するのは極めて異例です。 異例といえば、先月、その兄からもこんなメッセージが。

 

 金正恩氏からの電報(先月5日):

 

「岸田文雄閣下。日本で不幸にも、年初から地震によって多くの人命被害と物的な損失を受けたという知らせに接し、遺族と被災者に深い同情とお見舞いの意を表します」 日本の総理を閣下と呼ぶのは初めてとみられます。急に日本に歩み寄ってきたかにも思えましたが、その後、巨大津波を起こせると豪語している核魚雷の実験を日本海で行っています。津波で被災した国をあざ笑うかのようなやり方を見ると、関係改善への本気度には疑問符がつきます。 岸田総理は9日、「金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルの協議を進めていく考え。これ累次申し上げているところですが、今こそ大胆に現状を変えていかなければならない」と発言しています。

 

 

 与正氏の談話は、岸田総理のこの発言を受けて出されたものだというのですが、

総理自身が言う通り、何度も口にしてきた話です。

 

 日本政府の反応は…。

 

 林官房長官:「金与正副部長が談話を発出したことには留意をしています。北朝鮮側の発表の1つ1つにコメントすることは差し控えたいが、拉致問題が、すでに解決されたとの主張は、全く受け入れられないと考えています」 ※談話の真意は、一体、何なのでしょうか。

 

 

 ■北朝鮮政治が専門の慶応義塾大学・礒崎敦仁教授に聞きました。

 

 

     礒崎さんは、与正氏の登場は「岸田総理の真意を問うための圧力」だといいます。 これまで岸田総理が日朝のハイレベル協議をもとめたのは、今年に入ってからが初めてではなく、去年5月27日「首脳会談を実現すべくハイレベルで協議をしていきたい」と表明し、北朝鮮も肯定的に反応していたということです。しかし、去年から大きな進展がみられないため、礒崎さんは「北朝鮮は、日本側が本気で日朝関係を改善しようとしているのかはっきりしないと考えている。岸田政権が国内の人気取りのために言っているのか、それとも本気で関係改善をする気なのか。それを測るため、今回は次官レベルでなく、金正恩氏の事実上の代弁者と言える与正氏を出してきた」といいます。さらに「与正氏が談話を出すことで、日朝関係が水面下で、何かあるのではないかと韓国を疑心暗鬼にさせる効果もある」としています。 北朝鮮側は、日朝関係改善したいという気持ちはあるということですか。 礒崎さんは、そうみていて、その要因の一つとして、アメリカのトランプ前大統領を挙げています。「今年、再びトランプ氏が大統領選に勝てば、米朝交渉再開の可能性がある。その際に、日本に交渉の妨害をされないように、日本との関係を改善する狙いもあるのでは」と話します。

 

 ■政治部・官邸キャップ千々岩森生記者に話を聞きます。

 

 Q.北朝鮮の異例の談話について、日本政府はどう受け止めているのでしょうか。 千々岩森生記者:妹を通じた金正恩総書記のメッセージとみているんですね。実は、去年の秋の時点で、総理官邸が持っていた北朝鮮との複数のパイプのひとつに、この与正氏を交渉相手にする“極秘プラン”というのがありました。実際にこれが機能しているかは明らかになっていませんが、岸田総理は「具体的にさまざまな働きかけを行っている」とすでに踏み込んでいます。総理側近も「今までとは違う変化がある。だけど、これ以上は言えない」と、意味深な発言をしています。

 

 Q.北朝鮮は拉致問題は解決済みだという立場でこうした呼びかけをしています。それで岸田総理が首脳会談を行うということになれば、拉致被害者の心情の面からも、これまでの日本の基本政策からいっても矛盾するので、会談は考えにくいのではないでしょうか。 千々岩森生記者:おっしゃる通りだと思います。岸田総理は、北朝鮮との関係は、中国と同じという見方。中国は習近平主席と会談しないと動きません。北朝鮮も金正恩総書記と直接、会談しないと動かせないとみています。拉致問題とはいったんは切り離して、まずは首脳会談に持ち込み、その先に逆に成果が見えてくるという順序で考えていると思います。

 

 Q.日朝首脳会談が近いうちに実現する可能性はありますか。 千々岩森生記者:可能性はなくはないと思いますが、懸念はいくつかあります。特にアメリカと韓国です。ともに北朝鮮には厳しい姿勢で、特に韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、北朝鮮には超強硬姿勢です。岸田総理が日朝関係を進めようとすれば、日米韓3カ国に“溝”が生まれるリスクがある。そうなれば、まさに北朝鮮の思惑通り。重要なのは、その米韓との首脳会談が、3月・4月に控えていますので、にわかに注目度が上がるということになると思います。

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