「トランプ党」へ変貌あらわ 共和指名レースで2連勝 沈んだ穏健派連合・米大統領選〔深層探訪〕(時事通信) - Yahoo!ニュース

「トランプ党」へ変貌あらわ 共和指名レースで2連勝 沈んだ穏健派連合・米大統領選〔深層探訪〕

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時事通信

23日、米東部ニューハンプシャー州ナシュアで演説するトランプ前大統領(手前)。後方左端は実業家のラマスワミ氏、同2人目はスコット上院議員(AFP時事)

 

 米共和党の大統領候補選び第2戦となった東部ニューハンプシャー州予備選で、トランプ前大統領が初戦の中西部アイオワ州に続いて勝利を収め、指名獲得に向け大きく前進した。アイオワより穏健な政治的風土のニューハンプシャーを押さえ、巻き返しを図ったヘイリー元国連大使の望みを粉砕。「トランプ党」へと変貌した共和党の姿を改めて印象付けた。

 

  【ひと目でわかる】米大統領選の流れ

 

 ◇ヘイリー氏包囲網  ニューハンプシャーは、ヘイリー氏がトランプ氏の勢いを食い止める可能性が最も高い州と目されていた。有権者に占める無党派層の割合が39%と民主、共和両党より高く、トランプ氏が誇る「岩盤支持層」の力が相対的に弱まるからだ。  2020年大統領選の敗北を覆そうとし、起訴された前大統領。その復権を阻止しようと、共和党に有権者登録を変えた無党派層や一部の民主党員は、共和党穏健派と連合を結成した。「新世代の保守リーダー」を自任するヘイリー氏の下、反トランプ派は「最後の戦い」(米メディア)に臨んだ。  これに脅威を覚えたトランプ氏は「極左に擦り寄った」と、全力のネガティブキャンペーンに打って出る。「ヘイリーは不法移民に反対しない」「ヘイリーは戦争好きのグローバリスト」。ヘイリー氏が「全てうそだ」と反論しても、印象悪化は避けられなかった。  さらに、15日のアイオワ州党員集会でトランプ氏が圧勝した後、共和党内では「勝ち馬」に乗る動きが一気に広がった。撤退したデサンティス・フロリダ州知事や実業家のラマスワミ氏、スコット上院議員らが雪崩を打ってトランプ氏への支持を表明。デサンティス氏はヘイリー氏を「共和党守旧派の代表」と呼び、追い打ちをかけた。トランプ派の対極にいた穏健派のルビオ上院議員までも加わり、ヘイリー氏「包囲網」は急速に狭まった。

 

  ◇求心力に差

 

  不法移民の流入を危惧する不動産業カール・ザーンさん(66)は、予備選でトランプ氏に一票を託した。「仕事もせず、ただ『米国にいるだけ』の移民は納税者の負担だ。だが、そんな当たり前の指摘をすると、『差別主義者』とレッテルを貼られる」。トランプ氏は「偏狭な民主党」と戦う「ロックスター」だと力を込める。  そうした声とは別に、消極的にトランプ氏を選んだ人もいた。移民コミュニティーに生活の場を脅かされていると感じる弁護士ローレンス・ゼルさん(66)は、「トランプの方が強さがある。性格には難があるが、目をつぶって投票する」と話した。  米メディアの出口調査によると、トランプ氏に投票した人の77%が「候補者が好き」と答えたのに対し、ヘイリー氏に投票した人ではわずか33%。候補者個人の求心力の差は明らかだった。

 

  番狂わせに失敗したヘイリー氏。

 

2月24日に控える故郷のサウスカロライナ州予備選では、トランプ氏との支持率差が30ポイント超という高い壁が立ちはだかる。「戦いは始まったばかりだ」と支持者を奮い立たせたが、選挙戦の継続には黄信号が点灯している。(マンチェスター=米ニューハンプシャー州=時事)

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トランプ前大統領

 アメリカ大統領選、共和党の候補者選び初戦でトランプ前大統領が圧勝した。

 

  【映像】トランプ氏、大統領再選の可能性は?

 

 トランプ氏の得票率は全体の5割を越え、デサンティス・フロリダ州知事は大きく票差をつけられて2位、ヘイリー元国連大使は3位となった。  しかし、トランプ氏と言えば「大統領選の結果を覆そうと手続き妨害」「不倫口止め料支払いでビジネス記録改ざん」「選挙結果を覆そうとジョージア州政府に圧力」「機密文書を自宅で不正保管」など合わせて4つの罪で訴えられ、現在も裁判が進行中だ。さらにコロラド州では、裁判所が今回の大統領選へ立候補資格がないという判決を下している(トランプ氏は判決を不服として上告)。

MAGA

 なぜトランプ氏は支持されるのか、テレビ朝日外報部の中丸徹デスクは「これが日本人にとって理解しづらい、アメリカの深い問題がある」とコメント。根底には「白人の焦り」があるという。トランプ氏を支持しているのは「トランプのMAGAにすがりついている人々」だという。MAGAとは「Make America Great Again(アメリカ合衆国を再び偉大な国にする)」というトランプ氏のスローガンの頭文字だ。中丸氏は「白人たちが優位だった白人優位のアメリカに戻したい白人層の思想。いま、移民たちの増加によって自信と余裕を失いこのままではマイノリティになってしまう白人がトランプ氏を支えている」と説明した。  「頭のいいトランプ」と言われていたデサンティス氏への支持が伸び悩んだことについては、「デサンティス氏はトランプ氏ほど面白くないってことでしょうね」とバッサリ。「期待に反してどんどんみんなしゃべればしゃべるほど『つまらない』とガッカリしていって、1年半ぐらいかけてどんどん支持が落ちてきている。代わりに『デサンティスじゃダメならヘイリーか』ということで女性のヘイリー氏が今伸びてきている」として、「トランプを追い上げるとしたらヘイリーじゃないか」という空気感が漂っていると語った。

 

 

  さらに、「トランプ氏はなにか、人を引き付ける魅力がある」と続けた中丸氏は「白人が元気づけられる。言いたいんだけど言えなかったことをスカッと言ってくれるのでわかりやすい。言葉にならないことを代弁してくれた。代弁者として支持するという動きがある」と理由を解説した。

 

 

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アメリカ人種の推移

 中丸氏によると、アメリカの人口に対する白人の割合は100年前は9割だったが徐々に減少し、

2060年には43.6パーセントになるという予測もあるという。

「白人優位の国じゃないということになる」と語る中丸氏は

「白人としては焦っている」と、心情を推察した。

 

さらに「自分がつきたかった仕事がほかの移民に取られたとか、

具体的に自分が困ることになってくる」と、

生活に直結する問題もトランプ支持につながっていると説明した。

 

  大統領再選の可能性について問われると、中丸氏は「十分ある」と回答して

「今、トランプ対バイデンでシミュレーションして世論調査してみると、

若干トランプ氏のほうが上」と現状を語った。

 (『ABEMA的ニュースショー』より)

 

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