1・2審で食い違う国家免除とは…慰安婦判決、永久未解決で残るのか(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース
1・2審で食い違う国家免除とは…慰安婦判決、永久未解決で残るのか
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旧日本軍慰安婦被害者が韓国の裁判所の判決を通じ日本政府から賠償を受ける権利を確保したが、日本政府は韓国司法の裁判管轄権自体を認めておらず、実質的賠償はまた遠ざかった。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権になり韓日間の未来協力が本格化することとは別個に過去史被害者に向けた司法の正義実現は依然として未完だ。
ソウル高裁は先月23日、
日本政府が金福童(キム・ボクドン)さんら慰安婦被害者16人に
1人当たり2億ウォンの損害賠償金を支給するよう命じる判決を下し、
日本が上告しなかったことで判決は9日に確定した。
日本政府が上告を含む裁判手続きに一切参加しなかった根拠は「国家免除」だ。
国家免除は
特定国の司法府が第三国政府を司法的に判断し罰するのは
主権侵害に当たるとみる国際法的原則だ。
◇1・2審で分かれた「国家免除」とはなにか
慰安婦問題をめぐる
国家免除問題は
韓国司法府内でも互いに相反した判決が下されるほど
尖鋭な問題だ。
2審判決に先立ち2021年4月に1審裁判所は国家免除を適用し慰安婦被害者の訴訟を却下した。
慰安婦被害者らと市民団体の一部では
戦時性暴行など反人権的戦争犯罪には国家免除を適用できない
という立場だ。
実際また別の国際法原則である「強行規範」は奴隷売買、集団虐殺、拷問など普遍的人権を蹂躪(じゅうりん)した反人道的犯罪の場合、国家の主権より被害者の人権と名誉回復を優先視する。
ただ
裁判所が独自に国家免除の可否を判断する事例が累積する場合、
裁判所ごとに相反した判決が下される司法の混乱だけでなく、
外交紛争に飛び火しかねないという指摘も出る。
また、韓国政府も国家免除の原則から自由でない。
ベトナム戦争での民間人虐殺と関連し、韓国政府の損害賠償責任を初めて認めた
2月のソウル中央地裁の判決が代表的事例だ。
当時裁判所は韓国が訴訟を提起したベトナム人に3100万ウォンを支給するよう命じた。
韓国政府関係者は
「西側を中心に多くの国では
国家犯罪や外交行為に対しては最初から裁判自体を自制する『司法自制の原則』が制度化されている。
犯罪の責任を問い被害者の名誉を回復することは重要だが、
司法の判断だけで全てを裁く場合、
外交的協議と交渉を通じてこれを実質的に解決する余地が減る」と話した。
◇「司法の正義」の実現は可能なのか
今回の判決は司法府が慰安婦被害者の痛みを抱えて日本政府の責任を認めた点で意味が大きいが、
日本政府の賠償金支払いを命じた判決を履行する現実的手段がないというのが問題だ。
2018年に日本の戦犯企業(三菱重工業、日本製鉄)に強制徴用被害者への損害賠償金支払いを命じた判決の場合、被告の賠償金支払いが遅れると強制現金化措置がなされた。
だが慰安婦判決の場合、被告は企業でなく日本政府だ。
現金化措置に向けては日本政府の国内資産を強制的に売却しなければならないが、
在韓日本大使館をはじめとする外交資産は「外交関係に関するウィーン条約」により保護されため
強制執行の対象と見なされない可能性が大きい。
現金化が可能な日本政府の財産を探すとしてもこれを推進するのは韓日両国間の外交悪材料に広がる可能性が大きい。
文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が2021年1月の新年記者会見で強制徴用判決履行と関連し日本企業の国内資産を現金化する措置に対し「強制執行や現金化で判決が実行される方式は韓日関係において望ましくない」と話したのも同じ脈絡だ。
申珏秀(シン・ガクス)元駐日大使は
「国際法上の国家免除は裁判段階でだけでなく裁判が終わってから判決を執行する過程でも適用される原則。
今回の判決で慰安婦被害者は司法的に勝利したが、
判決履行に向け在韓日本大使館の資産が強制的に売却される可能性はほとんどない」と話した。
◇「慰安婦合意尊重する」がストップした履行
慰安婦判決と関連、韓国外交部は「2015年の韓日慰安婦合意を国家間合意として尊重する」という立場を数回にわたり明らかにした。
両国が合意を通じて「慰安婦問題の最終的かつ後戻りできない解決」に同意を集めただけに慰安婦損害賠償判決と関連して日本を圧迫する考えはないという意味と解説される。
日本もやはり判決を認めないが感情的対応を控えるのは国同士の対立に飛び火することを望まない姿勢とみられる。
ただ慰安婦合意を尊重するという表向きの立場と違いこの5年間合意精神は履行されずにいる。
2018年11月に文在寅政権は慰安婦合意の核心結果である
「和解・癒やし財団」を解散するよう決めながらも
合意そのものは破棄しない曖昧な立場で一貫したためだ。
財団も解散手続きが完了したが、
法的な清算手続きはまだ終わっていない。
財団清算に向けては日本の出資金のうち
残金56億ウォンに対する処分計画書を作成・執行しなければならない。
外交消息筋は
「韓国政府は慰安婦合意を尊重するという
が実際には合意自体を水面下に閉じ込めて動かない矛盾的状況が続いた。
慰安婦判決後に
国内的課題である被害者の説得と名誉・尊厳回復に向けても
合意の産物である和解・癒やし財団の曖昧な法的状態を終わらせ、
日本の出資金を合意精神の履行に活用しなければならない」と話した。
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