記事入力 : 2018/02/24 08:50
【社説】金英哲氏訪韓は金正恩氏の計算通り
韓国与党・共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表は23日「2014年に南北間で行われた将校級軍事会談の時も、北朝鮮側の代表は金英哲(キム・ヨンチョル)氏だった。ところが当時のセヌリ党(保守系野党・自由韓国党の前身)は『南北対話が続くことを期待する』という趣旨の論評を出した」と指摘した。同党の禹元植(ウ・ウォンシク)院内代表は「14年の金英哲氏と18年の金英哲氏は何がちがうのか」と主張した。あの時も今も同じ人物であるため「野党が金英哲・朝鮮労働党副委員長兼統一戦線部長の平昌オリンピック閉会式参加を問題視すべき理由はない」と言いたいのだろう。
確かに金英哲氏は朝鮮人民軍の幹部として当時板門店で行われた南北軍事会談に出席した。ただしスポーツとは何の関係もない彼が今回韓国主催のオリンピックに主賓として招待され、2泊3日の日程で韓国各地を回ることと、当時の軍事会談を同列に扱う与党の言い分に筋は通っているだろうか。また4年前の会談で韓国側は対南挑発の総責任者だった金英哲氏に対し「哨戒艦『天安』への攻撃と延坪島砲撃を認め謝罪せよ」と迫ったが、今回韓国政府は金英哲氏に同じ要求ができるか非常に気になるところだ。
韓国統一部(省に相当、以下同じ)は「哨戒艦沈没は北朝鮮が起こしたことであり、当時の北朝鮮偵察総局のトップは確かに金英哲氏だった」としながらも「(哨戒艦攻撃の)具体的な関係者を名指しすることには限界がある」とコメントしている。国防部も同様で、2010年に当時の金泰栄(キム・テヨン)国防部長官が国会で「哨戒艦沈没の主犯は金英哲と判断している」という趣旨の証言を行ったことについて「可能性に言及したことであり、公式の発表ではなかった」と強弁した。国家情報院の関係者は国会で「推測は可能だが、(金英哲氏の指示だったと)明確には言えない」と証言している。
韓国政府は今回、これまで公式の立場だった「哨戒艦沈没に対する金英哲責任論」について、事件から8年が過ぎた今になって少しずつ言葉を濁しはじめている。金英哲氏を韓半島(朝鮮半島)の平和に向けた交渉相手として迎えるためには、その立場を改めて解釈し直す必要が出てきたからだ。これに対して米国務省報道官は金英哲氏の来韓に関する質問に「金英哲氏が哨戒艦の記念館に出向き、彼の責任とされている事態を目に焼き付ける機会にしてほしい」とコメントした。つまり金英哲氏を哨戒艦沈没としっかり関連づけているのだ。
ドイツ政府は2016年7月、ドイツに駐在する北朝鮮大使就任予定者について「情報機関出身」との理由でアグレマン(外交使節に対する駐在国側の同意)を拒否した。
相手国が外交使節として派遣する人物の前歴に
問題がある場合、
ドイツ政府が行ったこの事例のように
「ペルソナ・ノン・グラータ(外交的に好ましくない人物)」として拒否することができる。
つまり数十人の韓国国民を殺害したテロ行為に関係したか、あるいはその疑いのある人物が
外交使節の代表としてやって来る場合、
当然その来韓は拒否しなければならず、
そもそもそのような人物を派遣すること自体が非礼であり挑発だ。
しかし現状では韓国政府は言葉を濁すばかりで、
与党の執行部は金英哲氏の来韓を問題視する野党などを逆に批判している。
金正恩朝鮮労働党委員長が
金英哲氏を代表として派遣する背景には、
韓国国内で対立を激化させ
自分たちの有利な状況に持っていきたい
とする意図があるはずだ。
大韓民国は今、この金正恩氏の計算通りに動いている。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
記事入力 : 2018/02/24 08:48
哨戒艦「天安」爆沈事件の主犯を韓国政府が総出で擁護
韓国政府の外交・安全保障関連部処(省庁)は
これまで北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)元偵察局長(現在は朝鮮労働党統一戦線部長)を哨戒艦「天安」沈没の主犯とみなし、
制裁対象者のリストに上げていた。
ところが最近になってこれらの部処が一斉に金英哲氏の擁護に乗り出した。まず韓国統一部(省に相当、以下同じ)は23日「金英哲来韓に関する説明用資料」と題された6頁からなるプレスリリースをメディアに配布した。前日に北朝鮮が平昌オリンピック閉会式に派遣すると通知した金英哲氏について「哨戒艦『天安』沈没の主犯と特定するのは難しい」というのがその趣旨だ。大統領府、国家情報院、国防部もこの日、同じような趣旨のコメントを発表した。外交部に至っては米国政府への説得に乗り出しているようだ。
■金英哲氏の代弁人に成り下がった韓国統一部
統一部の白泰鉉(ペク・テヒョン)報道官は23日午前10時から始まった定例会見の際、金英哲氏来韓に伴う問題について問う質問に「挑発が再び起こらないよう、平和を構築するための努力がさらに重要だ」という趣旨の準備された説明を繰り返し読み上げた。統一部が運営するウェブサイトに哨戒艦沈没と延坪島砲撃の関連人物として故・金正日(キム・ジョンイル)総書記、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と共に金英哲氏の名前が明記されていることについて問う質問にも、白報道官は5-6秒ほど間を置いてから「政府は相手が誰であり、過去に何があったかにこだわるよりも…」という内容の原稿を再び読み上げた。
統一部はこの会見直後、上記の金英哲氏来韓に関する資料を配付した。その中には「政府は南北関係の発展と韓半島(朝鮮半島)平和定着のため実質的な対話が可能な相手かどうかを見極める」「このような次元で政府は金英哲氏の来韓受け入れという困難な決定を下した」と記載されていた。
この「金英哲資料」には統一部が独自に整理した11項目の「争点事項」と3項目の「主要事項」が記載されていた。しかしその中には事実に反するものや、誤解を招きかねない内容もあった。統一部は資料の中で、2010年8月に金英哲氏を制裁対象とした米国の行政命令13551号について「哨戒艦沈没と金英哲氏を直接関連づけたものではない」と主張している。しかしこの行政命令13551号は制裁の理由について
▲哨戒艦沈没
▲2009年の第2次核実験
▲国連安保理決議1718号・1814号違反(ミサイル発射)
-などが明記されており、しかもこの行政命令で制裁対象に指定された人物は金英哲氏だけだ。
これについてある外交筋は「行政命令13551号は金英哲氏に哨戒艦沈没の責任を問うための制裁」と断言した上で「統一部の説明は到底納得し難い」と指摘している。
■統一部を援護する国家情報院と国防部
国家情報院と国防部も統一部の援護射撃に乗り出した。国会情報委員長を務める保守系野党・自由韓国党の姜碩鎬(カン・ソクホ)議員によると、国家情報院の金相均(キム・サンギュン)第2次長はこの日行われた国会情報委員会の懇談会に出席し、金英哲氏が哨戒艦攻撃の黒幕だったかどうかについての見解を語ったという。金第2次長は「推測は可能だが、金英哲氏がはっきりと指示したかはわからない」とした上で「金英哲氏が南北関係の最高責任者であり、軍事的な緊張緩和や南北関係の進展、非核化を含む様々な課題について実質的に話ができる責任者と考え、受け入れることにした」と説明したようだ。
国防部の崔賢洙(チェ・ヒョンス)報道官は記者団との懇談会に出席した際、ある記者から「当時のファン・ウォンドン国防情報本部長は偵察総局の犯行である可能性に言及したが、国防部の立場はどうか」との質問を受けると「可能性があると話したものであり、公式の結論を出したわけではない」とコメントした。崔報道官はさらに「(国防部の公式文書に)金英哲氏や偵察総局について言及する内容はない」とも主張した。
大統領府もこの日資料を配付し、その中で「国民の多くも北朝鮮高位級代表団の来韓が韓半島の緊張緩和に多くのプラスをもたらすと考えている」との考えを示した。