MONO第51回公演「御菓子司 亀屋権太楼」を観てきました。

MONOと言えば吉祥寺シアターのイメージだったのですが、今回はザ・スズナリです。

さすがにMONOの劇団公演でスズナリのキャパだとキツキツです。

観に行った日は満席でした!

 

 

MONOの舞台はセットがしっかり作り込まれているのですが、今回は至ってシンプルに「亀屋権太楼」の看板が掛かっているだけ・・・と思っていたら、一度暗転して照明がつくと舞台上に机や椅子が並んでいて、「いつの間に・・・」「どこから???」とビックリしました。

観ているうちにわかるのですが、実は壁の中に机や椅子が隠されていて(はめ込まれていて)、出演者がそれらを動かすことによって、和菓子店の事務所や休憩室、併設されているカフェなどに場面転換されていきます。

「これをやるために、あえて小さな劇場を選んだのか!?」と思ってしまいましたが、それでも「配置を覚えるのも大変だろうな」と・・・お見事!

 

物語の舞台は老舗の和菓子店。

創業者が倒れて次男(尾方宣久)が引き継ぐことになるのですが、「江戸時代から続く老舗」というのは創業者が考えた作り話であることが発覚。

誠実な性格の次男は真実を公表しようと考え、姪(立川茜)の先輩(高橋明日香)の協力を得て、お茶と和菓子のカフェで経営立て直しを図ろうとします。

 

しかし、長男(水沼健)は父親が創業した店の名前が無くなってしまうことに反対。

怪しげな男・佐倉(土田英生)の口車に乗せられてお店を乗っ取り社長に収まりますが、商才はなく次男が社長に復帰。

何年かに亘る和菓子店の紆余曲折のお話ですが、兄弟や従業員の心の動きにスポットが当たっていて、笑いもたくさん盛り込まれています。

 

従業員の会話から、出身地が周りから差別を受けている地域であることがわかるのですが、そんな彼らに声をかけてくれたのが店の創業者。

彼らも感謝の気持ちは持っていますが、「出身地のことは気にしない」と繰り返す彼は、実はそのことを強く意識していたのではないかというようなセリフに考えさせられるところもありました。

地域差別に関わらず、本当に気にしていないのであれば、改めてそんなことを伝える必要はないのかもしれません。

 

最後はお店の取り壊しを思わせる場面で終わります。

今回は土田さんの出番は少なめで怪しげな人物でしたが、基本的にいい人っぽい登場人物が揃っているのがNOMOらしいなと思いました。