シアタートラムで上演されていたiaku「モモンバのくくり罠」を観てきました。

iakuはフォローさせていただいている方のブログを読んで観に行った「あつい胸さわぎ」の再演が初めてだったのですが、その作品を観て「これからも必ず観に行こう!と思いました。

でも、上演される劇場が遠かったりしてなかなか観に行けていませんでした。

そんなわけで、久しぶりのiakuです。

 

 

山中の住居で狩猟や農作などで自給自足の生活を送っている真澄(枝元萌)。

夫の修(永滝元太郎)は会社で働いているため離れて暮らしていて、生活費は入れているものの戻ってきていません。

 

ふたりの娘である椛(祷キララ)は生まれてから母と一緒に暮らし、幼い頃から獲物の解体を手伝うなど山の暮らしに馴染んでいましたが、成長するに従って自分の家の環境が特殊であることに気づき、「普通の生活がしたい」と山を下りて都会暮らしを始めます。

しかし、都会の暮らしには馴染むことが出来ていません。


修は病気をしたことがきっかけで会社を辞め、小さなお店を開店し、そこのママを務める紗良(橋爪未萠里)に好意を抱いているようです。

しかし、彼女にとってはあくまで雇い主でしかありません。

修はそれらのことを真澄には話しておらず、椛に説得されて久しぶりに家に戻ってきます。

 

害獣駆除した獲物を動物園の餌として活用する屠体給餌に興味を持ち、狩猟の見学をしたいと真澄の家を訪れた動物園の職員である俊介(八頭司悠友)、そして彼を連れてきた真澄の知人の小野田(緒方晋)。

ふたりは家族の問題に巻き込まれていきます。

 

冒頭の八頭司さん、緒方さんのやり取りから面白く、劇場が笑いで満たされます。

前半はそこに枝元さんを含めた3人のやり取りと、家に向かっている車の中の父娘の会話で進んでいき、後半は橋爪さんも加わって6人の会話劇となっていきます。

ベースは母娘の関係性を描いた物語で、「あつい胸さわぎ」を彷彿とさせるところもありました。


「普通の生活がしたい」と繰り返す祷さんからは「若さゆえの苛立ち」みたいなものが良く伝わってきました。

年齢を重ねることによって色々なことと自分なりの折り合いをつけられるようになると思いますが、それゆえに初々しさも感じます。

父親が最後に漏らす「まだ役に立てることがあるんだ」というセリフも、彼の愛情が感じられてぐっときました。

 

物語の中では、八頭司さんのセリフがテーマや笑いのポイントになっていたと思います。

家族問題の話は重くなりがちですが、少し距離のある人を配していることが成功しています。

あと、彼にきつく当たる橋爪さんのキリっとした感じも役柄に合っていました。

そして、やっぱり枝元さんが良いのです!

たくさん笑って、最後は泣きました。

 

iakuの次回公演は来年の夏のようです。

今から楽しみですが、行きづらい劇場での公演となることだけが唯一の心配事項・・・。