シアタートラムで上演されていたロ字ック第15回公演「剥愛」を観ました。
ロ字ックはそれ程多く観ていないのですが、公演情報を見つけたら極力観に行きます!
脚本・演出の山田佳奈さんの作品は、今年は新国立劇場小劇場で「楽園」を観ました。
主演はさとうほなみさん、出演者は吉見一豊さん、最近よく観る柿丸美智恵さんなど。
この作品も小さなコミュニティを舞台とした物語、家族の物語という感じでした。
離婚して田舎に戻って来た菜月(さとうほなみ)。
実家の父(吉見一豊)は剥製の工房を営んでいるのですが、今では依頼の数は少ない。
その家には菜月の妹・栞(瀬戸さおり)と叔母の息子・章平(岩男海史)が住んでいるのですが、ある日ひとりの男(山中聡)が訪ねてきます。
父は男を工房で雇うことにします。
菜月は過去にあった事件が拭い去れず、今も悩んでいます。
それは、学生時代に男子生徒との交際を咎められて父の浮気を母に伝えてしまったことが原因で、猟銃で母が父を撃ってしまったこと。
その後遺症で父は足を引き摺っています。
菜月の子供は離婚した父親が育てているようで、自分が一緒に暮らすためには仕事を見つけなければいけない。
しかし、田舎町で条件に合う仕事は見つからず、常にイライラしています。
菜月は思ったことをはっきりと口にする性格で、田舎や周囲の人間にも当たり散らしてしまいますが、それに反して妹は気持ちを抑え込むタイプ。
家のことを淡々とこなし、前半はセリフも少ないのですが、父親が雇った男の出生に関わる秘密が明かされ物語の本筋が明らかになる時、抑え込んでいた感情が爆発したように強い言葉を姉にぶつけます。
このシーンの瀬戸さんが見事です(前半の抑えめの演技とのギャップがスゴイ!)。
物語の途中で断片的に挿入される場面(菜月が職安で職員と会話するシーンや、母が父を撃つに至るシーンなど)があるのですが、その際には瞬時に役柄が変わるので、一瞬ついていけなくなったりもしましたが、結局のところチラシ裏に書かれている「化けの皮剥がれたら全員同じなんでしょ。」が主題なのかなと思います。
菜月と父親は過去に捉われており、栞は自分の思いを抑え込んでいる。
表面上はそれぞれが自分を保っているように見えるけれど、本音の部分を隠しているのだなと思えてしまう。
そのひと皮を剥ぐところに剥製を重ね合わせているのではないかと・・・。
重苦しい雰囲気の漂う作品だし、決して楽しい話ではないけれど、主演のさとうさんを始め、パニック障害のような章平を演じている岩男さん、山中さんの謎めいた感じ、これまで観た出演作とは少し異なる印象の吉見さん・・・出演者のみなさんの演技で成り立っているという印象が強かったです。
でも、個人的には瀬戸さんでした!