On7リバイバル公演「その頬、熱線に焼かれ」。
On7(オンナナ)は、「歴史ある新劇5劇団(青年座、文学座、俳優座、演劇集団円、テアトル・エコー)の同世代の女優7人による演劇ユニット」で、この作品は3年ぶりの再演になるらしい。
On7は1度だけ観に行ったことがあり、その後何度か公演情報を見かけながら観に行くことが出来なかったので、今回が2度目。
そして、この作品を書いているのは、大好きな劇団チョコレートケーキの作品を手掛ける古川健。
劇場でもらったパンフレットには「歴史的な事実を参考にしたフィクション」と書かれており、劇団チョコレートケーキと同じ路線を踏襲しているようだ。
原爆によって重傷のやけどを負い、顔や体の一部がケロイド状になった女性たち。
それは、彼女たちの心にも大きな傷跡として残り、人との関わりを避けるようになり、当たり前の日常を奪った。
被爆から10年後の1955年、選ばれた25人が治療を受けるために渡米する。
彼女たちは「原爆乙女」と呼ばれ、最先端の医療で傷を直し、原爆によって失われた人生を取り戻すための治療が始まるが、ひとりの女性が治療中に亡くなってしまい、彼女たちだけではなく、アメリカの医師団にも動揺が広がる。
彼女たちに同行した先生は、みんなを集めてドクターを励ますように伝える。
しかし、翌日に治療を控えた女性は、その手術を躊躇してしまう。
ひとりひとりにスポットを当て、亡くなった女性との回想シーンを交えながら物語は進んでいく。
そこから明らかになっていくそれぞれの事情。
治療を受けられる人数は限られており、そこには選択の基準が(明らかにはされていないが)存在している。
その中で選ばれた彼女たちには、「若い女性だけが選ばれている」というような心ない言葉が浴びせられることもあり、かつての敵国に対する国民感情も残っている。
怪我の具合が同じ程度の友人と一緒に応募したが、自分だけが選ばれたことに対する負い目を抱えている人がいる。
婚約者を日本に残してアメリカに来た人もいる。
女性として思い描く結婚や出産をあきらめなければいけないのか。
お互いの事情を抱え、ぶつかり合う6人。
あらためて、戦争の悲惨さや残酷さを感じるとともに、それでも、その悩みを抱えながら前向きに生きていく姿に勇気づけられる。
それぞれが所属する劇団で培った演技力を発揮して様々な作品に取り組んでいるOn7は、これからも注目したいユニットだ。
そして、年末に控えている劇団チョコレートケーキの劇団公演も楽しみ!