作・前川知大、演出・長塚圭史という組み合わせだけでも面白そうだが、藤原竜也中村トオルの共演も魅力的。

イキウメからは安井順平が参加しており、木場勝己真飛聖成海璃子など、脇を固める出演者も豪華だ。

 

 

舞台は公共劇場の稽古場。

そこには、知名度が高いベテラン俳優から、地元の大学生まで幅広い役者が集まってリハーサルを行っている。

演目は「PLAYER」という新作だが、脚本家は作品発表前に亡くなっており、作品としては未完成な部分も残されている。

 

作品に携わるプロデューサー、演出家、役者は、リハーサルを重ねながら未完成な部分を補填し、その完成度を高めていく。

物語の本筋とは関係ないのかもしれないが、その過程は普段見ることが出来ない稽古場を覗き見しているような楽しさもある。

場面の繋がりやセリフについて議論する姿や、素の姿から役に入る瞬間の切り替えなど、(本当はどうなのかわからないけれど・・・)「こうやって作られていくんだなぁ・・・」と思いながら観ていた。

 

原作の「PLAYER」は、2006年にイキウメで初演された作品。

それをベースに前川知大長塚圭史が1年以上にわたる打ち合わせを重ねてたどり着いたのが劇中劇として「PLAYER」を取り込むという構成だったらしい。

 

タイトルの「PLAYER」とは、死者が死後の世界から現世に語りかけるために選ばれた人々。

その死者の声を「再生(PLAY)するPLAYER」のイメージが、劇作家の言葉を再生する役者とリンクして再構築された本作。

死者と生者が繋がるためには、二人の間に思い出や、心に強く刻まれた記憶が必要となる。

劇作家や演出家と役者の間にも、作品への強い思いや、上演に至るまでの絆が存在するのかもしれない。

「フィクションだとしても信じていなければ書けない」というようなセリフがあり、そのあたりは創り手の気持ちが込められているようにも感じた。

 

濃密なまでの人の繋がりを描くことが多い長塚圭史と前川作品は、思っていた以上に相性が良かった。

境界線が曖昧になる瞬間が前川作品らしいし、ひとつのセリフで物語を大きく展開してしまうラストも見事!

演劇ファンならずとも、観て欲しいと思える作品だった。